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【書評】ストーリーとしての競争戦略③

楠木建先生のベストセラーである「ストーリーとしての競争戦略」の書評とまとめの第3回目です。前回は競争戦略のゴールについてと競争戦略に重要な三要素の内の二つについて考えてみました。競争戦略に重要な三要素とは何か?おさらいすると

①業界の競争構造、②戦略、③ストーリー 

でしたね。今回は②戦略について考えてみることにします。

⒈ 戦略には二種類ある

前回の内容にもありますが戦略には①ポジショニング、②組織能力の二種類があります。戦略とは他社との違いを作ることなのでこの二種類でどのように他社との違いを作るのか?ということになります。ここでひとつだけ重要な観点があります。それは「模倣性の容易さ」です。せっかく他社との違いを作ってもすぐに真似をされては「長期的にわたって持続可能な利益」は確保できません。この観点もよく覚えておくと良いと思います。

⒉ ポジショニング (Strategic positioning)

ポジショニングを一言で言うと

「何をやって何をやらないかを決めること」

という事です。事業をやっていると他社を意識してしまい色々な事に手を出しがちですが、「やらない事を決める」という事が他社との違いを出す最も重要な事になります。競争をしなくても済むようなポジショニングを取れれば最高ですが、他社と違ったユニークな存在になることが利益獲得の鍵になります。

一方で程度の違い、例えば軽い・薄い・早いといった程度の違いは戦略ではないとします。何故ならば模倣性が高く賞味期限が短い事、全てを良くしようとするとコストがかかり利益に見合わない可能性が高いからです。よく製品の性能差で表現しようとしますが、それは戦略ではありません。

⒊ 組織能力 (Opereting effectiveness)

これは普通のマーケティング理論ではあまり表現されていないのかもしれません。これは

商品ではなく企業の内的要因で他社との違いを持つ

というものです。例えばセブンイレブンの「仮説検証型発注」やトヨタの「カンバン方式」などで、要はそれぞれの会社固有のやり方や組織に根づいているルーティンの事です。

この組織能力の重要な点は「模倣の難しさ」にあります。何故難しいかというと意図的でなく歴史的に偶然出来上がったものだったり、成果との因果関係が不明確であったり、組織的なものなので模倣したとしても成果が出るのに時間がかかったり等々、様々な理由がありますがいずれにせよ他社に模倣されずらい戦略になります。

⒋ ポジショニングと組織能力の違い

最後にポジショニングと組織能力の違いに纏めておきます。

ポジショニング →  インテリ系。早く白黒つけたいタイプ。
組織能力 → 体育会系。毎日筋トレ。底力あり。

レストランで例えるとこうなります。

 ポジショニング → シェフのレシピ。味で違いを作る。
組織能力 → 厨房の中。(長年培った)作り方で違いを作る。

今回は戦略について纏めました。次回はいよいよストーリーについて纏めていきたいと思います。つづく。。。。

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