【書評】ストーリーとしての競争戦略⑥

楠木建先生の人気本であるストーリーとしての競争戦略のまとめと感想その⑥です。

前回はストーリーの5C全体を俯瞰してみました。本書ではストーリーはエンディングから始めるべしと本書には書かれていますので、今回はその中のゴールにあたる「競争優位」についてみていきたいと思います。

⒈ 競争優位とは何か?

競争戦略のゴールは何度も言うように「長期的に持続的な利益の創出」なのでシュートにあたる競争優位は利益創出の源泉です。要はどうやってゴールするかなのですが、ゴールの式を以下の様に定義しています。

WTP - Cost = Profit

WTPとはWilling to Pay。要は顧客がお金を払っても良いと思う金額です。顧客が払ってもいい金額とコストの差が大きければ大きい当然利益が大きくなるのですが、この差をどうやって大きくし持続していくかが問題です。

この関係式で利益を最大化させるには「WTPを上げる」か「Costを下げる」しかありません。図にすると以下の様になります。

画像1

WTPを上げるということはつまり顧客にお金を払っても良いと思わせる様に価値を上げることです。スターバックスの様に高くても行きたいと思わせるような価値にする事です。Costを下げるとは文字通り製造原価やオペレーションの原価を下げる事です。

⒉ 第三の競争優位

上の式では二つの競争優位が出る事がわかりましたが、それ以外にもう一つの手法で利益を上げている企業があります。それは「ニッチ特化」です。

ニッチ特化とは特定のセグメントに領域を絞り事実上競争がない様な状態を作る事

です。ここで大事なのは競争がない事が前提です。ニッチ特化と言いつつ競争状態が発生するのであればそれはニッチ特化とは言えません。ですのでニッチ特化とはあくまでその領域に留まり続ける事が重要です。もっと利益を得ようとそれ以外の領域に出てしまうと競争が発生してしまい戦略が曖昧になってしまいます。

⒊ 競争優位のまとめと大切なこと

競争優位をまとめると以下の3つのシュートになります。

① WTPを上げる
② Costを下げる
③ ニッチ特化にする

ここで最も大切なことはシュートの軸足を決める事です。これが定まらず①も②もやろうとしてもストーリーが曖昧になり上手くいきません。クリアなシュートのイメージがストーリーをクリアにします。

今回はストーリーの中の競争優位についてみてきました。次回はストーリーの中の始まりである「コンセプト」についてみていきたいと思います。つづく。。


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