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#21 PK shampoo 大阪城野外音楽堂 2023.08.06

ライブレポというよりは、ぐちゃぐちゃのラブレターです。

 今日のライブは、間違いなくダントツで過去一良かった。でもそれは過去の数々のライブがあるからで。今日のライブと今日のライブに至るまでの過去のライブや音源その他諸々、PKの活動全てに感謝している。PK shampoo、本当に、本当にありがとう。本当に。こんな感情にしてくれてありがとう。

 家に帰るなり、ライブを思い出してボロボロ泣いた。本当にこのバンドを好きでよかったと思う。今まではライブが終わって「はー!よかった!」で帰っていたけれど、今はもう一度8月6日の17:30からやり直せないかと本気で思っている。
 汗でベトベトで今すぐシャワーを浴びたいのに、シャワーを浴びられない。シャワーで全部洗い流してしまったら、今日のライブの記憶も汗と泡と一緒に流れていってしまうような気がして、それが怖くてシャワーを浴びられない。

 だから、シャワーを浴びる前にこのラブレターを書き切ろうと思う。

 開演前に響くボレロ。我々がこれから目撃するのは、ただのロックバンドのライブでは無い。それは、激情であり、破壊であり、祈りであり、祝福でもあり、それらの表現としてのオペラである。観客である我々は、開演前にそんな事を知る由も無く、ロックバンドのライブが始まると妄信している。ただうっすら、オペラを匂わせるようにボレロが流れるのだ。

 ボレロを聴きながら辺りを見回す。ステージのサイドに何発も積み上げられたスピーカー。ステージの内側にある大きなモニター。今までのライブよりかなりスタッフの人数が多い。設備や動員のスケールが大きくなっていることに、私は感動せずにはいられない。もうこんなに大きなバンドになったのか、結成より約5年の彼らの頑張りがこのような形で可視化されているのは、実に喜ばしい事である。

 そして、始まるポケモン。ノイズが鳴って始まるカズキさんのドラム。私はこの時まだ知らなかったのだ、PK shampooがこんなに良いバンドだなんて。知ってるつもりになっていたのだ、PK shampooは素晴らしいバンドだと。

 重厚感のあるドラムとキレ感が良すぎるベース、響く歪みに歪んだギター。これは天王寺のイントロの前のやつだ。そしてヤマトさんが登場。ぱっと見、出勤ダルそうなバイト先の先輩のような感じでステージに上がってきたが、バイト先の先輩とは明らかに違う彼自身の文脈が、彼の肉体と彼の纏う空気に物凄い密度で詰まっているのが一眼でわかる。ヤマトさん含め、メンバー1人1人の風格が、オーラが、前よりとても仕上がっている。

 そしていよいよ、天王寺減衰曲線で野音始まるか、と期待を募らせていた。次の瞬間、私はPK shampooに全てを裏切られた。鳴り出したのは夜間通用口だった。あまりにも不意打ちすぎる。とても大胆で豪快で的確なフェイント。そして前より圧倒的に良くなったバンドサウンドと各々の演奏技術。夜間の一発目の出音で今日がとんでもない日になる事はすぐ確信できた。

 目の前にカイトさんがいた。大好きな、大好きなカイトさんがいた。いつもは絶対1番後ろで聴いていたけれど、今回は指定席だし人混みがめちゃくちゃ苦手な私でも前で見れるかと思って後ろに行かなかった。手の動きがよく見えた。そうか、後ろで見ていた時はあまりわからなかったけれど、カイトさんはこんなに楽しそうにいきいき弾いていたのか。カイトさんしか見えてなくて、夜間の最初のヤマトさんの雄叫びが聴こえなかった。アウトロでPlease gaze a blueって歌ってたらしいけれど、それも私には聴こえてなかった。夜間のイントロで号泣した。ああ、これを観るために自分は生きていたんだと心の底から思えた。夜間?のギソロの前にカイトさんが遠くの誰かをニッコニコで指さしてからギソロを始めたのが本当に良かった。

 ギターの音について。前よりトレブリーさが抜けてミドルで引っ張っていくようなギターサウンドがとても良い。モジュレーション系はより繊細さを増し、とても綺麗に響いていた。特に今日は、ギターソロとそれ以外の音量差がとんでもなく絶妙で良い感じだった。そして、前よりピッキングが繊細で安定して正確になっていた。というか、私の直感が正しければピッキングフォームを変えたと思われる(カイトさんの手元見えるくらい近くで見たのは去年の11月の同志社学祭と、結構前なのでいつ変わったかは不明)。余った弦のミュートの仕方が前と違う気がする。いや、実際どうなのかは知らないが…。兎にも角にも、今日聴いた音はギターもバンド全体も本当に最高だった。最高すぎて曲が始まるやいなやピョンピョンしてしまった。

 激動の夜間通用口が終わり、すぐに始まった天王寺減衰曲線、そして空のオルゴール、SSMEと続いた。ここで空のオルゴールかー!!いつも終盤かアンコールのイメージがあったので、終盤どの曲をやるのか楽しみが増す。そしてSSME、wavのボーナストラックではバックでずっと虫の鳴き声が入っていたが、今日は蝉の声がずっと鳴っており、最高に夏が演出されていてとても良かった。それから、ギソロの音が意味わからんくらい綺麗。音像が緻密すぎる。というか、今日は前から二列目カイトさんの前だったこともあってか、本当にカイトさんのギターがめちゃくちゃ綺麗に聴こえたのだ。リードのフレーズそんな感じだったのか!と何回思ったかわからない。

 ここでMCが入った。日中の死にそうな暑さとは変わって、夕方の涼しい風が吹き、蝉がよく鳴いていた。この状況は絶対籠池ネタやるだろうなと思った。案の定やっていた。籠池ネタすら風流に感じてしまう夏の夕方だった。ヤマトさんが一句読み終わった後に、前の人たちが「パン君かっこいいっ!」と言っていたのが滅茶苦茶良かった。
 どこでどのMCが入ったかは覚えていないけれど、主催フェスの演者解禁第二弾の発表があった。あと、ヤマトさんの大学の先輩が来ていたようで、ちょうど私の前に先輩御一行がいた。彼らとステージ越しに喋ってヤマトさんもすごく嬉しそうだったし、彼らも終始とても楽しそうにわちゃわちゃしていたのでとても雰囲気が良かった。
 あと、野音出れるまでバンドやっていて良かったです、的なことも言っていた。そんなん言われたらじーーんとしてまうやろ!!!!!!!

 今日はm7を聴けたのが本当に良かった。こんなにギターの音が良くなったタイミングでm7を聴けたのは運命だ。音像がとても良くなったので、最初のギソロの6連フレーズや後半のギソロの長曾我部が一音一音綺麗に聴こえた。ストリングスのようにしなやかで伸びがあり、雷のような力強さのあるフレージングと音、本当に最高。最後の「いつか生まれ変わって」のところのギターリフ、過去一音圧があって曲の展開にとても合っていて、私のテンションがさらに上がった。

  PKのサウンドの私的体感として、神崎川e.p.やwavのときは、シューゲイザーやブリットポップ、ノイズ系の色が強かった。だから私はPK shampooにハマり出したのだ。でも新作epの、特にS区と落空は曲自体はとても良いけれど、ノイジーな感じではあまり無いから今後PKのサウンドはそういう方向に転換していくのだろうと思った。それが私には少し悲しかった。
 でも、今日のライブを見てそれは誤解だったかもしれないと思った。長いアウトロでギャインギャインやっていたり、アンプの前でわざと弾いてハウリングを狙っていたり、翼もくださいのアウトロでカポをピックアップ周辺の弦に当てて高い音を出していたりと、沢山ノイズを出している様子が見られた。こんなに奇天烈な音を出すのに一生懸命な人たちが、ノイズを排除した音楽に走る訳がない。彼らはノイズとポップスの融合をこれからもじっくりやっていくんだろう。なんとなくそう思えた。

 君の秘密になりたいの、最初のニシケンのベース。今日は、今日は本当に何故か、いつもの10倍はカッコよく見えた。本当にカッコよかったんだ。俺のベースを聴け!!という感じが。最後にニシケンコールが起こるのも納得である。まっっっじでカッコよかった。バンドの演奏が上手くなって、曲ごとのメリハリも滅茶苦茶良くなり、君の秘密は特にゆったり感が本当にいい感じに出ていて良かった。

 タジミさんが出てきて、セッション(?)タイムが始まった。タジミさんの演奏の上手さはもちろん、即興力は目を見張るものがある。

 そして始まる落空。明らかにヤマトさんのムードというか、気合いの入れ方が変わった。そうだ。ヤマトさんの友人が亡くなったのも8月だ。他の地域がどうだったかは知らないけれど、あの日も今日みたいに天気が良くて、外を見れば青い空にフカフカな雲がいい具合にかかっていた。夏だった風景。ヤマトさんはたしか、友人が危篤と聞いて会えないとわかっていたけれど新幹線に飛び乗ったといつかのMCで言っていた。トンネル抜けたら、スカイブルー。
 力強く両足を開いて地面を踏んで歌うヤマトさん。この時のヤマトさんが本当にかっこよかった。力強さと切なさの両方を色気のあるバランスで客席に放ってきた。号泣する他無い。「写真にしてもいつか忘れちゃうよ」で抑揚が強くなって、そこから落ち着いてサビ前半が繊細に入っていく感じが本当に、本当に良かった。
 音源はたぶんAメロのギター、違う人が弾いていたけれど、今日はちゃんとカイトさんが弾いていた。おお!!!弾いてる!!!!と思った笑。
 この曲は拍子がコロコロ変わるが、それぞれの拍子でとっっっても綺麗に解釈されており、音のキレやビート感がとても心地よかった。
 ギソロがファズファクを踏んだ?のだろうか。外は暑かったし、暑さが吹き飛ぶようなギャインギャインの音が出ていてとても良かった。
 アウトロの全員が好き勝手やっている混沌さが、その救いのない感じが本当に良かった。特にバイオリンとギターの掛け合いは本当に美しい。あれこそオペラである。落空のアウトロ、永遠に続いてくれ。

 学生街から、前にワラワラ集まってもいいんだぜ、とカズキさんか誰かが言って、そういう感じになった。人混みは嫌いだが、せっかく前から二列目とったし、一度くらい人混みの中で聴くのもありだなと思って前に行ってみた。結果、一分も持たなかった。あの環境でライブ聴き続けられる人すごすぎる。普通にライブ聴かれへんやんあんなん。エグいて。
 学生街をおじゃんにして後ろへ逃げた。1番後ろ、卓よりも後ろに綺麗な芝生スペースがあってシブいオッサンが夏の夜風に吹かれてビール片手に胡座かきながらライブを見ていた。夜空を流れる星のアルペジオ、目の前のオッサン、何もかもイケていた。このライブは、全部最高だ。

 そして星がはじまった。例のごとく、ギターが本当に綺麗に聴こえる。というか、パートごとの住み分けが多分前と変わってだいぶスッキリして、バンドとしてかなり聴きやすくなった印象がある。全部のパートが聴こえる。全部の食材の味が良いバランスで主張してくる料理は確実に美味しいが、今日のPK shampooは正にそんな感じだ。とーーーっても美味しいバンドだ。

 本編最後は奇跡。奇跡が聴けない夏など、夏休みのない八月のよう。ヤマトさんから始まる鋭利なイントロ。今すぐ缶ビールを持って駆け出したい。バンドの演奏力が本当に良くなっているため、曲の持つ爽やかさが以前より強調されていて本当によかった。
 ヤマトさんの歌が本当に、本当に上手すぎて良い。今までは高音で「ガナったらギリ出せるか」みたいな時も多かったが今日は全てに余裕があった。高音の出し方に複数の選択肢があって、余裕を持ってその高音の出し方をチョイスしている感じがとても良かった。
 「君よ 統計学上の人にならないで」で終わる本編。良すぎるだろホンマに、ホンマに!!!!

 メンバーが一回ステージからはけて、客席から「ヤマト!ヤマト!」というコールがかかった。続いて「ニシケン!ニシケン!」というコールもかかり、次はカズキ!カイト!と続くのだろうが、ニシケンコールでメンバーが再びご登場した。ニシケンコールに合わせてカズキさんがキックを踏み出す。ホワイトストライプスのセブンネイションアーミーのイントロみたいな感じで。そしたらカイトさんが細かい刻みのカッティングフレーズで入ってきて(ニシケンは何してたか覚えてない)、ヤマトさんがノリノリになってリズムに合わせて「ニシケン!ニシケン!」と叫び出した。この時のヤマトさん、本当に楽しそうだった。

 そして、メジャーデビューの発表があった。ヤマトさんは「フォーリミ先輩やで!アハハハハ!」と言いつつ、静かにゆっくりと「FWWWのスタッフも残ってくださって、コロムビアの方も合流してくれています。やる事は今までと変わらないです。これからもよろしくお願いしますね」と言っていた。本当に、本当におめでとうございます。ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします。

 アンコールは星・空のオルゴールあたりをやるイメージだったから、まあ京都線はやるとして、もう一曲何をやるんだろうと思っていた。新世界望遠圧縮だった。メジャーデビュー発表の後のこの曲は反則だ。この意味のありすぎる選曲、号泣するしかないだろ。何回泣くねん今日。リバーブを焚きながら、あの東京の先へ、PK shampooはこれから行くのだ。メジャーデビューはもちろん嬉しい。とっっても嬉しい。推しのメジャーデビューはこれほど幸せなものなのかと、こんなに幸せでいいのかと、これ以上の感情は多分無い。でも、誠に自分勝手な感情だが、PKがちょっと遠い人になってしまって悲しいという感情の存在も否めない。この曲はそんな感情を許してくれる気がした。この曲がメジャー発表の後にきたおかげで、私は心の底からメジャーデビューを喜べた。神選曲、神演奏、本当にありがとう。

そして京都線。今日は一段と「あの塔よりも高い場所へ 遠く 遠く 遠く」という歌詞が響く。カイトさんのギソロがバチバチに決まっていて、感情がカンストして持ってたバスタオルをぶん回した。京都線のギソロこそ讃美歌だ!!(錯乱)。もうモノに当たれるなら当たりたいくらいに良い。最後の最後に「しんみりするの嫌やねん」とヤマトさんが言って夜間通用口が追加された。メンバー全員ほんっっとうに楽しそうで、とても良かった。見ていて嬉しかった。

 こうしてライブは終わった。使える神経の全てを持っていかれた。全員の成長が目覚ましいのが本当に良い。PK shampooが良いバンドなのは知っているよ、知っていたけれど、こんなに、こんなに良かったか。良すぎないか。これはズルだろ。これまでにないほど、私は幸せな気持ちでいっぱいだ。

 こんなの「今日のライブよかったー!」で済ませて良いものではない。これはライブなのか??ライブという言葉のニュアンスを考えたら、この公演自体も公演によって発生した感情も美しすぎる。私が見ていたものは、きっとオペラだったのだ。本当にモノに当たれるなら当たりたいくらいに良かった。当然モノには当たれないし、とりあえず追加でグッズを買った。課金してもし足りない。カイトさんを目の前で見れて本当に良かった。今日のライブを目撃できて本当に良かった。

ライブが良すぎてありがとう以外言うことが無い。
本当に良かった、ありがとう。
とりあえずシャワー浴びるよ。


拝啓 PK shampoo様

本当に最高のライブをありがとうございました。
今日のライブを糧に私は生きていきます。
杉並区民からしたら、汚い汚い京阪の人間らしく、これからも地を這ってキモいオタクをし続けます。
メジャーでのご活躍を期待しています。
お体にお気をつけて(マジで)。





 

 

 


 

 





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