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申し訳ないことをした話


認知症の方だと思って警察に届けた近所のおばあちゃんを今日スーパーで見かけました。

職業病かと思いますが、歩き方や体格で覚えています。その方確定です。

2、3ヶ月前に、家の砂利道を歩いていた女性。
知らない方であった上に、時期的に(春の暖かい時期は認知症の方が徘徊しやすい)直感が働きました。

有給期間だった私。
職を終え、何者でもなかった私。
何か讃えて欲しかったのかもしれません。

今考えても認知症の方に見えました。

その後も、ゴミの日の当番で出ているその女性を見かけました。
まだ女性への確信は消えていませんでした。

けれど、今日、完全に、私の確信を打ち砕かれたような気がしています。

女性には本当に悪いことをしました。認知症の方呼ばわりしたことを恥じています。申し訳ない。

今日スーパーで会った時も、完全にその女性だったのに、申し訳なさと恥から、その女性に謝罪の言葉も伝えられませんでした。

違う高齢の女性からは、「貴女のような方がいてくれるおかげで、私たちは安心して散歩することできるのよ。間違っていても良いのよ、見守ってくれていてありがとう」と優しい言葉をかけられました。

でも私、何もわかってなかった。介護のことも、高齢者のことも、その女性のことも。

けれど、状況的に、普通の女性だったから良かったのかな、とも思います。

私の祖母は、認知症です。
住んでいる自分の家に居るのに「これで帰ります」と話し、何度も家を出て行きました。(認知症の症状である徘徊です)

何度も母と探しに出ました。
初期の頃、数ヶ月に一度だったその症状が、1週間に一度になり、毎日になりました。

ショックで何も言えない母。
介護を生業としていた私でさえも、手を震わせながら「おばあちゃん、一回病院行ってこよう」と言った日のことを鮮明に覚えています。

何度も警察の方にお世話になりました。

何台も家の前にパトカーがとまり、少し悲しそうに笑い「ごめんねぇ、迷惑かけて」と話す祖母の顔を今でも忘れられません。

その女性を見た時も、その時の情景が頭をよぎりました。

他人であっても、誰かの大切な家族です。

嫌な予感がしたから放っておくことができませんでした。

そう、あの女性にも言えたら良かったのだけれど。次、もし会うことがあったら、ちゃんと言おう。

叱られても、罵られても、ちゃんと言おう。

怖かったのだと。
祖母みたいにいなくなって、誰かが悲しむ予感がしたと。

すいません。まだ未熟な人間です。
半人前です。

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