チョコレートと厳島神社

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大阪のおばちゃんってね
いつも飴を持っているんだよ！
しかも飴にちゃん付けするんだよ！

「へーそうなんだ。」
あれから数十年後
私は大阪のおばちゃんになりました。

それなのに…

飴ちゃんが無い！
大阪のおばちゃんとしたことが！
今日に限って飴ちゃんを持っていない。

ここは新幹線の中。
乾燥しているなぁ…
そう思ってマスクをしたのも束の間、
喉がムズムズ…これは…咳き込む流れ。

さっきまでは全く何も問題がなかった。
それなのに突然それはやってくる。
屋外にいる場合はいいのだけれど
大概それは閉鎖された空間で訪れる。
その起こるか起こらないか分からない
「咳き込む瞬間」のために、
私は飴ちゃんをバッグに忍ばせている。
でも…

「今日に限って無い！」

焦ると余計に出るのが咳。
とりあえず水を飲んで喉を潤す。
でもまだ落ち着かない…
飴ちゃんでしか解決しないと悟り
隣の席のおばさまにバレないよう
バッグの中を必死で掻き回す私。

カサっと手に当たった…
あった！！
でもそれはカカオ86%のチョコ。
以前お客様にいただいたものだ。
これでいい！と口に放り込み
86%の濃厚チョコを飴のように
ゆっくりと溶かしながら
喉に貼り付かせていく…
当然ながらサラサラではなく
ねっとりしたものが喉を這う…
しかもカカオ86%なので苦みもあり
あまり気持ちの良いものではない。

でも助かった…
隣に座るおばさまにも
嫌な思いをさせなくて済んだ。

今おばさまに話しかけられて
私がニコって笑ってみせたら
チョコまみれの歯が現れる…
ホラーすぎる…
マスクをしておいてよかった。

神が宿る島、厳島神社。
そんな神聖な場所に向かう途中に
チョコまみれの歯ですまし顔の私。

神様、私に呆れないで下さい。

そんな事を思った大人の遠足。

厳島神社

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