【詩】沁みる雨
ある晴れた日
見上げる空には
疎らにいわし雲が穏やかに
散りばめられ
建物に遮られた風が凪に装う
心がすこぶる爽やかではないが
意に反して
なぜか心に沁みる雨とはなにか
思い浮かべてみる
怠さを漂わせる
しとしとと
霧を吹きながら
薄いセロハンが
いや、オブラートかもしれない
何層にも重ねるように
また梅雨にも似て
雲間の光さえ許さない
なんとも煮えきらない
そんな雨が私には
真っ先に沁みるように思えた
ただ、振り返ると
土砂降りの雨に
心が沁みたことがあるだろうか
あるとは思うが
風を引き連れ降りしきる雨に
悲哀を包みこんだ
沁みる心さえも溶かされたのだろう
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