OOH×モバイルデータ。カナダの事例から見えたアイディアの形。
今回は、カナダのDOOH事例を紹介しながらOOH広告のプランニング・効果検証の最前線について書いていきたいと思います!
正直、ほとんどが事例の引用ですので英語が得意な方は以下のURLを見て頂ければ、この先は読んで頂く必要はないかもしれません。笑
OOH新共通指標策定プロジェクト
先週、日本広告業協会(Japan Advertising Agencies Association)から「OOH新共通指標策定プロジェクト」の発足がアナウンスされました。
発表されたリリースによると、内容は以下の通りとなっております。
新型コロナウイルスによる外出自粛要請や在宅勤務で、公共交通機関や繁華街の利用者が減少したことに伴い、OOH 媒体を取り巻く環境も変化しました。これを機に、これまで議論されてきた OOH 媒体の諸課題も含めて、新しい生活様式に即した媒体価値の向上を目指す必要があると考え、協会内にプロジェクトを立ち上げることといたしました。
新たに発足するプロジェクトでは、交通広告、屋外広告、空港広告、タクシー・バス広告等、各メディアのアナログとデジタル双方を含む OOH 媒体を範囲として、広告主の皆様がメディアを横断して統合プランニングを行う際に、メディアの可能性や選択を幅広く提供できるよう、その根幹となる標準的な新指標を策定し、OOH 媒体がより信頼され活用していただける環境を整備、啓蒙していくことを目的としております。
広告価値指標(=Viewable)をベースとした国際標準に準拠した統一指標の策定をゴールとしますが、まずは、広告出稿時の実接触者数(アクチュアル)の媒体視認指標の整備と、媒体効果を十分に説明するためのデータ整備に取り組んでまいります。
OOH広告の共通指標(媒体ごとの視認者数や接触者数を同一基準でカウントする)については、既にこのnoteで紹介しているイギリス・アメリカに加えて、スウェーデンやオーストラリアなど、多くの国で開発・導入・運用されているので、指標があることが珍しいのではなく、ないことが考えられない。という世界的な潮流を感じています。
(OOHの国際的な機関であるThe World Out of Home Organizationは、共通指標の策定ガイドラインを定め、ウェブサイトにて発表し、指標の策定を世界的に推進しています)
OOH業界が厳しい現状の中で、業界全体が協業して前に進んでいく。というのはコロナによって世界中で叫ばれるようになっていて、これは素晴らしいことだと思っております。
モバイルデータを活用した広告測定
媒体ごとの人数をカウントし、媒体を評価することが目的の業界共通指標に対して、広告接触者のその後の態度や行動を検証する取り組みも広がりを見せています。
アメリカのDOOH市場における「カオスマップ」を紹介します。
(https://lumapartners.com/content/lumascapes/out-of-home-lumascape/)
これを見ると、中央部分にあるAttribution/Measurement/Verificationの部分に多くの事業者が参入していることがわかります。
多くの企業がモバイル(スマホ)から取れる位置情報データをベースにして、OOH接触者/非接触者の行動・態度変容に関する比較・検証を行うべくツールを開発している状況です。
GDPRやCCPAがあることで、データの取得には制限も出てきていますが、その時取れるデータをどう活用していくのか。が広告会社にとっては重要な視点だとも思っています。
カナダの事例
こうした世界の流れがある中で、カナダでモバイルデータを活用したOOH広告キャンペーンの効果検証に関するわかりやすい事例があったので、ご紹介します。
(ここから、上記URLで発表されているプレゼンテーションの中身を書いていきます)
キャンペーンの概要は以下の通りです。
■広告主:Mazda Canada Inc(カナダ)
■キャンペーン:創業100周年に伴う金利0円訴求
■時期:2020年6月から10月
■使用した媒体:高速道路沿いのDOOH
今回のキャンペーンは、Hivestackというカナダの会社が持つDSPを用いて配信し、DOOH広告接触者と非接触者を比べて、ブランド認知が向上したのか、ディーラーへの来店に寄与したか。という点について検証した。とのことです。
検証のカギとなったのが、モバイルIDを用いた広告接触判定と来店計測だと、このプレゼンテーションでは説明されています。
DOOHの視認範囲を定義し、その視認範囲内に入った人を広告接触者し、広告接触者がジオフェンシングによって定義されたディーラー店舗への来店したどうかについて、モバイルIDで判定しているようです。
さらにこのモバイルIDを元に、広告接触者と非接触者に対して、アンケート調査を掛けることで、広告想起や広告認知について調べている。とプレゼンテーションでは発表されていました。
さらにさらに、広告接触者/非接触者の来店に寄与について、ダッシュボード上でディーラー店舗ごとにリフトを確認できるようになっており、、、、、これにはとても驚きました!
(個別店舗ごとにOOH広告の効果を確認できる仕組みになっているようです)
今回のプレゼンテーションの中では、紹介されていなかったのですが、おそらくDOOHの面ごとにも、どのくらい広告認知や来店に寄与したかを評価することも可能なのでは?
と思っておりまして、これができると、各媒体面について、単純なリーチといった一般的な指標だけでなく、広告主の求める成果に応じた優劣をつけることができるようになります。
また、10月のマツダ車のセールスが好調だったとも紹介されており、購買にも寄与したことがわかるのも明るいニュースでした。
「Programmatic OOH」から7年
Programmatic OOHという言葉が2014年に登場して以来、インターネット広告×OOHの可能性について検討を始めて、約7年程が経っています。
カオスマップを見てわかる通り、事業者の数は非常に多くなってきましたし、上記で紹介したマツダさんの事例も出てくるなど、少しずつその型が見え始めてきました。
一方で、アメリカの予想だとProgrammatic OOH取引は、2022年にやっとOOH全体の売り上げに対して5%に到達する程度だと言われています。
(https://www.emarketer.com/content/programmatic-ooh-ad-spending-will-double-2020-remains-experimental)
今後インターネット広告×OOH広告(OOH広告のデジタルトランスフォーメーション)は避けて通れないわけですが、冒頭でご紹介した日本での共通指標プロジェクト同様に、国を越え、会社を越え、OOH業界全体でトライ&エラーを積み上げて、価値を共有していくことで市場を広げていくことが大事だと考えているので、これからもできる限り世界の様子について、発信を続けていこうと思っています!
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