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人材不足は社員の数だけじゃない=プレゼンティズム・アブセンティズム

日本人は 少々の体調不良でも出勤する、というのが昔からの慣例、美徳のようなところがあります。とりあえず会社に行けば、周りの人に迷惑をかけることもないし、非難されにくい。本当は休みたいと思う体調であっても、とりあえず出社することが美徳となるのです。
そういう美徳で育ってきた人たちが上司になれば、当然部下にも同様の「上司の常識」が職場のルールになってしまう。

勿論、このような「頑張る姿勢」は素晴らしいことではありますが、あまりに無理して、本来なら休むべき体調、家庭の事情があっても、休むことは許されない、という考えに凝り固まってしまい、出勤しても「生産性が悪い」「パフォーマンスが上がらない」という状態のままで働く=プレゼンティズム の状態になってしまうのです。

短期間の体調不良であれば問題にはなりませんが、慢性的な疾患やストレスによる自律神経失調症が引き起こすメンタル不調、気分障害、腹痛、頭痛など治療をしないままで なんとなく仕事に行く、という習慣がついてしまうことが問題につながります。

プレゼンティズムと関連して、アブセンティズムは、体調不良での遅刻、早退から欠勤、休職など、心身の不調により 出勤できなくなってしまう状態のことです。
こちらそもそも出勤できない状態ですから、生産性の低下につながります。

アブセンティズムもプレゼンティズムも どちらも企業にとっては マイナスであることは当然です。
そしてどちらも メンタルヘルスのケアは必要なのです。
なぜなら、働く人は企業と契約をしているのです。就業規則を守り、就業時間は指示に従って一定ルールの中で仕事をすることを約束しているのです。
でも人間ですから体調不良になることは当然あります。それに有給休暇は自由に使える権利もあります。
そんな中で 決まった時間に出社しない、突然診断書を提出してきて休職というアブセンティズム、とりあえず会社には来るけれど なんかぼーっとしていて、仕事がはかどらない、期限を守れない、コミュニケーションがしにくくなる、、など 出社しているけれど、社会人としての義務を果たせていないプレゼンティズムとなるのです。

そして冒頭の写真は、「従業員の健康に関するコストの全体構造」のグラフです。このデータから見るとプレゼンティズムの割合が大多数なのです。
出社しているけれどパフォーマンスが発揮できていない状態を改善することに未然防止策をとらないと高額なコストがかかる、ということです。

社員の数と実質働く人月に換算と大きな差が生まれる。これが「人材不足」感を感じるところなのです。

個々の社員の健康状態だけでなく、職場の環境、ハラスメント、見えていないことに目を向けて、問題点を探していくことで 課題が見えてくるのです。
些細な職場の問題を個々の問題、たまたまだよ・・と 簡単に放置していくと、実は組織に大きな問題があったり、仕事内容に偏りがあって部門によってストレスを抱える部署が続発するなど、改善するのに時間がかかる問題が潜んでいることもあります。
ですから、組織は「予想する力」をもっていることが 企業を強く、大事な社員を守り、社会に還元するサービスの提供ができる企業に成長できるのです。

人を育てるには時間が必要です。後手後手になる前に 企業が目指す方向性に自ら導いてくれる戦力社員を コストをかけずに育成していくことが戦略的な経営課題と言えます。



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