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さようならとはじまり

新大阪の駅を立った新幹線
博多に向かう三列席の窓側は西陽が眩しい
これから楽しい予定がある時なんかは切ない旅情を演出するためにきのこ帝国の昔のアルバムを引っ張り出したりするが、
明日は仕事だ。今から切ない気持ちになるわけにはいかないと、明るい曲を無理に聴く。
 
 
福岡への異動が命じられて1月半が経った
この2ヶ月で博多⇔新大阪を5往復した
そして今最後に、片道切符を握りしめて福岡に向かっているところだ
引き継ぎに引越しに試験に法事に、その場所から遠いことは移動自体がイベントになってしまう
明日からは遂に本当に福岡生活のはじまり
試験勉強がある間はずっと土日に予定が埋まってる状態だった。
試験勉強を始めたのは2021年末なので、今週末にはおよそ2年ぶりに何も無い休日がやっては来ることになる
 
これは大変なことだ
 
家族サービスをかなぐり捨てて会社に40年尽くしたモーレツ会社員の定年後のような、それに近い気持ちだと思う
要は途方に暮れているのだ
突然に目の前にぶら下がってた「試験合格」という明確で褒められるべき人参が急になくなったのだから、走り続けていた競走馬は前に広がる長いながーいレーンに何を見出せるだろうか
 
 
と、ここまで博多行きの新幹線の中で書いて力尽きて寝ていた
書いている今日は、その久々の休日を終えた夜だ
 
1人で、本当に何の予定もない休日は2021年末以来初めてだ
何をしたかというと、ひたすら寝た
社畜の習性でいつもの6時半に目覚めてしまうのだが、今日は佐川急便の再配達を目覚ましとして寝るんだ
そもそも宅急便も、平日夜までいないし、休日は朝から晩までTACにいたので、この2年間一度も受け取っていない
柄の悪い住人のせいでいつもいっぱいの宅配ボックスの合間を縫って受け取っていた
 
10時ごろ荷物を受け取り、モーニングはどこに行こうかななどと考え、また寝る
目が覚めたのは15時
新幹線で浴びたような、西向きの部屋の強烈な西陽が新鮮だった
休日常に予備校にいたので、この北向きの教室にはその光は差さなかった
 
身体が痛くなるほど寝て、SNSを目が痛くなるほど見て、ゆっくりと街をぶらつき、時間のある限りゆっくりと買い物をした
こんな日もいい
けど、目標がないと生きられない身体にさせられた僕たち難関資格受験生たちは、また新しい目標に向かって走らないと虚無を感じてしまうようになってしまった
 
2月の北九州マラソン出場を決めました
奇しくも誕生日
深夜1時、しかも酔っぱらってエントリーした
会社のみんなと出場する
人生を変える瞬間っていうのはこれくらい何気ない日常の中にあるモノだと思う
意思決定をした自分にはあっぱれをあげたい
何も準備はできてない
もしかしたら完走できないかもしれない
でもやってみる
とにかく行動してみる
行動の中で考える
 
福岡での生活も少しづつ落ち着いてきて、会社のメンバーとも少しづつ話せるようになった
恋人は遠くても愛してくれることを感じさせてくれるから安心できる
これからの生活にわくわくしている
どうか慣れてしまってこのわくわくとモチベーションを無くならせないでね


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