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中学受験をしないという選択 #3 早期教育について

東京で中学受験をしない進路について、これまで2本の原稿を書いてきた。

中学受験をしないという選択
https://note.com/genomeboy/n/n6917e28982a8
中学受験をしないという選択 #2 進路について https://note.com/genomeboy/n/ne9b8c41c59ce

この記事では、中学受験をしない進路を選ぶとき、他の早期教育に時間を割いてはどうだろうか、という提案をしてみたい。

英語・英会話の早期教育について

一部の中学受験では英語や英検資格が取り入れられ始めたそうだが、まだまだ主流ではないようだ。だが、子供にコストをかけて早期教育させるなら、中学受験よりもやはり英語に力を入れるのが将来にわたって有利だと思う。

では、小学生に習わせる英語は何が良いだろうか?英検対策だろうか?だが、小学生がやるべき英語は、文法や単語を覚えて英検3級に挑戦させる、というのとはちょっと違う気がする。個人的な体験ベースの話になるが、英会話の最大のハードルは「実践経験」だと思う。単語と文法が完璧でTOEIC900レベルなのに、実際には全然英語話せない、という残念な学歴エリートな人は世の中に溢れている(個人の感想です)。それより、文法も単語も間違ってても構わず自分の言いたいことを話せる人が、最終的にはグローバル社会で強者となる(個人の感想です)。だから、小学生のうちは英語環境に慣れることと、高学年になったら短期留学やホームステイにコストをかけた方が良いんじゃないかと思う。あと、英語は子供だけにやらせるんじゃなくて、親も一緒に英語環境を楽しむことが重要でしょう。だから、子供よりもまずは親が英語を頑張ったほうがいい。

将来の大学受験で有利にするという観点では、リスニングとスピーキングに力を入れたら良いと思う。別に難しい話ではなく、子供が好きなコンテンツ、例えばディズニーの映画などは最初から英語で見せれば良いだろう。また、英語で歌を一緒に歌ったり、英語のディズニー絵本を読むだけでも英語への親しみは増えるはずだ(重要なのは親が一緒にやること)。中学に入ったときに「圧倒的に英語だけは得意な状況」になれば、その後の得意科目として維持できる可能性は高くなる。

数学の早期教育について

中学受験で最もくだらないと思うのは、算数・数学は「高度な思考を巡らせる」という良い機会なのに、その学習機会に活かしきれていないところ。あくまで小学校の範囲で難しい問題を作ろうとするから、奇妙なパズル問題が多く発生する。灘中の試験の算数は面白いと思うけど、そういうのはごく一部であって、ほとんどはくだらない、と思う。

要は、さっさと中学数学や高校数学を教えちゃえば良いということをここでは言いたい。最近はiPadで書いた数式を簡単にグラフ化できるアプリも出てきたし、中学の「原点しか通らない二次関数」を超えて、一気に高校レベルの数学で「遊んで」も良いのではないか。江戸時代の和算のように、日本人にとって数学は元来は娯楽だった。現代の子供も受験に関係なく、数学を娯楽として楽しめれば良いと思う。もちろん、将来の大学受験を見据えた内容でも構わない。

ところで、数学ってのは数式とグラフの脳内補完能力が必要な学問で、ある程度の抽象的思考力の才能というか、脳の成熟が必要な科目だった。しかし、最近のIT補助教材はこれを補うものがあり、それを使えばもっともっと低学年からも数学を楽しめるんじゃないかと思う。これはまだ仮説段階だけど(さすがに幼稚園児は黙って話を聞いてくれないから難しい)。だから、そういう機会を全て失ってまで中学受験のプリントに追われる生活をするのはもったいないし、コスパが悪いと思う。

将来の大学受験で有利にするという観点では、中高一貫校で使われている数研出版の「体系数学」のテキストを小学4年生から使ってはどうだろうか。周りに塾通いする友達が増えて肩身が狭く感じることもあるかもしれないが、より発展的な数学を学ぶことで、そういう気持ちも晴れて自信を保てるかもしれない。これにより、中学生レベルの数学を先取りして始めてしまい、中学1年になる頃には高校レベルに入る。個人的には、グラフや図形の作図にしっかりと時間をかけて、物理の勉強と合わせて科学工作にも挑戦するのが良いと思う。そして、高校に入る頃には共通テスト数学の過去問演習ができるようになれば、大学受験にはかなり有利だ。

物理の早期教育について

世間一般では小学生に物理を教える、という話はあまりないかもしれない。しかし、しかし物理(高校レベルを含む)はもっと低年齢から教えて良い科目だと個人的には思う。「世の中の基本法則は物理である」というのは実は高校で理系選択(理系でかつ物理選択)するまでちゃんと学ぶ機会がないんだけど、それでは遅すぎると思う。複雑な計算はともかくとして、物体の性質や、物が動いたり、止まったり、軽くなったり、重くなったり、疲れたり、勢いよくぶつかったり、ということはどういうことなのかは感覚的にも幼稚園児でも理解できる話。ちゃんと落ち着いて話を聞いてくれる小学4年生くらいになったら、高校物理の一部は楽しんで理解できると思うし、共通テスト程度の力学の問題なら良いエクササイズになると思う。

基本ははやり力学の理解。しかし、難解な計算をする必要はない(数学の勉強が進んだら、高校レベルの計算問題をやっても良い)。体を動かすとき、加速と減速、押して動きを変える、なんてことは子供は遊びを通して理解できる。そういう日常の力学的現象について、子どもと一緒に法則性を再発見していくのはどうだろうか。

テキストは、高校物理の基本的なもの(教科書か、チャート式参考書など)で良い。高校時代にはわからなかった人は、これを機会に子どもと一緒に学ぶと良いだろう。基本的には、親がわからないものは子供には教えられない。

物理は、理系以外だと大学受験では使わない。しかし、物理は数学と並んであらゆる科学技術の基礎であるし、文系であっても物理に親しんで損はない。それに、物理の早期教育は高校受験の理科ではちゃんと役に立つ。目の前の現象を単純化して考える物理こそ、幼いときに体験した方がいい。(これに対して、化学や生物、あるいは社会科は複雑なのだ)

早期教育で考える力と発表する力を養う

早期教育を学ぶとき、困るのはアウトプットがないことだ。中学受験は「受験」というアウトプットがあるのに対し、早期教育は誰かと競争するものではない。テストもない。だから、アウトプットを何か作るとしたら、その一つは「プレゼンテーション」になるのではないだろうか。小学校6年生になったら、学んだことの集大成を何らかの発表という形で残すことで、やりがいができるのではないだろうか。

プレゼンテーションには、「家庭内でパソコンでプレゼン」という方法もあるし、このnoteやYoutubeなどで「ビデオ発表」することもできる。今どきであれば、Youtubeで発表するというのも良いだろう。家庭の方針次第だが、顔はマスクを被るなどでセキュリティーにも気をつければ良いだろう。

発表には、ある程度オリジナリティーが必要になる。小学生にも可能なオリジナリティー研究を以下に提案してみよう。

英語の発表テーマの例

  • ディズニー映画(など好きなコンテンツ)の英語と日本語セリフ解釈の違いを研究

  • 好きな作品のオリジナル続編ストーリを英語で書いて、英語で解説してみる

  • 好きなキャラクターのセリフを真似る

  • 英語で歌唱を披露

数学・物理の発表テーマの例

  • 廊下で走ったらなぜ危ないのかを理論的に説明

  • ダイエットの熱力学的考察

  • 宇宙の大きさの考察

  • レゴブロックで作った物理工作の実験

まとめに

早期教育はやっても良いし、全くやらなくても良いと思う。忙しい共働きの場合、教える時間もない、というケースもあるだろう。ただ、子供にとって少しでも良い環境を、と考えるのは中学受験をさせる親の気持ちと同じだ。この一連の記事では、中学受験をしない場合であっても、子供にそれ以上の体験をさせることができる可能性を示した。この記事が中学受験以外の選択肢を探していた親御さんのお役に少しでも立ったならば、望外の喜びである。

さて、中学受験はコスパ悪い、ということについては十分に議論したので、今後は早期教育の実践について継続して議論していきたい。ではまた。







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