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「とにかく面数を増やせ!」がDOOH業界のキーワード。Clubhouseで話して感じたこと。

今日は、DOOH事業を伸ばすためには、「媒体面数を増やすことを常に意識しておかないといけない」といった話を書いていきたいと思います。

一昨日、ヘアサロンデジタルサイネージ「サキザキテルコ」を運営しております諸石さんからご招待頂きまして、タクシーサイネージのTokyoPrimeを運営するIRISの飽浦さん、エレベーターサイネージの東京エレビGOを運用する株式会社東京の羅さんと共に、今話題の音声SNS「Clubhouse」にて1時間半ほどDOOHについて話をさせて頂きました。

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(とても楽しかった!!!)

アーカイブが残らない上でのざっくばらんな話だったので、ここには内容に関して細かいことを書くことができないのですが、媒体社として働く3名の皆さんが口を揃えていたのが「媒体セールスを活性化させるには可能な限り面数を広げていく必要があるよね」ということでした。

僕も日本で働いていた際に、いくつかのDOOH媒体の設置や運営などを行っていた経験がありまして、面数の重要性については強く感じていたところでしたが、海外のOOHビジネスにおいても、面数を取りに行く。は媒体社の生存/拡大戦略の中で重要視されています。

そこで、DOOH事業における面数とセールスについて、今日は書いていくことにします。

中国の巨大OOH媒体社Focus Media

Clubhouseの会話の中でも話題になったのですが、「Focus Media」という、Alibabaが出資を行っている中国のOOH媒体社があります。

2019年度の年次報告資料を見ると、Focus Mediaは中国全土300以上の都市のエレベーターサイネージを66万8000面、178万面のエレベーター内のポスター、1万1000面のポスターを運営しており、1日で獲得できるインプレッションは6億を越えていると言っております。

2003年創業のFocus Mediaは面数の拡大と共に、売り上げを伸ばし続けている世界を代表するOOH媒体社となっています。

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6億インプレッションと言われると話が少し大きくなりすぎている感じもしますが、インプレッションの数が大きくなれば、広いリーチが取れるメリットだけでなく、場所や時間帯、ターゲットなどで枠を細分化しても一定のボリュームでインプレッションを確保することができるので、セールスする商品の幅を広げることが可能になります。

FocusMediaの例を見ても、圧倒的な量の「面」が売り上げを支えてくれることがわかります。

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投資は回収できるのか

面数を増やすときに出てくる課題として挙げられるのが、「サイネージ設置に伴う投資(コスト)を回収できるのかどうか」という点です。

デジタルサイネージの面数を増やしていく中でかかるコストとしては、以下のようなモノがあると思っています。

・機器/通信費(数年で入れ替えが必要)
・設置場所(地権者)への支払い
・工事費(設置/撤去)
・保守/点検(機器故障への対応)
・運用(クレーム/問い合わせ対応など)
・保険

設置環境や条件によって上記コストの一部が不要になったり、他に必要なコストが発生したり。ということはあると思うのですが、とにかくサイネージを設置するのにはコストがかかるので、設置をする際には利益が上がる場所の見極めと、販売モデル(商品/料金設定)が非常に重要になってくるということになります。

広告代理店で働いていると、新規でOOHビジネスを始めたいという方から、売れる場所や面数、最適な販売価格ってどうすればよいのですか?

という質問を受けるわけですが、10年広告代理店でOOHだけを売っていても、これを事前予想したり、当てていくのは非常に難しいなと感じています。

なぜかというと、売れるサイネージが時代によって変化していくからです。

ここ15年ほど、DOOH業界をけん引してきた、王者ともいえる電車内ビジョンは、テレビスポットCMと同じ15秒を1枠とし、テレビのリーチ補完としての役割を担ってきました。

一方で、デジタル広告の成長が進んだここ数年で、単純に広くリーチをすればよいのではなく、より効率的にターゲットへ訴求することが求められるようになり、動画広告のフォーマットも15秒や30秒だけではなく、6秒や10秒から5分のものもあるなど、自由に設定することが当たり前となっています。

こうした時代の動きの中で、ターゲットを絞ることができ、1対1で接触させることのできる、タクシー内のデジタルサイネージが急成長を見せています。

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ただ、トレインチャンネル/タクシーサイネージのいずれも、設置当初は販売に苦しんでいた印象で、広告枠として急速に売れ始めるようになったのは、「あれ買いたい。」と広告主が気づくようになってからだと思っています。

OOH広告は、リアルに存在する媒体であるため、広告主や一般消費者が見たことあるものでないと、なかなか売ることが難しいです。いくら効果があるといっても、自分の生活導線に存在していないものを買うのは、難しいでしょうし、売っている側としても日常的に接触していない媒体を薦めるのはなかなか難しいところがあります。

したがって、セールスを伸ばしていくためには、面数を拡大することで広告主に「あのDOOHっていくらで買えるの?」という認識を持たせる程度に拡大する必要があると思っています。

海外はどうやっているの?

このままだと、今日のnoteで言いたいことが、「どんな媒体が売れるかはわからないけど、とりあえず面数を増やさない事には売れない」という何とも中途半端なものになってしまいますので、、、、海外の事例を少しご紹介しておきたいと思います。

何度かこのnoteにも書いていますが、イギリスでは媒体の販売権利は、地権者が行う5~10年ごとの入札によって決定します。

条件を詳細まで見たことがあるわけではありませんが、入札は非常に熾烈で、聞く話によれば回収なんてできないんじゃない?という金額を地権者に払ってでも権利を勝ち取りに行くようです。

これは、面数を取ることが何より大事だということを長い経験の中で理解しているからだと思っています。

1つ具体的な例を紹介します。

2015年、これまでClearchannel社が保持していたロンドン市内のバス停の広告販売権利をJCDecaux社が奪い取りました。

これにより、ロンドンの一等地にある約1,000面のバス停広告の販売権を失ったClearchannelは翌年、ロンドンの外側のエリアのバス停広告の権利を獲得し、400面のバス停広告をデジタル化して販売するとリリースしています。

正直、ロンドンの一等地とロンドンの外側というのは、東京都と茨城県くらい都市のレベルとして差があるので、媒体価値も大きく異なることになります。

ただ、面数の重要性がわかっているからこそ、媒体社は場所が一等地ではなくとも、失った面数の確保に奔走するというのが海外では一般的となっています。

毎年値上げをして回収をする

もちろん、海外の媒体社も当然投資回収の問題を抱えています。

入札は地権者への支払額が勝負を分ける大きなポイントになるので、基本的に媒体社は非常に巨額の負債を抱えた状態でビジネスをスタートします。

この費用をどう回収するか?

ということになるわけですが、イギリスの媒体社は「媒体価格の調整と売り方」でそれを解決しようとします。

イギリスでは、売れている媒体は毎年のように値上げを行っていきます。商品に変化がなくとも、需要のある媒体は1面あたりの定価を上げることで、多くの利益を生み出そうとします。

この辺りの料金のコントロールは細かい計算よりも投資回収を前提に設定しているように感じていて、やや強引(むりくり)に根拠を用意しつつも媒体社都合で値上げしているなと感じることが多いです。

また、売れていない面と売れている面をくっつけて高く売る。というのも一般的です。人気のある媒体を買うためには他の売れていない面もセットでなければ買えない。というパッケージを用意して高く買わせる工夫をしています。

というわけで本日は、、、

「世界中のDOOHビジネス事業者がいかに面数を増やすかを常に考えている」

という話を書かせていただきました!

Clubhouseでのやり取りはとても楽しかったので、OOHに興味ある人、イギリスに興味ある人、是非一緒に話しましょう!!!!


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