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2020年12月に読んだ本を振り返る

この記事では、自分が12月に読んだ本を振り返って、読んでよかったと思える本をご紹介します。

12月に読んだ本

12月に読んだ本は21冊(小説が5冊、それ以外が16冊)でした。

小説はほとんど「響け!ユーフォニアム」シリーズで、先月から継続で読んでいます。その他の本は、興味を持てた本を適宜読んでいきました。

FireShot Capture 050 - shikadaさんの12月読書まとめ - 読書メーター - bookmeter.com

読んで良かった本3冊

12月に読んだ本のなかから、3冊ご紹介します。

1 13億人のトイレ 下から見た経済大国インド

人口13億人、目覚ましい経済発展を遂げているインドのトイレ事情に迫る一冊です。

インドでは、経済成長によって携帯の契約件数は11億件を超える一方で、5億人はトイレがない生活を送っているそうです。本書はトイレに着目して、インドの社会を描き出しています。

読むにつれ、トイレどころか水道や電気といったインフラも未整備な貧しい農村部や、都市のスラム街の姿が浮かび上がってきます。また整備されたトイレ(not水洗)の清掃は、根強く残るカースト制度の下層の人びとが担わされるとのことです。

日本育ちの自分としては、トイレは使えて当たり前な存在だと思っていました。しかし本書を読むと、トイレのを作り、水道を整備することがいかに大変か、またトイレがないとどんな問題が起こるのかなど、初めて気づくことばかりでした。

また本書はトイレを切り口に、インドが抱える各種問題を可視化することに成功しています。トイレを整備する補助金制度があっても、汚職のせいで必要な人にお金がわたらなかったり、トイレを作ろうとしても、そもそも水道が未整備だったり、トイレがなく野外で用を足すために、レイプ被害が非常に多かったり…。インド内務省の統計では、ニューデリーでは一日90件程度のレイプ被害が発生しているとのことです。

終盤では、こうしたトイレ問題をテクノロジーで解決しようとするスタートアップ企業が紹介されており、読んでわずかながら希望の持てる内容になっていました。

2 科学的な適職

適職選びのための指標を提供する一冊です。

いわく、世の中にあふれるキャリアについてのアドバイスは、個人の経験や主観に基づくものが多い。そこで本書では、複数の統計を統合・比較して、仕事選びで陥りがちな失敗や、満足度を高める職場について解説しています。もちろん、あくまでもそれは統計なので、読者は各自の考え方やライフスタイルを織り込んでキャリアを選択する必要があります。

印象深かった内容の要旨をいくつか紹介します。

人類は歴史の9割以上を「職業選び」を行わずに過ごしてきた。職業選択の自由とは無縁だった。たとえば江戸時代に生まれたら士農工商が決まっていた。このため、人間の脳は「複数に分岐した未来の可能性」をうまく処理するための能力があまり発達していない。大量の選択肢を前にすると、人間は不安や混乱に襲われる。
年収300~500万円を超えた辺りから、給料の上昇が幸福度の上昇につながりにくくなる。年収が400万円を超えた場合、そこからさらに幸福度を5%上げるには追加で年収400~430万円ほど必要になる。また給料アップによる幸福度上昇は平均して1年しか続かない。
会社に雇われず案件ごとに仕事をこなす「ギグワーク」についた人は、自由な働き方により一時的に幸福度が上がるが、不安定な賃金やスケジュール、次の仕事が見つからないことがストレスになり、長く続けるほどストレスがたまっていく。いっぽう、高度なスキルを持つプロフェッショナルは、そうしたストレスが少なく、フリーな労働のメリットが得やすい。
以下の要素は幸福度を下げる。
・長時間労働
世界中の22万人を8年にわたって追跡調査した結果、週の労働時間が40時間を超えると脳卒中のリスクが高まり、55時間を超えると心疾患リスク、糖尿病リスクが高まる。
・長時間通勤
通勤時間が長くなると運動と睡眠の時間が減り、幸福度が下がる。一般に、長距離通勤のストレスは、年収が4割上がらないと割にあわないと言われる。
・ワークライフバランスの乱れ
休日や仕事中に仕事のことを考えるだけでもストレスが上昇する。そのストレスは運動でも軽減できず、しかも本人は気づかない種類のストレスになっている。

自分自身、この本を読んで直近の転職を見直しました。また就職・転職を控えた人でなくても、職場の労働環境や仕事の満足度を考え直せる良書だと思います。

3 くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話

自分が無意識に行っている投資についてもっと意識的になろう、と説く一冊です。全体的に納得度が高かったです。

本書で言う「投資」というのは株を買ったりすることに限らず、普段ものを買ったりサービスを使うことも投資になります。自分が払ったお金がどんな企業に行っているのか自覚的になること、そして利益最優先で人を使い潰す企業には投資をしない、「買い物に意思を乗せる」ことが重要との主張をしています。

グローバルな大企業はたいてい、膨大なお金を投じてユーザーの心理を研究しています。そのためなんとなくで消費活動をしていると、無意識に安くて便利なだけの商品にお金を落としがちです。ただそれは、自分で選んでいるのではなく選ばされています。そうではなく、自分が「投資」しているサービスを運営する企業はどんな企業なのかきちんと調べることが重要です。

自分が毎日使って、お金を落としている商品やサービスは、実はとんでもないブラック企業に運営されているかもしれない。社員を使い倒し、搾り取ることで利益を確保しているかもしれない。そういうことを一つ一つ調べるのは面倒なことですが、自分が「投資」する会社とそうでない会社を意識的に選別することで「くそつまらない未来」からわずかなりとも遠ざかることができるでしょう。

本書を読んで、自分が「応援したい」と思える組織にお金を回すことを意識したい、と考えました。とりあえず、自分の近所で良質なサービスを提供している個人経営の飲食店や、労働問題の解決に取り組んでいるNPOなどを応援するところからはじめようと思っています。

まとめ

12月に読んだ本を振り返りました。

読書メーターで確認すると、2020年に読んだ本は218冊でした。

今年はお金全般に関する本をたくさん読めたのが収穫でした。貯金、保険、税金、資産形成…生きていくうえでお金の問題は避けて通れません。その意味で、お金に関する広範な知識を20代のうちに身につけられたのは良かったと思います。いささか手前味噌ではありますが、お金に関することなら、ほとんどは自分で調べて解決できるな、という程度の自信がつきました。

あと毎月、noteを書いて読書の振り返りをする習慣がついたのも良かったですね。記事の終わりに、読書で得たものを少し書き残したりしています。読み返してみると、今年の自分にとって、読書は知的好奇心を満たすエンターテインメントであり、実生活を改善するためのツールであり、自分自身の思考を引き出して言語化してくれるものでした。

そんなわけで、2020年の読書は非常に充実していました。ただ、少し広く薄くの読書になってしまった印象もあったので、2021年は、いわゆる古典や名著と呼ばれるような骨太な本を読んでいきたいなと思っています。

今年もどうぞよろしくお願いします。


最後までお読み頂きありがとうございました!