最適な転職タイミングは、「今の職場でこれ以上ないくらい最高のパフォーマンスを上げているとき」
結論ファースト。最適な転職タイミングは、「今の職場でこれ以上ないくらい最高のパフォーマンスを上げているとき」である。求められているときが辞め時、という話はよく聞くが、私もこの説に賛成だ。この理由を2つの視点から解説する。
①パフォーマンスが高いときは過去のインプットを食いつぶしている
以前、「スムーズにアウトプットが出ている状態は良い状態なのか」という記事を書いた。詳細はそちらも見てほしいが、アウトプットが出ているということは、それまでのインプットが結晶化されて、アウトプットとして表出している状態である。つまり蓄積されたインプットを食い潰している状態とも言える。
将来のアウトプットにつなげるためには、現時点でのインプットが必要となる。インプットが枯れると、将来のアウトプットが枯れてしまう。
しかし、一度アウトプットが出るようになると、そのアウトプットをもっと欲しがる人たちが出てくるので、そのニーズに応えなくてはならなくなる。インプットではなくアウトプットに時間をかける方が合理的となり、インプットが細ってくる。
パフォーマンスがよく出ているときは、「自分のパフォーマンスがピークアウトしている」と考えた方が良い。その状態は長く続かない。
故に、ピークアウトのタイミングで今の職場を離れ、将来のためのインプットを可能とするような(すなわちパフォーマンスを意図的に落とすような)職場に移るべきだ。この決断が将来の自分を形成する。以下の記事でも書いた通り、どの世界でも、トッププレイヤーは継続的なインプットを確保するために凄まじい工夫と努力をしている。
②旬な時期は高い価値がつく
加えて、これは容易に想像がつくことだが、現職で高いパフォーマンスを出している人は他の企業も是非とも採用したい人材である。そして当然ながら、「数年前にスゴイ仕事をしていた人」よりも、「今現在スゴイ仕事をしている人」の方が企業側が欲しがる。
パフォーマンスが最高のタイミングで転職しようとすると、周囲から「こんなにうまくいっているのにもったいない」という言葉が必ず出る。絶対に言われる。しかし視点を変えると、そんなに良いタイミングなのに転職市場でより良い機会をハントしにいかないことが勿体ないとも言える。
残念ながら、日本にあるほとんどの企業ではパフォーマンスの上昇幅がそのまま給与として返ってくることは少ない(超実力主義の会社や、フルコミット営業等は例外)。つまり、パフォーマンスが高いタイミングでは市場価値ともらっている給与に差が生まれる。
しかし転職すると、中途人材には市場価値と同水準の給与を提示しないと採用できないため、自分のパフォーマンスに見合った給与が提示される可能性が高まる。
パフォーマンスのピークアウト時に転職することは勿体ないと考える人が多い。しかしよく考えてみると絶好の転職タイミングであり、短期的にも長期的にもキャリアに好影響をもたらすというのが私の考えだ。私自身は過去の転職では必ずパフォーマンスの高まっているタイミングを「自分という商品の売り時」と捉え、実際に転職してきた。転職タイミングを検討している人の1つの視点になれば幸いである。