なかちゃんの波乱万丈の人生⑥



第6章


1 腑抜け人間!


 下の娘が旅立ってから数日、周りも落ち着いてきたころ、

パートナーと上の娘は、仕事に復帰するため

それぞれの家に帰っていきました。


 あまりにも突然だったので、娘がこの世にはもういないなんて、

信じられませんでした。

4人別々の生活だったので、1人になっても今までと同じ感覚でした。

なので、涙すら出てこなかったのです。


 そんな中、スキー場から持ち帰ったバッグを開け、

中の手袋やウェアを見ていた時でした。


<もういないんだ>という現実が突然襲ってきたのです。


今までいろいろなことがあったけど、

<泣いたこと>なんてなかった私が、

初めて一人声をあげて泣き崩れました。

身体の中の涙がぜ~んぶ枯れるほどに・・・


 そのころから、夕方近くになると不安になったり、

胸が苦しくなったり、血圧がバーンと上がったり、

めまいがしたり、涙がボロボロ出てきたり・・・

いろいろな症状に苦しむようになったのです。


いつ襲ってくるかわからない<めまい>

1人でいる恐怖。


病気なんて全く縁がなく、

出歩くのが大好きな私が、

買い物に行くことさえ<怖く>なってしまいました。


 パートナーが心配して、

頻繁に戻ってきてくれてはいたのですが、

毎日、毎日ただ時間だけが通りすぎていく

腑抜け状態になってしまったのです。



2 ディズニーランド


6月の終わりでした。

上の娘が

<会社のイベントの抽選で、

ディズニーランドに家族1人¥1000

で入れるチケットが当たったから行ってみない>

と誘ってくれたのです。


外に出ていけるか、新幹線に乗れるか、

東京まで行けるか・・・などなど

いろいろな不安はあったのですが、

なんとなく

<行ってみよう>という気になったのです。


半年前に娘2人と一緒にきた場所。

パートナーと娘が乗り物に乗っている間、

私はただぶらぶら歩いていました。


軽快な音楽と愛嬌あるキャラクターたち、

おそうじするスタッフまでが、

パフォーマンスを見せてくれる。


どこに行っても

<笑顔に満ちあふれ、優しく明るい声掛けがあり、ユーモアがある>

この夢と魔法の王国が、

私の心にすこしだけ灯をともしてくれました。


ディズニーランドという特別な場所で、

久しぶりに家族3人で遊べたことが良かったのか、

1日いても、めまいも起こらなかったし、

重苦しい気持ちがなくなっていたのです。


それから自宅に戻って、心の浮き沈みがある中、

時間だけが淡々と過ぎていく日々を送っていました。


3 山に行く

そんなある時、職場の仲間が登山に誘ってくれました。

登っているときは、みんなについていくのに必死で、
何も考えることもなく、ただひたすら登りました。


ふと気がつくと鳥のさえずりが聞こえたり、
木々の間から優しい光線がさしこんできたり...。


そしてなによりも上のほうに行くと雲が下に見えて、
空がとっても青くて近く、
娘に少し近づけたような感じがしました。


こうして私は<山>に夢中になりました。


山には<お花畑>と呼ばれるところがあります。

山に登り始めたころは
高い山の斜面に<お花>が咲いているなんて想像もできませんでした。


季節によっては、山の斜面一面にお花が咲いていたり、

そうかと思えば、岩陰にポツンと小さなお花が咲いていたりします。

私はいろいろなお花の名前を教えてもらうのですが、
ほとんど覚えられないのです。
(丁寧に教えていただいているのに、ホントごめんなさい!)

花が咲いているその景色を楽しむことが大好きなのです。


新緑のみどりが輝いて見えたり、紅葉がすばらしかったり、
ちょっと寒くなると、葉っぱの水滴が凍ってキラキラ輝いて見えたりすることもあります。

奥深い山の中に湧水があったり沢があったり、
木々の隙間から差し込んでくる一筋の光がまぶしくて、
風を感じながらその場にいられる幸福感。


真っ青な空に真っ白な雲。
まるで動く動画を見ているように表情を変える。

時には雲の上に立ち、雲海を眺めながら歩いたり・・・


山って、登ってみた人じゃないとわからない感動がありました。


こうして私は山の自然に包まれて心が癒され、

大自然の息吹の中で、パワーをいただき、

徐々に活気を取り戻していったのです。


この続きはまた明日・・・

お読みいただきましてありがとうございました。


今日も明るく・軽く・元気に過ごすことができました。

ありがとうございました。











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