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5GがOOHに与える変化を考えてみる。CES2021に参加して感じたこと。

1月11日から14日まで、「CES2021」が行われておりました。

僕は毎年ラスベガスで行われているCESには参加したことはないのですが、今年はバーチャルで実施していたことや、料金も120ドル程度で安かったこと、何より時差が少ないので、ストレスなく視聴できるということで、参加してみることにしました。

CES自体のまとめは、素人の僕なんかよりも、毎年トレンドを追いかけているプロの方がまとめているものを見て頂ければと思いますので、特に書かないのですが、

個人的に印象に残ったのが、、、ほぼすべてのプレゼンテーションの中で「5G」という言葉が数回使われていた。という事でした。

当たり前のことではありますが、これから新たに登場するテクノロジーは全て5Gでの通信をベースに設計されており、OOH業界にとっても、5Gによってどのような未来を描けるのかをイメージしておくことは、重要になりそうです。

そこで今回は、OOH×5Gで何が実現できるのか。僕が整理したアイディアを書いていくことにします。

LIVE配信の低コスト化

コロナの影響によって、スポーツや音楽、ビジネスなど様々なシーンでオンライン上でのライブ配信を提供する。見る。機会が急増していることは皆さんが実感していると思いますが、ライブ配信×OOHの組み合わせは「パブリックビューイング」として、¥ずっと前から存在しています。

2014年の「笑っていいとも 最終回」を新宿アルタビジョンに生放映した際には多くの人が集まって視聴をしていました。LIVE配信をリアルな場に集まって一緒にみたい。という体験は今後も変わらないのではないでしょうか。

笑っていいともの例以外にも、山手線での巨人戦の中継などライブ配信の実施事例はあるのですが、OOH媒体を用いたライブ配信は一般化しているといえるほど数は多くありません。

拡大の障壁は、通信を安定させるための機器の手配や、トラブルが起きた際の対応など、実施に対するコストが高いことだと認識しています。

こうした課題を解決してくれるのが5Gだと思っており、高画質な動画を遅延なく安く提供できるようになることで、youtuberがOOH媒体を使ってプレミア配信を行うことや、スポーツ中継の冒頭10分だけを電車内で放映してサブスクリプションサービスに誘導する、LIVEコマースを屋外ビジョンで放映して購買を促す。などすぐに実現できそうなアイディアがいくつもあります。

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(テレビ,youtube,OOHでの同時配信も可能になりそうです)

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(OOHでLIVEコマースを流すことで顧客の拡大を実現します)

多人数でのインタラクティブ体験

ライブ配信に加えて、5GはOOHのインタラクティブ体験の可能性を大きく広げてくれると思っています。

これまでも顔認証やスマホとの連携を通じて、様々な形でインタラクティブなキャンペーンが実現されておりますが、そのほとんどが1つの画面に対して1人で楽しむものとなっていました。


渋谷スクランブル交差点にある屋外ビジョンでは、低容量で楽しめるデジタル花火大会などを実施して複数人でのインタラクティブ体験を提供していますが、こちらも同時参加できる人数には制限が設けられています。

OOHはパーソナルなメディアではないので、大人数での同時体験が理想となりますが、5Gが提供されることにより高いクオリティで、複数人でDOOHのスクリーンをシェアするようなアイディアが実現されることになりそうです。

そして、1つの面だけで完結された展開だけでなく、東京と地方の媒体を繋いでの同時体験や、日本と世界をリンクさせたグローバルなインタラクティブキャンペーンなど、距離を越えた企画が実現する可能性もあると思っています。

リアルタイムな広告配信

天気・気温などリアルタイムに変動する条件に応じて広告クリエイティブを切り替えるダイナミックDOOHという手法は2016年頃から日本のOOH業界に広がり、一般化しています。

ダイナミックDOOHも5Gによって進化が期待できる領域です。

5Gによる通信の高速化はダイナミックDOOHキャンペーンにおいて、リアルタイムなデータの取得速度を速めたり、配信したい広告クリエイティブを放映するまでの時間を短くすることを実現します。

現状、駅や電車で流れているニュースなどは、少し古い(タイムラグがある)ように感じる人もいると思うのですが、広告も同様で、リアルタイムに変動する条件に応じて配信される際、条件を判別した後広告素材が配信されるまでに数分から数十分を要す場合もあります。

配信に時間がかかる原因は、動画の容量や通信速度に起因しているケースが多いため、5Gで解決されることに期待をしています。

リアルタイムな広告配信が可能になると、クリエイティブ面だけでなく広告の売買にも変化をもたらします。天気や気温など、特定の条件を満たした場合のみ媒体を購入したいというクライアントに対して、売買を瞬間的に成立させ即時に広告配信を行うことで、細分化された広告枠に対し、より効率的に、無駄なくOOH広告を購入・配信することが可能になるでしょう、

スピード感を持つ事業者が未来を切り開く

・ライブ配信の低コスト化
・多人数でのインタラクティブ体験
・リアルタイムな広告配信と売買

上記3つを5GがOOH業界に提供する可能性として挙げてきましたが、現在DOOH広告の主軸となっている駅構内のデジタルサイネージは、5Gに対応した機器を使っていないと思っており、切り替えコストも踏まえると5Gへの対応には早くても数年程度の時間を要する気がしています。

そうした状況の中で、タブレット型の端末で運用しているタクシー広告などの新規事業者さんは、先行して対応することができるのかもしれません。

イギリスでもまだ5GによるOOH広告の変化は見られていない状況なのですが、5Gが本格的に普及していく今年、世界でOOH広告の可能性がどう広がっていくのか、これからも追いかけていきたいと思っています。



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