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結婚式の新郎の覚悟は、日本を代表する俳優と肩を並べる

28歳。今年29歳になる。
ここ数年、友人の結婚式が続いている。
ご祝儀3万。この年齢だが正直、俳優と脚本だけでは食べていけてない僕にとっては、中々痛手な額だ。
しかし、これまで行った結婚式でご祝儀含め、後悔した式は一つもない。
元々、相当関係性があるからこそ呼ばれるのだから(そうじゃない場合もあるらしい。人数合わせとご祝儀補填などの為に?)、様々な想いが巡るとは思うのだが、嘘でも忖度でもこの記事の為に感覚を盛っているでもなく、本当に後悔がない。ご祝儀換算するのも不躾かもだが、3万円以上の感情と想い出を貰っている。

特に新郎の覚悟だ。
新郎側の友人でしか呼ばれたことがないので、関係性による補正もあるかもだが。(新婦側友人としては永遠に呼ばれないんだろうな…。呼んでくれそうな第一新婦候補、第一希望選択新婦も思いつかない)

特に強烈に僕の中にあるのが、ある新郎の「誓います」だ。
圧倒された。彼が発した時、時空が歪んだみたいな、希望の世界を参列者の僕達にも言葉で切り裂いて見せてくれたみたいな、その瞬間の並々ならない想いで発した言葉、人が一生に出せるか出せないかの奇跡のような最大瞬間風速を「誓います」で彼が振り絞って出した時、僕は生の舞台で日本を代表する俳優と目が合って、あるセリフを僕に投げかけてくれた日がフラッシュバックした。

彼は、高校の部活時代の友人だ。中学の時から知ってもいたので、もう15年近い関係。明るくて、裏表もなく、部活でも主戦力。
また部室では「おしり」とか「チ○チン」とかを言ったり、言い合ったりして、大笑いするような奴だった。(←僕は言い合ってない。傍観者でもない。その時間は全くの無関係者だ。僕は吉瀬美智子さんの画像で微笑んでいた。天海祐希さんの日もあった)

そんな彼の、結婚式で出た新婦への「誓います」の言葉。
彼からは聞いたこともない、声質と深さだった。それまで和やかに笑い合っている挙式から、その瞬間に全員が感じたと言えるほど一言で空気が一変した。
本物の想いが宿っているとそれに伴った声が出るんだと、その時初めて実感した。声ってすごい素直だ。
小手先で「こういう声を出そう」とかで出しても、見透かされるし、人には届かないんだよな。本物の想いを持って、発しなければいけないんだよな。
俳優がセリフを発する時、「どういう声を発しようか」とか、「どう見られたい」とかそんな事は誰の為にもならなくて、自分のために来てくださった観客に伝えたい想いと、目の前に立っている相手に何を伝えたいのかを大事にして、言葉を発しろという事を、僕は彼から学んだ。

「誓います」を彼が発した瞬間、僕は『髑髏城の七人~season花』の小栗旬さん演じる捨之介が、客席にいる僕に向けて言葉を投げかけた時の鳥肌と覚悟を思い出した。
僕が大学を卒業をした2017年4月、某有名劇団の試験はことごとく落ち、
数十個の事務所に書類を送っても返信も来ずで、何も決まらず、先も見えなかった時期、豊洲で日本初の360°回転劇場‘IHIステージアラウンド東京‘のこけら落としとして行われた劇団☆新感線の演目を観に行った。
1300席を超える大劇場のこけら落とし公演で、僕は前から5列目というめちゃくちゃ近い席が当たった。
小栗さん演じる捨之介があるシーンで「男は皆、スケベだよな」的なニュアンスのセリフを客席の人に投げかける場面があるのだが、その日の公演は小栗さんが僕を見てその言葉を投げかけた。
小栗さんが僕を見てその言葉を発した瞬間、僕は小栗さんに超頷き、超微笑み、その後は心がずっと宙に浮いてるような放心状態に突入した。

初めて本物の超一流の方と目が合い、僕に言葉を投げかけてくれた瞬間、鳥肌発狂興奮は勿論、「男は、スケベだよな」の言葉から言葉以上のものを感じた。
これが役者を職業にしている超一流の方の言葉の発し方と、目と佇まいと、言葉の中にある言葉以上のもの。とてつもなく大きいものを背負っている覚悟と、見に来て下さった方への想い。毎瞬間、命を投げうってでも演じている。
「これ仕事にしようとしているのか、自分は」

その後、いくつもの凄い舞台を観たが、この感覚は味わっていない。
それを彼の「誓います」で感じた。
彼の一言はその言葉に伴う、それ以上のものがあった。
俳優で言うと、台本に書かれた言葉以上の奥行きと広さを体現できる事。
台本に書かれたセリフを、セリフ以上に膨らませられる者が俳優であり、求められる俳優とよく言われる。俳優を職業にできる者が持ち合わせなければいけないもの。
この時の彼の「誓います」には、それがあった。

彼に直接そのことを言えていない。
「おまえの「誓います」の想いと覚悟、IHIステージアラウンド東京で生で前から5列目で観た小栗旬と目が合って投げかけられた時くらい圧倒されたぞ!!!」
(小栗さん、敬称略ですみません。鎌倉殿もGTOも救命病棟24時も電車男もBORDERも、情熱大陸もプロフェッショナルも僕の活力と指針です。
あと『BORDER』は観てない人観たら、絶対観た方がいいです。
岡田准一さん主演ドラマ『SP』、窪塚洋介さん主演映画『GO』の脚本家・金城一紀さんオリジナル脚本のドラマなのですが、観たら見終わるまで1週間めちゃくちゃ興奮状態になります。ほんと凄いです。最終回が凄すぎます。最終回の小栗さんがとんでもないです。ラストのあの表情がとんでもないです。見終わるまでの1週間絶対ワクワクします。ほぼ保証します。)

新郎の彼と次会った時、熱燗を何杯飲んででも、面と向かって書いたこと伝える!

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