メール地獄からの解放:AI完全自動メール返信生成システム(by ChatGPT研究所)
本日は最近私の仕事のやり方を劇的に変えてくれたツールについて、紹介したいと思います。
まず初めに、ここのシステムを開発したChatGPT研究所さんとは一切の利益相反(COI)がないことを明確にしておきます。このツールがあまりにも私の仕事の体験を変えてくれたのでこの体験を是非共有したいと考えました。
私が抱えていた問題
アカデミアなどで少し立場が上になってくると、日々のメール対応に追われる状況になってしまうのは避けられない事だと思います。私も例外ではありませんでした。
手術や外来が終わってメールボックスを開くと、未読メールの山に圧倒される
学外の偉い先生に丁寧な返信を心がけるあまり、1通のメールに5分以上かかってしまう
メール対応に時間を取られ、睡眠や研究に割く時間が減ってしまう
こんな状況に、頭を悩ませていました。
最近はSlack, LINE, Teams等のチャットツールも普及はしてきており、メールよりは時間泥棒にならないですが上の先生が使いたいたがらなかったり、学外の先生とはメールが中心にならざるを得ないと思います。
AI完全自動メール返信生成システムとの出会い
こんな悩みを数年抱えていたのですが、「AI完全自動メール返信生成システム」というツールがChatGPT研究所さんからリリースされました。ChatGPT研究所さんといえば「GAS interpreter」が有名ですが私にとってはこのメール自動返信生成システムの方がインパクトが大きかったです。
導入の効果
システムを導入してすぐに、その効果を実感出来ました。
完全自動化: 今までも時々ChatGPTやClaudeにメール返信を作成させたことはありましたが、ChatGPTにコピペして指示出して、またメールに貼り付けてと手間がかかるので常用はしていませんでした。それがこのシステムを使えば、メールボックスを開くと、AIが自動で返信が必要なメールのみ選択して下書きを作成してくれています。
時間の大幅削減: メール対応にかかる時間が劇的に減りました。多くの場合、僅かに修正(多くの場合1-2行削除するだけで良い)して送信ボタンを押すだけで済むようになりました。
品質の一貫性: AIによる返信は、例示した私の書き方を学習してくれているので違和感のない文面になっています。
返信が必要なメールがわかる:返信が必要なメールに「下書き」の赤い文字で表示が出るため返信が必要なメールがわかります。返信必要なメールに返信漏れする事はほとんど無く、どちらかと言うと返信不要なメールにも下書き作成してくれている事が多いです。
カスタマイズ法
記事に課金すると受け取れるスプレッドシートに設定を書き込んで自分好みにカスタマイズできるのですが、私の場合、以下のようにカスタマイズして使っています:
最初返信作成の時間間隔は30分に設定してましたがメール開いた時に下書きが無いとダメな体になってしまったので今は15分にしています。
メール例文
自分の文体を端的に表している文面を3つほど入れています。
署名もここに入れています。署名はデフォルトで設定しているものが無効化されるようです。署名は許容範囲内ですが毎回少し違った感じになります。
コンテキスト情報
1. **送信者と受信者の確認**:
- 返信するメールの送信者を正確に特定する。
- 宛名は送信者にする。送信者が医師の場合、「[名前]先生 侍史」の形式を使用する。
2. **一人称の使用**:
- 返信は常に[自分の名前]の立場で書く。
- 「私」「私たち」などの一人称を適切に使用する。
3. **文脈の理解**:
- 元のメールの内容を丁寧に読み、文脈を正確に理解する。
- 送信者の意図や質問を適切に把握する。
4. **適切な返答**:
- 元メールの内容に対して的確に応答する。
- 単なる繰り返しや不適切な解釈を避ける。
- 誰が何をするのかを明確に示す。
5. **丁寧さの調整**:
- 組織外の人には特に丁寧な言葉遣いを心がける。
- 内部の人には適度に丁寧な表現を使用する。
6. **言語の選択**:
- 英語のメールには英語で返信する。
- それ以外は日本語で返信する。
- 署名が日本語であっても日本語で返信する。
7. **スレッドの扱い**:
- スレッドの場合、元の送信者ではなく直近の送信者に対して返信する。
8. **署名と結びの言葉**:
- 「敬具」などの結びの言葉は使用しない。
- 適切な署名を付ける。
9. **再確認**:
- 返信前に内容を再確認し、誤解や不適切な表現がないか確認する。
返信判断基準
1. 一方的なお知らせやメルマガには返信不要
2. 質問や依頼を含むメールには返信が必要
3. 個人的なメッセージや重要な業務連絡には返信が必要
4. 自動生成されたシステムメッセージには通常返信不要
5. 英語で書かれた hope you are doing wellのような挨拶で始まる新規の論文投稿を促すメールには返信不要
注意点と限界
もちろん、このシステムにも限界はあります:
情報セキュリティ: すべての情報をGeminiAPIに送信するため、特に機密性の高い情報を扱う場合は注意が必要です。(個人情報はメールでは取り扱わないと思いますし、機密性の高いデータは少なくともgmailではやりとりしないと思いますが)
人間の監督: 情報の正確性は信用に関わるため、AIが生成した返信は必ず人間がチェックする必要があります。
人称が不正確:これは主語が省略されがちな日本語の特性が原因と思いますが、例えばメール送信主がやりますと言っている事を受け手の自分がやります、と言って返信する間違いが多いです。コンテキスト情報にもその指示を入れていますが完全には防げません。
下書きが大量にできてしまい、後で送信しようとしていた手書きの下書きが埋もれる
Gmail以外のメーラー非対応:残念ながらgmail以外には非対応です。やっていないので正確にはわかりませんが、IMAP(受信)とSMTP(送信)プロトコルを利用して、様々なメールサービスと連携することは可能だと思います。こちら解決されたようです👇
私の仕事がどう変わったか
このシステムを導入してから、私の仕事の質が大きく変わりました:
メール対応時間が体感で約50%削減されました。
(今まで時間がなくて返信できていなかった)どちらかというと返信した方が良いメールに返信できるようになりました。
研究、睡眠や
Xをやる時間が増え、より時間を有効に使えるようになりました。メール対応のストレスが大幅に減り、仕事全体への満足度が上がりました。
コストと効果
このシステムは月額2,980円の「AGIラボ」へのサブスクリプション(1ヶ月単位の買い切りも可能)で利用できます。私の体験では、この費用以上の価値があると感じています。
実際のGemini APIの使用コストについても共有したいと思います。これまで3日間の使用で41円でした。この間、AI返信を作成したメールが80件ちょっと、AI返信不要と判断されたものが約400件(広告など含む)でした。この使用パターンであれば、1ヶ月使っても500円以内には収まりそうです。
費用対効果を考えると、私にとってはこのシステムは非常に価値のある投資となっています。
最後に
AI完全自動メール返信生成システムのおかげでメールに割く時間がだいぶ減り、メール処理の仕方を根本から変えてくれました。
もちろん、これはあくまで私個人の体験です。皆さんの状況や好みによって、効果や使い方は異なるかもしれません。しかし、日々のメール対応に忙殺されている方がいれば、一度試してみる価値は十分にあると思います。同じような悩みを持つ医療従事者の方々に、少しでもこの体験を共有できたら嬉しいです。
メール処理の浮いた時間を論文作成に当てられます。
都知事選で話題になった安野貴博氏の新作。生成AIが一つのテーマになっています。
ChatGPTだけでなくLLM全般に使える医療従事者のためのユースケースが載っています。
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