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最近読んだ本(11)|「夜明けの縁をさ迷う人々」 #17

小川洋子の「夜明けの縁をさ迷う人々」を読みました。
彼女の作品には共通して透明感や静寂があり、 読んでいると気持ちが落ち着いてきます。

《あらすじ》

世界の片隅でひっそりと生きる、どこか風変わりな人々。河川敷で逆立ちの練習をする曲芸師、教授宅の留守を預かる賄い婦、エレベーターで生まれたE.B.、放浪の涙売り、能弁で官能的な足裏をもつ老嬢......。
彼らの哀しくも愛おしい人生の一コマを手のひらでそっと掬いとり、そこはかとない恐怖と冴え冴えとしたフェティシズムをたたえる、珠玉のナイン・ストーリーズ。
解説・村田喜代子

小川洋子.夜明けの縁をさ迷う人々.角川書店,2010,裏表紙より

九つの話が収録されていて、どの話にもなんとも言えない気持ち悪さが漂っています。

なんの変哲もない、ありふれた道を進んでいたはずが、いつの間にやらおかしな路地に迷い込み、気づけば元に戻れないところまで来てしまった、というような感覚になります。
物語はとても静かに、慎重に進んでいくのでどこで道を間違えてしまったのかは気付けません。

読んでいて、どの登場人物にもギリギリこの世に存在していそうな、妙なリアリティがあって「自分が知らないだけでこの世界のどこかには存在しているんじゃないか」という錯覚に陥ってしまいました。

スッと読めてしまうので、今は長編の本を読む体力がないという方にはオススメです。


気になった方は是非読んでみてください。

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