見出し画像

スタートアップの営業組織が50名になるまでやってきて良かったこと

ご覧いただきありがとうございます。とにかく面倒くさいECをシンプルにしたくて仕方のない大谷です。私は現在、SUPER STUDIOというECプラットフォーム企業で営業責任者をしており、この度2023年5月からその役割を後任の者へバトンタッチすることになりまして、その中でやってきた "良かったこと" を振り返ろうと思い立ち、筆を取りました。

私が営業マネージャに着任したのが2020年の秋頃ですので、およそ3年弱をかけて組織づくりにコミットしてきました。着任当時の営業メンバーは7名(厳密には他部署の管理までを担っているメンバーがいるので+5名)で、現在は全体で50名を超える組織になりました。弊社の提供しているECプラットフォーム「ecforce(イーシーフォース)」をご契約いただくECショップ様は単月で100を越えるようにもなり、常に計画を上回る達成ができました。益々スピード&パワーアップが求められる段階において、私のような他の様々な仕事を持っている人間が頭を張り続けてはいけないという経緯から、圧倒的に信頼させてもらっている畔上という者へ任を引き継ぎます。実は私の責任者着任と同時に入社したのが畔上で、彼とは10年以上の付き合いです。

まず前提として、少しでもスタートアップの皆さまのご参考になればという思いで執筆していますが、"良かったこと" と言っても取り組みの完成度はせいぜい15%ほどでしょうし、その10倍以上は失敗もしています。たくさんの方にご迷惑をおかけし、いつも助けていただきました。なのでやるべきことはこれまで以上に盛り沢山です。ECのセールスやコンサルティング業務、これまで以上の仕組み化や組織づくりにご興味のある方、ぜひカジュアル面談しましょう。いつでもDMお待ちしております。

かんたんに自己紹介

わたし大谷は2018年初頭にSUPER STUDIOへ入り、法務人事広報、toCマーケに情シスなど様々な業務を担当してきました。そして2020年からは営業組織も見ることになり、このバトンタッチを期に今後、

  • 広報

  • 新卒採用

  • 新規事業

上記に集中することになりました。セールス以外も幅広く積極採用中です!
ということで、本題にうつります〜!

KPIをひとつにして良かった

「気付いたらKPIが何十種類もあって、誰が何に集中すべきか分からない」といった "あちらを立てればこちらが立たず" の失敗は古の時代から言われることですが、私たちも陥りかけていました。ecforceはプランこそシンプルですが、サブスクの他に売上に応じた従量課金も存在しており、他にも「他のシステムから乗り換える」場合のフルサポートをしている関係から単発で費用をお支払いいただくこともあり、チームとして何を追いかけるべきかがシンプルでなくなっていました。

それを極限までシンプルに、従量課金等は理論値に変換した上で、「理論上、将来的に月あたりいくらの収益になるか」を算定し、その金額を追いかけるようにしました。簡単に言えば「理論上の月額収益」ですね。それを達成するために各部門が何を、どのような優先順位で達成すべきかを洗い出しました。改めて言うほどの事でもありませんが、細分化されたKPIが増えすぎる問題はいつでも起き得るため、自戒を込めて。

もちろん、KPIをシンプルに維持できるのは、毎日ショップ様の電話含めたサポートに奔走してくれているチームがあったり、ショップ様での開発保守を不要とするため凄まじいスピードで自社製品開発をしてくれているチーム、そして自社ECチームがしっかりしているからこそ出来ることでもあります。

さらに、そもそも私が入った頃は単月黒字収支を前提としていたため目標も言語化できないシーンがありましたが(と言うよりどこまでを目指すか何も明確に出来ておらず)、これは登る山を決めて資金調達をさせていただいたお陰で描けたものでもあり、投資家の皆様にも心から感謝しています。

組織をひとつにして良かった

SUPER STUDIOの営業は、SaaS製品を販売している組織としてはやや一般的でない役割を内包しています(50名以上いる組織でもフィールドセールスは10名未満)。下記が一例です。

  • EC事業全般のコンサルティングを実施するチーム

  • ECに必要なサプライチェーン(製造や倉庫物流など)を網羅的に組み上げるチーム

  • 営業以外の組織の管理を代行するチーム

これら以外にも、組織が分かれていることにより「なぜそのジョブがあるのか」を明言しづらいケースもあり、「お客様の流通を伸ばし、ご満足いただくことでお支払いをいただき、さらなる引き合いを頂くため」といった具合に目的と組織を括ることで、これがとんでもない馬力を発揮しました。

例えば、管理チームは受注案件数と業務負荷が比例してあがりますが、常にポジティブに仕組み全般を改良して営業全体の生産性底上げをしていますし、サプライチェーンが無償で物流の課題解決をした結果、大手のお客様がecforceに乗り換えてくださったり。コンサルティングをご依頼いただいたお客様は、それを理由にecforceをお使いくださります。

組織を細分化することは簡単です。拡大期においてはマネジメントの難易度を下げるため細分化せざるを得ない局面もありますが、出来る限りワンチームで走っていくことで、ナレッジの分断を防いだり、セクショナリズム等の見えざるコストを下げて生産性向上を目指すことが出来ますし、全体として追わなければならない最終ゴールへの執着を持つことにも繋がると考えています。

もちろん組織の統合プロセスには数え切れないほどの苦難があり、それを乗り越えてくれたメンバーには感謝の言葉以外ありません。「おつかれさまです」「こんにちは」というのをやめて、「アザマス」縛りで生きていかねばならぬレベルです。アザマス。

権限委譲しかしないで良かった

とにかく権限委譲にはこだわりました。自分個人が楽しいと思う仕事は極力やらないと決めてから、「責任は取るからチャレンジしよう」と言い続け、例えば下記のような方策を取りました。

  • 新製品をつくる際、販売戦略や具体的な戦術に口を出さない

  • 自分を飛び越えて創業者から一次情報を取ってもらう

  • 入社3ヵ月もすれば抜擢対象に入れる

むしろ重要な会議に顔(口)を出さず、議事録の在りかだけ抑えておき、「新しいアイデアを出すこと」と「マネジメントを機能させること」だけにフォーカスしていました。自分を通した方がまんべんなくクオリティは担保されますし、自分の知識が陳腐化する恐れもあったため、勇気のいる決断ではありましたが、「悪い知らせこそ早くしよう」とか「完成度が低い段階で壁打ちしよう」とか、そういった共通意識をマネージャが持ってくれていたおかげで、私はむしろ仕事の大小を問わず「いまこの瞬間にインパクト出せるもの」だけに集中することができました。

ただし、自分が重要情報を握っていないと正しい判断が出来ないため、必要な情報の集積所を作ったり、いつでもオープンでフラットな議論を持ちかけてもらえるようにしていたり、そういった取り組みは必要でした。新製品開発の際には、「戦術は任せるがこういう世界を実現したい」としつこく伝えていました。結果いまでは、チームが勝手に期中の目標を引き上げたりすることもあり、目頭が熱くなったことを昨日のように覚えています。ここで大きな役割を果たしてくれたのが現在のマネージャ陣と、後任の畔上でした。アザマス。

人格>スキルで抜擢して良かった

採用においてはスキルも重要指標のひとつですが、抜擢する際にはほとんど無視していました。ただし、抜擢する分野で一定の成果を出していることは条件となりやすい(あくまでも人望がある人に限っている)ため、結果としてスキルは身についているとは思いますが、あくまでも基準としては入れていなかったです。

いまチームを支えてくれているマネジメント陣は、明らかに人格者として優れています。私が評価するのもおこがましいほど、言ってしまえば "良い人" です。私が引き継ぎたかったものはスキルではなく考え方で、例えば「頂ける予算が非常に大きいが、ecforceは事業に合わないお客様」がいたとして、トークで誤魔化して継続性の無い受注をするようでは、会社を代表する営業組織として微妙です。「これまで以上に合うようにecforceの機能を増やす」「コンサルティングを通してむしろ先に事業を伸ばしにいく」「他のツールベンダーと協業して多面的な問題を解決する」など方法論は固有に様々ですが、毎日発生するこういった状況下において、高い視座で三方良しの選択肢を出していけるチームこそが、良いチームを、会社を、プロダクトを作っていけるのだと信じています。

変化を恐れなくて良かった

この3年弱、何が変わったかと問われると「すべてです」と即答します(営業としては下手なコミュニケーションですねw)。

SaaS、EC、スタートアップ、組織、どの側面から見ても自社はおろか取り巻く環境すべてがこの数年で一変しました。特にECは毎週のようにトレンドが変化しますし、あわせてプロダクトが成長する中では、組織の進化はむしろもっと早いことが望まれます。ですので、嫌われる勇気をもって頻繁にチューニングしてきたことを覚えています。実際嫌われたと思います。

どのポジションを取って見るかによって、変化における意思決定は正しくも誤りにもなり得ます。異動ひとつとっても、個人と会社の利害を一致させなければなりません。その人がより活躍する場所を見出さないといけないし、意思も引き出さないといけない。その上で会社にとって最適な配置をデザインしないといけないので、その手の仕事は非常に難易度が高く、「何も変化しない」が最もラクな選択肢なのですが、あくまでも臨機応変に進化を諦めないで本当に良かったです。これは会社のVALUEがあったお陰で「変化を楽しむ」メンバーが多く、助かりました。

いくら "いま重要な" 戦力を割いてでも、新たな役割をどんどん作り続け、その都度チーム全体が成長していくのを実感しました。ここでは「責任と権限をきちんとセットにする」というのが難しく、強く意識したポイントでした。「任せる」と言っておいて決裁権を渡せていないケースは多いと思いますし、自分自身がそうしてしまっていることに気づき、大胆に軌道修正したのも主にこの辺りです。

組織の変革においては、本当にたくさんの方に助言を頂きました。毎日のように他社の方をはじめ様々な方に壁打ちをさせていただき、その時にメモした内容は恐らく90%くらい実践しました。ほとんど丸パクリです。何も返せていないので返していきたいですし、私もさらにアーリーステージの組織の方がいたらいつでも壁打ちお付き合いします。アザマス。

余白を残して良かった

私はいわゆるTHE MODEL型、分業体制を敷いている組織において、一人ひとりのやり甲斐が薄まっていく可能性があるのではないか。そんな不安を拭いきれずにいました。組織が小さい頃は、否が応でも自分で広範囲をカバーしなければならない辛さがありますが、そのぶん広範囲かつ深く、言ってしまえば "個人学習効率" の高い状態を作れますが、分業が進んでいくごとにやり甲斐と生産性が下がっていくことを危惧していたことを覚えています。

そこで、KPIに余白をつくることにしました。例えば、大規模なシステムをecforceに移行する際にお客様から頂戴する単発作業費はKPIではありません。他にもコンサルティングで頂く費用はKPIではありませんが、そういったキャッシュを作った実績を後から評価時に加えたり、間接効果としてチームへ貢献したことを総合評価時に加味することで、チャレンジを受け入れられるようにしました。

その結果、目先の業務にとらわれないアイデアが様々なチームから出てくるようになり、例えばサプライチェーンチームが新サービスを考案して短期でローンチしていたり、反響型営業を主としていたインサイドセールスチームからエンタープライズ部門が出来たり。製品導入時の無償コンサルティングチームやイネーブルメントなど、次々に新しい価値が生まれました。

営業の枠すら飛び越えて、イネーブルメント等を担当した吉田や永井といった爆裂に活躍するマネージャが人事に異動してより広範囲な課題解決に挑み始めたりと、ルギアが爆誕しまくっています。

マネージャにとってはKPIが重要な中で難しい判断を迫られるシーンも多いですが、今ではこの点に執着した論争は全く起きず、非常にバランスの取れた組織になったと思います。アザマス。

つらつらと書いてきましたが、つまるところ、

  • ビジョンを打ち立てて

  • 良い目標を設定して役割を明確化して

  • 権限を移譲しながらしっかりサポートして

  • チームに良い影響を与える人を抜擢して

  • 長期的な成長阻害要因を排除して

  • 結果、大達成する

ということが大事なのだと学びました。書き出してみると普通すぎますが、私にはこれがすごく難しいことでした。でもこれだけは言えます。SUPER STUDIOのセールスは最高の組織です。

最後に営業させてください

こんなに雑で抽象的な文章をお読みいただき有難うございます。ここまで読んでくださった方は、ほんの数ミリでも私と馬が合うはずです。そんな方におすすめしたいのですが、ちょうど現在、毎週マネジメントに関するPodcastを配信しています。中でも営業に寄ったエピソードがありましたので置いておきます。ぜひご視聴いただき、気に入ったらチャンネル登録してください!内容のリクエストもお待ちしております。

冒頭に申し上げたとおり、弊社では営業メンバーを激しく募集しています。まだまだ立ち上げフェーズで大変な時期ですが、これからの営業組織を作っていきたいという方、ぜひご応募ください〜!

「応募するほどじゃないけど、なんかフワッと話したいな〜」という方は、私のTwitterアカウントまでDMください!

「○○して良かった」の構文は、私が営業メンバーとカラオケに行ったとき最も歌っていたであろうフラワーカンパニーズの「深夜高速」から拝借しました。生きてて良かった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?