見出し画像

盲腸で救急搬送されて、手術・入院した話

少し前に、急性虫垂炎(いわゆる盲腸)で入院しました。救急搬送に手術に入院と、はじめての経験ばかりで、いろんな知見が得られたので、記事として残しておこうと思います。

初期症状

最初の症状は「お腹が重い」でした。下腹に鉛が入っているような感覚で、鈍い痛みがずっと続いていました。症状が出たその日に近所の内科にかかったのですが、その時点では「おそらく胃腸の不具合だろうが、詳細は大きい病院で調べないと分からない」と言われ、胃腸の薬をもらっただけでした。初日と2日目は症状が大して変わらず、処方された薬を飲んですごしました。食欲はまったくなく、吐き気ばかりが強かったです。

救急搬送、手術

3日目の午後に、痛みが鋭く強いものに変化し、痛みで身動きがとれずに脂汗ばかり出てくるような状態になりました。とても自力で病院に行ける状態ではなく、自分で救急車を呼びました。このへんのことは別記事に書いています。

救急車のなかで「尿管結石の可能性がある」と言われましたが、病院で血液やCTの検査をした結果、盲腸だということがわかりました。

この検査のときに、ついでにPCR検査を受けました。陰性でした。これが陽性だと、院内感染予防のために対応をまったく変える必要があるそうで、入院患者には一律に検査を行っているそうです。

検査結果を見ると、自分の盲腸はだいぶ症状が進行していたようです。「すぐに手術をおすすめします」と言われました。選択肢は無いに等しく、痛みで朦朧としながら手術に同意しました。全身麻酔と輸血に同意する同意書にサインしました。全身麻酔は副作用があるけど了解してね、あと宗教的な理由で輸血できないということはないですよね、という内容でした。

手術では腹を切るのかと思いきやそうではなく、腹腔鏡手術という方法が使われました。1cm程度の皮膚切開を数カ所行い、内視鏡というカメラで体の内部を見つつ、鉗子や電子メスを体内に入れて手術する方法らしいです。腹を切る手術に比べて傷跡が小さく、術後の痛みが少なく回復も早いのだとか。

手術中のことは、麻酔のせいでほとんど覚えていません。術後の治りの良さを見ると、手際よく手術していただいたのだと思います。

入院

目が覚めると、病室のベッドの上でした。ここから1週間の入院生活がはじまりました。入院中は、夜9時に消灯で朝6時に起きる超朝型の生活です。自分は4人部屋の病室に入りました。採血などの検査を受けたり、主治医の先生の回診を受ける時間以外は、基本的に自由時間でした。

以下では、入院中に感じていたことを断片的に書いていきます。

・寝れない

入院してから数日は夜、寝れないのがとにかくつらかったですね。痛み止めをもらっていたのですが、手術跡が痛くて寝返りがうてず、あおむけの同じ体勢でずっと寝ていると背中が痛くなりました。また点滴のせいかトイレが近く、寝付けても短時間で目が覚めてしまうことが多かったです。寝付けない時間は、もっぱらベッドで目をつぶってpodcastを聞いたりしていました。

・食えない

食事ができないのもつらかったです。大腸がやられていたので、最初は水も飲めませんでした。最初の数日はすべて点滴でまかないました。食事ができない苦しみを抱えていた時期に、カップラーメンの良いにおいを漂わせてきた同じ病室のおっさんだけはマジで許さん。

久しぶりに固形物を食べたときは、食のありがたさを思い知りました。薄味の病院食で、美味しい味とは言い難いものでしたが、食べ物を噛んで飲み込む行為そのものがエンターテインメントなんだなーと実感しました。

・することがない

最初はひたすら寝ていたのですが、回復するにつれて日中は寝なくなり、空き時間ができました。おもにスマホで読書していたのですが、長時間読んでいると目が痛くなるため、一日中読書するのは厳しいです。病院の売店に文庫本が売っていましたが、読みたいと思える本はありませんでした。あまりにすることがなく、売店で買ってきたナンプレをひたすら解くナンプレ職人と化していた時期もありました。

日記やnoteを書くのは良い気晴らしになるのですが、スマホの入力はどうにも遅くじれったくて、入院中はずっとキーボードが欲しかったです。

あとは、イヤホンが欲しかったですね。病室はwifiが飛んでいたので、イヤホンがあればアマゾンプライムで映画を見たりできたと思います。

そして退院へ

ちょうどまる一週間で手術跡の痛みもなくなり、血液検査の結果も正常で、退院になりました。冷房の効いた病院から一歩出ると真夏の暑さで、そういえば夏だったな…と自分の季節感のなさがおかしくなりました。

得たもの

今回の経験で得たものを書いていきます。

・怪我や病気はいつ来るか分からない、という教訓

自分はそんなに不摂生な生活をしていたつもりはなかったのですが、今回は盲腸で1週間も入院するはめになりました。主治医の先生に聞いたところ、盲腸の予防法はほとんどないそうです。あらかじめ防ぐことはできず、なってしまったら、受け入れるしかないということですね。

今回の件から自分が得るべき教訓は、回避不可能な怪我や病気に備えるべき、ということです。もちろん、事故に注意したり、健康を維持したりすることで回避できる怪我や病気もあるでしょうが、回避しようがないものも世の中にはたくさんあります。不運にもそういうものに当たった時に、事前に備えておけば、ダメージが最小限ですみます。

備える方法はいろいろあるでしょうが、

・仕事の属人化を解消して、自分の仕事の進捗を見える化しておく
・入院時の持ち物や注意点をリスト化しておく
・入院時の医療費の仕組みについて詳しくなっておく

あたりでしょうか。企業が災害時にも事業を継続できるように備えておくBCP策定の考え方が参考になりそうです。

・痛みに対する我慢強さ

盲腸のあの猛烈な痛みを経験したおかげで、相対的にたいていの痛みが平気になりました。たいていの痛みは「あのときの盲腸の痛みに比べれば大したことないな」と思えてしまいます。

・入院の経験値

物心ついてから、大きい怪我や病気はしたことがなく、入院の経験もありませんでした。今回の件で、入院時に必要な持ち物とか、病室での過ごし方とか、いろいろ試行錯誤できたのは良かったと思います。この知識は、入院した人をお見舞いするときにも活かせるのではないかと。

・積ん読の解消

入院中はすることが少なく、読書に時間をとれました。突然の入院だったため紙の本はほとんど病室に持って行けず、スマホのkindleに頼ることになりました。今回の入院中には、以前にkindleのセールで買ってからずっと手を付けられていなかった長編小説「三体」を読破できました。

失ったもの

得たものもあれば、失ったものもあります。

・1週間分の時間

まる一週間、仕事もプライベートもなにひとつ手を出せませんでした。不可抗力とはいえ、約束をドタキャンしてしまった友人たちには本当に申し訳なく思っています。

・1ヶ月分の給与

手術+1週間の入院の料金(3割の自己負担)で、1ヶ月分の給与と同じ程度のお金が飛びました。退院のときに領収書を見せられて、目が飛び出るかと思いました。高額医療費制度で大部分戻ってくると分かっていても、痛すぎる出費です。貯金しておいて良かったなと思います。今回の入院は不可抗力でしたし、上に書いたように得たものもあったので、不要な出費だったとは思っていません。考えてみれば、毎月給料から天引きされている医療費の元を取ったとも言えますね。

・4kgの体重

入院前後は寝たきりでほとんど食事をせず、入院中も点滴だけの期間があったため、体重がぐっと落ちました。日課の筋トレも1週間できなかったため、筋力も相当衰えました。そんなにハードなトレーニングをしているわけではないですが、それでも毎日やっているものを1週間サボると、筋力が落ちるのがはっきり分かりますね…。

まとめ

長文になってしまいました…。健康のありがたさや、日本の医療体制の充実っぷりを強く感じる1週間でした。

今回の入院は、正直言って準備不足でしたが、大事なのは次回に活かすことだと思うので、次回、自分や近しい人が入院することになったときに、今回の経験を活かせればと思います。

今回の記事は以上です。


この記事が参加している募集

最後までお読み頂きありがとうございました!