死神代行
プルルルル、プルルルル。
「こんにちわー。お忙しい中すみません。私、株式会社rinneの武田と申します。ご連絡が遅くなりましたが、あなたの寿命は本日17時24分限りですので宜しくお願い致します。」
はい?
「また、お迎えにあがりますので。」
おい、こっちは仕事中なんだ迷惑電話ならよそでやってくれ。
「皆さんよくそれを仰います。私どもはいわゆる死神と呼ばれるものでして、近頃忙しくて連絡が遅くなりましたことお詫び申し上げます。」
そうじゃない、俺が今日死ぬとでもいいたいのか?
「本日の予定ですと、先ほど申し上げた時間に新宿駅ホームで最期を迎えることになっております。」
うさんくさい。
「ちなみに今ですと、私たちの仕事の代行をしていただくと、普段より早く元の世界にお戻りいただけます。何せ私たちも人手不足でして。」
宗教勧誘か?もう切るぞ。ピッ。
全く、何なんだこっちは今日は娘の3才の誕生日で、仕事を早く終わらせないといけないんだ。
・・・
部長、本日中の書類終わりましたので、今日は上がらせていただきます。
「流石、仕事が早いね。以前から聞いてたし大丈夫だよ。早く帰ってあげなさい。」
ありがとうございます。それでは、お先に失礼します。
よし、今なら18時には帰れるな。
17時21分発のものに乗ろう。
「きゃーっ!」
がしゃんっ!
線路にベビーカーが落ちた。
母親は動転している。周りの奴らも何で誰も動かないんだ!くそっ。
17時19分
まだ間に合う。
線路に降りた。
なんだ、ベビーカーの中に赤ちゃんはいないのか。よかった。
母親を見ると赤ちゃんは抱かれていた。
俺も焦ってしまったんだな。
ベビーカーをホームに上げる。
時間は、17時22分。
ん?遅延したのか助かった。
ッ。おい、まてなんで足が引っかかるんだよ。
「お待たせしました。武田です、まもなくですのでお迎えにあがりました。それでどうなさいますか?
代行業務やっていただけますか?」
やらねーよ。とっとと引き上げろ。
「申し訳ありません。もう電車が。」
プァーーー
くそ、やってやるよ
目が覚めると見慣れない会社のデスクに座っていた。
マニュアルが置かれている。
ホワイトボードには目標3000人
・・・
「こんにちわ。お忙しい中すみません。私、株式会社rinneの佐栁と申します。」
おわり。
どこか腑に落ちない話に思うかもしれませんしれません。
思い通りに死ぬことはできるのでしょうか。
やり残したことが多い中、他界してしまう方が多いのではないでしょうか。
あなたの元にはいつ電話がかかってくるのでしょうか。
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