日本サッカーの着実な進化と積み重ね。
先日、引退した内田篤人。
マスコミに出ていた話だと、「指導者は向いていない」っていうような話だったので、どうなることかと思いましたが、なんと速攻で、U-19世代のコーチに就任してました。
U―19日本代表候補合宿が14日、千葉県内でスタートした。
8月に現役を引退し、13日に日本サッカー協会(JFA)が新設した「ロールモデルコーチ」に就任した元日本代表DF内田篤人氏が、指導者として初めてピッチに立った。内田氏は今後も、若い世代の強化や現役時代に得た経験を還元する役割を担っていく。
W杯での日本の最高成績はベスト16で、それを経験した選手は、日韓大会、南アフリカ大会、ロシア大会と、そこそこいます。
でも、うっちーは、チャンピオンズリーグのベスト4を経験した唯一の日本人なんですね。
それに次ぐのは、その大会でうっちーのチームに負けたインテルにいた長友なので、ベスト8。
W杯より、チャンピオンズリーグの方がレベルが高いという人はたくさんいますし、実際、急造チームとしてしか出れないW杯よりは、年間を通してプレーした圧倒的に戦術が浸透したチーム同士の戦いになることは間違いありません。
ま、W杯の場合は、国を背負ってるということと、一発勝負のトーナメントが続くので、短期間で一気にチームがまとまって鬼気迫るプレーを見れるって意味では、それも凄いんですけどね。
重みが違う。国によってはミスしたら殺されるからね。
でね、Jリーグが始まって25年以上が経ち、遂にワールドカップを経験して海外のチームでバリバリやってチャンピオンズリーグのベスト4まで行った選手が指導者の仲間入りをしたわけですが、非常に感懐深いですね。
1993年のJリーグ開幕当初の各チームの監督は、こんな感じです。
鹿島アントラーズ 宮本征勝
浦和レッドダイヤモンズ 森孝慈
ジェフユナイテッド市原 永井良和
ヴェルディ川崎 松木安太郎
横浜マリノス 清水秀彦
横浜フリューゲルス 加茂周
清水エスパルス エメルソン・レオン
名古屋グランパスエイト 平木隆三
ガンバ大阪 釜本邦茂
サンフレッチェ広島 スチュワート・バクスター
当たり前ですが、Jリーグすら経験していない監督ばかりで、「メキシコ・オリンピックで銅メダルを獲得した世代」がメインですね。
外国人監督であったレオンとバクスターを除けば、「その後、監督として成功した人間はいない」って言い切って良い面子でしたね。
Jリーグを経験していないわけで、当然、海外のチームでプレーしたこともなく、W杯は予選で負けるのが当たり前だった世代の監督と、それら全部を経験した選手が監督をやるのでは、そりゃあね、言うまでもなく何もかもが全く変わります。
ドーハの悲劇で絶望を味わって、その4年後にW杯初出場を決めてから20年以上も経ち、その後、6回連続で出場という「ある意味での奇跡」を重ね、遂にチャンピオンズリーグのベスト4まで行った選手が指導者の道を歩み始めたという、この長い長い道程と軌跡への感懐。
若い人からするとね、日本代表がW杯に出ているのが当たり前のことでしょうが、昭和生まれの私からすると、サッカー日本代表なんてのは、一切人気のないオワコンでしかなかったですからね。
少し前のラグビー日本代表と一緒。
それが、ここまでの成長を遂げ、「日本代表」と言えば、それだけで「サッカー日本代表」のことを指すレベルで国民的人気を獲得して、W杯でベスト8に最高レベルに近づいたロシア大会も経験出来ました。
ホントね、出来ることならば、俺が生きている間にW杯で優勝して欲しい。
マジで。
そうしたらねえ、同世代の仲間と、ドーハの悲劇から始まって、W杯の全大会と、選手の個々の活躍まで含めて、徹底的に飲んで語りたいですね。
それが出来るのはね、「ドーハの悲劇を知っている人」だけだと思うんですね。
最初に見たW杯が、「日本がベルギーに負けた時」っていう若者とだって、サッカーの話は出来るけれど、ドーハの悲劇のラスト5分のあの絶望感を共有して、日本の優勝を語ることは出来ません。
絶対に。
人生ね、苦しみも悲しみも、喪失も後悔も、ありとあらゆることを経験した道程の先に、その道を歩んできた人にしかわかりえない何がしかの境地が見えてくるものなのかもしれません。
明確に設定されたゴールには辿りつけないかもしれないけれど、道の先には、歩んできた分だけのゴールはある。そこに。
1キロ先の公園に行くお散歩と、500キロ先の街まで行く旅では、そりゃあ感懐は違います。
違うに決まっている。
というわけで、ずいぶんと話が遠くまで来てしまった気がしますが、四半世紀を超えて、明確な日本サッカーの進化を感じられたことを、とても嬉しく思うわけです。
長生きはするもんだ。
別に長生きってレベルの年齢でもないけれどw
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