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ラツィオvsバイエルン、王者が見せた完璧なプラン

どうも。げんです。本来は先週にバルサ対パリの考察を出そうと思ったのですが、下書きがすべて消えてしまったため上げられませんでした。すみません。今回はマイチームであるバイエルンの試合の考察です。アトレティコvsチェルシーに注目している人が多かったと思いますので、この記事を読んで、ラツィオvsバイエルンでどういう事象が起きていたのかを知ってもらえればと思います。

下記のフォーメーション図にてコマンの背番号が本来29番のところ22番と表示されています。すみません。間違いです。

スターティングメンバー

それではまず両チームのスターティングから。ホームゲームのラツィオはいつも通りの352のフォーメーションで入りました。ルイスフェリペとラドゥは負傷によりメンバー外。
一方のアウェーバイエルン。バイエルンは基本的にはいつも通りのスタメンでしたが、コロナ陽性によりミュラーとパヴァールが、負傷によりニャブリ、ドウグラスコスタ、トリッソがメンバー外となりました。ミュラー、ニャブリ、パヴァールというレギュラーを欠いたバイエルンはウイングにザネ、トップ下に期待の17歳ムシアラ、右サイドバックには最近リーグ戦でも度々起用している本職CBのズーレが入りました。

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発動バイエルンのハイプレス。ラツィオは大誤算。

前半立ち上がりは攻守の切り替えがとても速い展開でした。バイエルンはボールを支配したところからの攻めも得意ですが、基本的にはまずハイプレスからボールを奪い、縦に速い攻撃を狙ってきます。ラツィオの3バックにレヴァンドフスキと両ウイングで嵌めに行き、降りてきたアンカーのRレイヴァにはトップ下のムシアラがついていく形でプレスをかけに行きました。このハイプレスの中インサイドハーフのルイスアルベルトが降りてボールを動かそうとしていましたが、バイエルンはそのルイスアルベルトにもボランチのキミッヒやゴレツカがスライドし、相手に大きく蹴らせ、回収して支配する、いつものバイエルンのサッカーを展開していました。

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ラツィオもボールを奪ったらまず前、という意識。背後にはインモービレが駆け引きをし、右はウイングバックのラッツァーリが勢いよくオーバーラップし攻撃のチャンスを作ろうとしていました。
試合は前半早々に動きます。相手陣内でボールを奪われたバイエルンでしたがすぐに切り替え、プレス。ムサッキオのキーパーへのバックパスを狙っていたレヴァンドフスキがかっさらい、飛び出してきたレイナを落ちついてかわして先制点を手にしました。ラツィオは自分たちのミスで相手に手痛いアウェーゴールを提供してしまったのです。

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相手の弱点をしっかり見抜き、的確に突いてきたバイエルン

立ち上がりの速い展開から戦況がある程度落ち着いた中、ボールを支配していたのはやはりバイエルン。ラツィオの弱点をしっかりと突いてきます。ラツィオも前線からのプレスの形を用意していました。ツートップがボランチへのコースを見ながらCBに徐々にプレスをかけ、空いたサイドバックにはウイングバックではなくインサイドハーフが出ていくというプレスの形。

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このプレスの最大の弱点はインサイドハーフが出た後のアンカー周りのスペースが空くことです。

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バイエルンはプレスを回避した後、サイドバックのデイヴィスやズーレが持ち運んだり、内に入ったウイングに楔を入れたり、相手のアンカー横を使う意識は明確に持っていたように感じます。そして前半24分、ラツィオの右インサイドハーフのミリンコヴィッチサビッチが戻り切れなかった時、左ウイングのにコマンが張ってウイングバックをピン止めし、左サイドバックのデイヴィスが内側にドリブルを仕掛けます。これによってルーカスレイヴァがスライドしますが、デイヴィスは上がってきたゴレツカに横パス。そこに左のインサイドハーフのルイスアルベルトが必死に戻りスライドし、CBのアチェルビも前に出ますが、ゴレツカの技ありループパスでまたもや横へ。完全にフロントエリアが空いたところでボールを受けたムシアラが右足を振りぬき、追加点を取りますこのバイエルンの得点はプレスに行った時アンカー横が空いてしまうラツィオの弱点を明確について取った得点だと言えるでしょう。

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その後、最初の失点のミスを考慮したのか、インザーギ監督は前半30分にムサッキオを下げてルリッチを投入し、マルシッチを左のCB、ルリッチを左ウイングバックに配置しました。

チャンスを作り始めたラツィオとミスを見逃さないバイエルン

ラツィオにも決定機はありました。ルイスアルベルトがボールを引き出したところから、右に幅を取ったラッツァーリの突破や、左に流れたコレアのドリブル突破などから中央に折り返し、決定機を演出していました。特に右ウイングバックのラッツァーリのスピードはかなりバイエルンの脅威になっていたと思います。俊足で知られるバイエルンのデイヴィスをもちぎるシーンがあったほどです。しかしアラバやボアテングの落ち着いた対応、相手の攻撃を遅らせたときのウイングのプレスバック、そして守護神ノイアーの存在でバイエルンはラツィオにゴールを許しませんでした。前半42分ラツィオは押し込んでいた中、バイエルンのクリアボールの処理をCBのパトリックがミスし、それを見逃さなかったコマンがボールを広大なスペースに蹴りだすと、すさまじいスピードでそのボールに追いつき、CBアチェルビと一対一。切り返しからのシュートはレイナが防ぎましたが、こぼれに詰めていたザネが押し込み、前半だけで3つものアウェーゴールをバイエルンは取ることに成功しました。前半のラツィオは2つ自分たちのミスで相手に得点を与えてしまう形となったのです。

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後半開始、力を緩めないバイエルン

後半、インザーギ監督は3点差から巻き返す展開を用意しようとしていたかもしれません。しかし前回王者に出ばなをくじかれます。後半始まって早々、コーナーキックを得たラツィオでしたが、跳ね返しのこぼれを受けたコマンが裏の空間に走りこもうとしたザネにボールを送り、ザネがペナルティエリア内で切り返しを織り交ぜながら縦に勝負。折り返したボールは戻ってきたアチェルビに当たりオウンゴールとなってしまいました。コマンがボールを出した瞬間ザネは自陣にいた為オフサイドもなく、4つめのアウェーゴールを献上してしまったのです。

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ラツィオの遅かった得点、遅かった修正

ラツィオもやられるだけではなく、4失点目から2分後にはプレスを交わしたルイスアルベルトの縦パスを受けたコレアがドリブルで仕掛け、一点返すことに成功します。またインザーギ監督もここで動きます。パトリックと変えてフートと投入し、右のCBにマルシッチ、中央フート、左にアチェルビの配置に変え、アンカーのレイヴァと代えてエスカランテを投入しました。相手の3トップのプレスを回避するためか、両ウイングバックに高い位置を取らせ、右のタッチライン際にマルシッチ、左のタッチライン際にはアチェルビ、空いた右のCBのスペースのエスカランテが降りて4バックを形成し、ビルドアップをしていきました。それでもプレスの手を緩めないバイエルン。サイドで相手選手がボールを持ったら複数人が寄って囲みに行きボールを奪いに来ます。戦況を変えられないインザーギ監督はハードワークを求めていたインサイドハーフ2枚を下げ、アクパアクプロとカタルディを投入しましたが、ルイスアルベルトが居なくなったことで余計にボールが回らず後手後手に周る展開となりました。

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総括

結果スコア1-4。前回王者バイエルンが相手の弱点とミスを見逃さずにアウェーゴール4つを持ち帰ることができました。かなりの過密日程と負傷者からバイエルンにとっても簡単なゲームになるとは思いませんが、ベスト8進出は現状バイエルン優位で間違いありません。その上、セカンドレグでは今回コロナ陽性で欠場していたミュラーが戻ってきます。チャンピオンズリーグで初ゴールを決めた17歳のムシアラをまた見たい気持ちもありますが、ミュラーのピッチ内での存在感は偉大ですので、ミュラーが使われると思います。隙がほとんどないバイエルンに対し、インザーギ監督がセカンドレグまでにどのようなプランを用意してくるか楽しみです。

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