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夏風邪には、胃腸病が多い・・・。そんな時には、半夏を用いた漢方薬がいいかもしれない。半夏の効能・効果を知ろう。

夏になると、いわゆるお腹の風邪が増える時期でもあります。食中毒も増えてくるので、嘔吐・悪心・吐き気・下痢・腹痛などが多く出る事でしょう。

よく救急でも仕事をしますが、ナウゼリン・ブスコパン・整腸剤などで様子を見ているイメージが多く感じられます。

感染症による下痢においては、無理に下痢を止めることは、お腹に毒素をため込む行為であり注意が必要です。そのため、無闇にドラックストアで下痢止めを飲むのは気をつけましょう。

漢方薬では、このような胃腸病の時には【半夏】という生薬がよく使われます。

半夏(はんげ)について

半夏とは、サトイモ科カラスビシャクの根茎であり、この外皮を取り除き、乾燥したものとなります。イメージだと、里芋の皮をむいて乾燥したような感じです。

実は、毒性があります。そのため、まずは薬にするために修治という下処理が必要なのです。

これを介す事で、毒性を抜き薬効を引き出します。

台湾の先生の小話をすると、未修治と修治済みの半夏をいれた水槽に金魚をいれると、未修治の半夏の水槽のみ、死んでしまったという実験があるそうです。

それだけ、修治が大切だという事が分かるかと思います。

きちんと修治した半夏は、妊婦にも使える!!

毒性が抜かれ、薬効を引き出した半夏は、生姜・茯苓と配合されると、小半夏茯苓湯という漢方薬が出来上がります。悪阻(つわり)にも良く使われる漢方薬です。

半夏と生姜は、相性が良く組み合わせることで、嘔吐・吐き気を治す制吐作用を高めます。茯苓は、利水作用により、目眩(めまい)・浮腫(むくみ)などに用いられます。

この悪阻は、胃腸機能が低下し、水捌けが悪い状態のため、小半夏茯苓湯が使われます。

もう少し詳しく、生薬の効果を説明しましょう。

半夏は、中枢性・粘膜刺激からの嘔吐のどちらも抑制し、鎮咳作用も示します。生姜は、末梢性の嘔吐を抑制します。つまり、この二つの生薬で、起こりえる嘔吐を抑える事が出来ます。

そこに、水捌けを良くする茯苓により、胃内に溜まっている余分な水分を排水することで、悪阻を抑えます。

さらに、紫蘇葉(しそよう)・厚朴(こうぼく)を加えると、半夏厚朴湯という漢方薬になります。これにより、ストレスである気鬱を改善します。

ストレスによる吐き気や喉のつっかえ(梅核気・ストレス玉)にも効果を発揮します。

この夏に、半夏を使ったオススメの漢方薬とは??

半夏瀉心湯

半夏や生姜の他に、黄連・黄芩 なの清熱作用のある漢方薬が配合され、胃炎・逆流性食道炎・二日酔いに効果を発揮します。

とくに、みぞおちが痛む方の特効薬とも言えます。

その他にも、感染性胃腸炎つまり胃腸の風邪にも使えます。基本的には、胃熱という症状に使用されるので、身体に熱が籠もっている場合に相性が良いでしょう。

逆に、お腹の冷えには向いていないので、冷えによる下痢には合いません。

まとめ

夏風邪や夏の胃腸炎に使いやすい生薬は、半夏です。また、半夏は修治が大切なので、それだけでも覚えてもらえたら、嬉しく思います。

とりあえず、吐き気や嘔吐で、漢方を試したい場合は、小半夏加茯苓湯は、妊婦にも使えるくらい安全です。

気になる方は、試してみると良いでしょう。

以上、参考になれば幸いです。

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