ピアニストのための外骨格(エクソスケルトン)がパラドックスを超えるカギに!

年頭表明で「スポーツと芸術」の枠にチャレンジしていく
とYouTubeで話たが
さっそく音楽について考えてみよう

今回、参考にした書籍はこちら
伊藤亜沙著「体はゆく できるを科学する<テクノロジー×身体>」:文藝春秋P29〜61

本書を一言で表現すると
「人文系×理工系」

現代では二項対立のような構造で表される
二つの相反する学問を
人体というデバイスを通して
「意識×現象」という形に昇華し
体験と研究をともなった文章に落とし込んでいる点が
非常にゲンテンメソッドと親和性が高く感じてしょうがない

地元の下高井戸駅にある啓文堂書店で
平積みされたポップな装丁は
手に取り読み進めるごとに
虫食い状態だった自分の思考を
丁寧に埋めてくれた

今回、取り上げるのは第1章
「こうすればうまくいく」の外に連れ出すテクノロジー

ピアニストでありながら医学博士の古屋晋一氏
彼の研究功績に触れながら人文社会学の博士である著者が
「意識×現象」を掘り下げていく

この中で印象的だった一節を紹介しよう

僕が経験したピアニストとのリハビリを回想していこう
体に先を越された意識のありようを、これ以上的確に表す言葉があるでしょうか。
体にまず「できてしまう」という出来事が起こる。意識が、できてしまった体に追いつくようにして、それを確認する。それが「あ、こういうことか」だったと考えられます。

伊藤亜沙著「体はゆく(文藝春秋)」P 48

これは、ピアニストであり医学博士でもある古屋氏が開発した
プログラムされた演奏を再現する外骨格:エクソスケルトンを
子供たちに体験してもらったことについての記述

ピアノを弾くという技術に対して
意識せずとも体が動く状況を作り
それを後から認知させる

これに対する子供たちの反応が
「あ、こういうことか」だったというところが
非常に腑におちまくった

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