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最近読んだ本(9)|「ブラフマンの埋葬」 #13

小川洋子の「ブラフマンの埋葬」を読みました。
前からタイトルの語感がとても気に入っていたのですが、肝心の内容は知らなかったので読んでみました。

《あらすじ》

ある出版社の社長の遺言によって、あらゆる種類の創作活動に励む芸術家に仕事場を提供している“創作者の家”。その家の世話をする僕の元にブラフマンはやってきた―。サンスクリット語で「謎」を意味する名前を与えられた、愛すべき生き物と触れ合い、見守りつづけたひと夏の物語。
第32回泉鏡花賞受賞作。

“ブラフマンの埋葬/小川洋子【著】-紀伊國屋書店ウェブストア”.紀伊國屋書店. https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784062756938,(参照2024-8-15)


サンスクリット語で「謎」を意味するブラフマン。
本当にそういう意味なのか気になって読み終わった後調べてみると、ブラフマンとは「インドの正統バラモン教思想における最高の理法。宇宙の統一原理。」という意味らしい。
益々よく分からない。

本書の中のブラフマンは犬でもなければ猫でもなく、鳥でもなければ魚でもない。
胴の一・二倍もある尻尾と五つの肉球、そして水かきを持つ生き物。

きっと学生時代に読んでいたら「ブラフマン」が一体どんな生き物なのかそこばかり気になってしまったような気がします。
今はブラフマンはブラフマンなんだと、そういう生き物なんだとすんなり納得できます。

特別な出来事があるわけではなく物語は淡々と進んでいくのですが、その中で出てくる〈創作者の家〉や〈古代墓地〉、〈埋葬人の見張小屋〉などの情景がありありと浮かんできて自分もそこに居るような気分を味わえました。

よく分からない小説と言ってしまえばそれまでですが、私はこの小川洋子特有のよくわからない雰囲気が好きだなぁとしみじみ思いました。


気になった方は是非読んでみて下さい。


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