ジェネレーション・レフト

「今の社会を変えたい」と考える若い世代が、この混沌とした時代に抗し、地に足のついた議論…

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「今の社会を変えたい」と考える若い世代が、この混沌とした時代に抗し、地に足のついた議論を積み重ねることができるプラットフォームです。日々、社会問題の最前線に立っているZ世代の若者たちが、現場から見える事実や研究内容をもとに様々な論考を発表していきます。

マガジン

  • 移住者の闘争

    「外国人を受け入れるべきか、そうでないか?」というレイシズムが日本社会に吹き荒れる。しかし、移住者たちはすでに私たちとともに働き、暮らし、そしてともに闘っている。

  • 反貧困運動のアップデートが必要だ!

    「雇用」も「家族」も崩壊。若者を待ち構えているのは、公然と違法行為を行う「行政」や生活保護費をむしり取る「貧困ビジネス」の存在だ。インフレと気候危機の進展で、ますます人々の生活・生存が脅かされるなか、反貧困運動にはこれまでとはまったく違う戦略が必要だ!

  • 旧優生保護法をめぐる裁判闘争

    仙台でたった2人の被害者が声をあげたことに始まり、全国に広がった旧優生保護法をめぐる裁判闘争についての記事をまとめました。

最近の記事

  • 固定された記事

年間5000人以上が貧困によって死ぬ社会(前編)−今こそ日本でも「餓死」に正面から向き合うべきだ(鴫原宏一朗)

1.はじめに―生きていけない、誰にも言えない 本論考は、生存をするのがギリギリの水準の貧困が広がっている実態を明らかにし、反貧困運動の今後の展望を見出そうとするものである。 筆者が活動に関わっているフードバンク仙台の支援現場には、生存するのがギリギリの世帯からの支援依頼が年間のべ3000件ほど寄せられている。典型的なケースを紹介しよう。  こうした苦しい生活は、決して例外ケースではない。例えば、2023年4月〜2024年2月までのフードバンク仙台にきている相談の2545世帯

    • 【衆院選特集】各政党が無視する若者の新しい「欲望」-「あえて非正規」の拡大と「自由で豊かな」社会への展望-(荻田航太郎)

      各政党が無視する若者の新しい「欲望」  衆院選の投開票にあわせ読売新聞は、選挙で取り上げたい争点について立候補者へアンケート調査を実施した[1]。その調査によれば、1位は59%で「景気・雇用」が最も多く、2位は37%で「政治とカネ」、3位が35%で「社会保障」であった。    「景気・雇用」に関する各党の政策をみてみると[2]、経済成長を前提・目的にした雇用政策が目立つ。例えば、成長と分配の好循環を生み出す「人への投資」(自民)や正規雇用への就労支援の強化(立憲)である。し

      • 「家政婦は労働者ではない」77年続いた悪法を動かす歴史的判決 法律の壁を、社会運動が乗り越えた

        ジェネレーション・レフト編集部 ケア労働者の権利拡大の道を開く歴史的判決 2024年9月19日、東京高裁。住み込みの家事労働者として7日連続で24時間勤務を行った後に亡くなった高齢女性の遺族が労災認定を求めて提起した裁判で、女性の労災を認める判決が言い渡されました。「家事使用人」と呼ばれる、個人宅と契約を結んで働く家事労働者には労基法や労災保険は適用されないとする1947年に制定された法律があるなかで、家事労働者への労災適用を認めた画期的な判決といえます。  今日、共働き

        • 技能実習制度の「廃止」で奴隷労働は本当に終わるのか?〜現場からみえてきた「悪条件でも人材が獲得できてしまう」企業の戦略〜(田所真理子ジェイ)

          はじめに 今年の6月、「現代版奴隷制度」として国内外から批判されてきた技能実習制度の「廃止」[1]が決定した。長期にわたり技能実習生の労働問題や人権侵害の被害を告発し、問題を訴えかけてきた社会運動なしに、今回の制度の「廃止」は実現しえなかっただろう。その一方で、制度の「廃止」を取り上げる新聞やテレビの報道をみていると、「人手不足の深刻化への対応」という文脈のなかに今回の制度「廃止」を位置付けて語っていることが多い。たとえば、激化する人材獲得競争のなかで日本が「働き先として選ば

        • 固定された記事

        年間5000人以上が貧困によって死ぬ社会(前編)−今こそ日本でも「餓死」に正面から向き合うべきだ(鴫原宏一朗)

        マガジン

        • 移住者の闘争
          4本
        • 反貧困運動のアップデートが必要だ!
          8本
        • 旧優生保護法をめぐる裁判闘争
          2本

        記事

          先月よく読まれた🗞 🖊年間5000人以上が貧困によって死ぬ社会 https://note.com/generationleft/n/n0b22933b1e76 🖊新宿区役所福祉事務所前の景色 https://note.com/generationleft/n/n90f6a40e5bc9 🖊なぜ、能登では「復興」が進まないのか? https://note.com/generationleft/n/n23bed15915ec

          先月よく読まれた🗞 🖊年間5000人以上が貧困によって死ぬ社会 https://note.com/generationleft/n/n0b22933b1e76 🖊新宿区役所福祉事務所前の景色 https://note.com/generationleft/n/n90f6a40e5bc9 🖊なぜ、能登では「復興」が進まないのか? https://note.com/generationleft/n/n23bed15915ec

          今週は、「貧困とライフライン」をテーマに記事を2本公開しました。 🖊命を奪う「エネルギー貧困×熱中症」問題の広がり https://note.com/generationleft/n/n57d148771a42 🖊命のために水道を開けろ! https://note.com/generationleft/n/n8b5e9c6cc8a0

          今週は、「貧困とライフライン」をテーマに記事を2本公開しました。 🖊命を奪う「エネルギー貧困×熱中症」問題の広がり https://note.com/generationleft/n/n57d148771a42 🖊命のために水道を開けろ! https://note.com/generationleft/n/n8b5e9c6cc8a0

          命を奪う「エネルギー貧困×熱中症」問題の広がり– 命を守るためにライフラインの無償化を –(田所真理子ジェイ)

          ■ 増える熱中症死亡件数の背景にある「エネルギー貧困」問題   気候変動により記録的な猛暑が続く中、熱中症が原因で亡くなる人が年々増えている。総務省消防庁によると、今年の4月29日から8月25日の間に熱中症で救急搬送された人数は83,238人(速報値)、そのうち熱中症で命を落としている人は、東京23区内だけで少なくとも238人(速報値)にものぼる(東京都保護医療局HPより)。昨年の同時期(144人)(注1)よりも熱中症死亡者数は94人増加しており、被害は昨年を上回るスピードで

          命を奪う「エネルギー貧困×熱中症」問題の広がり– 命を守るためにライフラインの無償化を –(田所真理子ジェイ)

          命のために水道を開けろ!―学生たちが守った困窮者たちのライフライン―(笠原沙織)

          追記(2024年9月) この論考は2023年に雑誌『POSSE』53号に寄稿したものです。2022年の年始に仙台で、水道を止められた方からの1件の相談から始まった、ライフラインの権利を獲得する約1年の闘争を振り返って書きました。現在も、現場で水道の再開栓の支援や実態の調査活動を行なっています。  水道を止められた方の支援を通じて、お金が払えなければ当然のように給水停止措置がなされ、簡単に人の命が脅かされる実態をみてきました。人の命よりも支払いが優先される社会に怒りをおぼえる

          命のために水道を開けろ!―学生たちが守った困窮者たちのライフライン―(笠原沙織)

          お盆だからこそ読みたい骨太論考! https://note.com/generationleft/n/n0b22933b1e76 https://note.com/generationleft/n/nb7831ca5beac https://note.com/generationleft/n/n23bed15915ec https://note.com/generationleft/n/n58d8f8ff6086

          お盆だからこそ読みたい骨太論考! https://note.com/generationleft/n/n0b22933b1e76 https://note.com/generationleft/n/nb7831ca5beac https://note.com/generationleft/n/n23bed15915ec https://note.com/generationleft/n/n58d8f8ff6086

          欧米と比べてなぜ日本の気候変動対策は「生ぬるい」のか?(1/3) 〜日本の労働組合に欠けている「公正な移行」という前提 (山本健太朗)

          はじめに いま、世界の労働組合は絶対に避けられない問題に直面している。それは、気候変動対策の文脈で急速に進む、産業の「大転換」への対応だ。このため、欧米ではすでに雇用にも大きな影響が生じている。たとえば、大量の二酸化炭素を排出するエンジン車の製造は大きく縮小せざるを得なくなっている。実際、EUは2021年に、域内でのハイブリッド車を含む、ガソリン車の新規販売を2035年までに禁止する方針を打ち立てた。現在約160万人の雇用を支えているドイツの自動車産業においては、2030年ま

          欧米と比べてなぜ日本の気候変動対策は「生ぬるい」のか?(1/3) 〜日本の労働組合に欠けている「公正な移行」という前提 (山本健太朗)

          年間5000人以上が貧困によって死ぬ社会(後編)−今こそ日本でも「餓死」に正面から向き合うべきだ(鴫原宏一朗)

          前編はこちら 4.基準なき社会に、生活の基準を可視化する生計費調査 ―中澤秀一の調査を参考に―ここからは貧困の可視化を具体的に進めていく。そこで問題になるのは、生存のために必要な所得の基準が日本にないことである。生活保護基準や最低賃金は生存の基準としてはなんら意味を持たない。そのため既存の制度の水準とは別に生存の基準を概算し、その水準からみてどの程度の人が生存ギリギリの状態になっているかを検証し、より社会の実態に迫る必要がある。  その際に参考になるのは、静岡県立大学社会福

          年間5000人以上が貧困によって死ぬ社会(後編)−今こそ日本でも「餓死」に正面から向き合うべきだ(鴫原宏一朗)

          なぜ、能登では「復興」が進まないのか?-「エッセンシャルワーカーの切り捨て」と闘う運動の必要性-(荻田航太郎)

          1、はじめに―未だに震災直後のような風景が広がる能登半島― 倒壊した住宅に建物、散乱した瓦礫や土砂崩れにより寸断された道路。段ボールをベッドにして公民館で避難生活をする高齢者や、プライバシーが守られない避難所生活を嫌ってビニールハウスや車中で宿泊する人たち。地震発生直後の様子かと見まごうような光景が、あれから半年以上過ぎた今でも能登半島には広がっている。  現在も2200人以上が避難生活を送り[1]、倒壊した建物を自治体の負担で解体する「公費解体」についての申請が約2万件超

          なぜ、能登では「復興」が進まないのか?-「エッセンシャルワーカーの切り捨て」と闘う運動の必要性-(荻田航太郎)

          新宿区役所福祉事務所前の景色〜アウトリーチから見える課題と可能性〜(本谷碧)

           2024年7月4日、新宿区役所福祉事務所のある第2分庁舎前の公道にて、NPO法人POSSEの学生ボランティアとスタッフの数人でアウトリーチを行った。本稿は、そのアウトリーチに参加したPOSSE学生ボランティアである大学2年生の筆者による報告、考察、そしてこれからの活動計画についてまとめた記事である。 はじまり 時間はおおよそ13時から17時。最高気温は35度に到達し、7月に入ったばかりとは思えない暑さである。セミの声も聞こえる新宿では、サングラスやハンディファンを片手に買

          新宿区役所福祉事務所前の景色〜アウトリーチから見える課題と可能性〜(本谷碧)

          先月(8月)は以下の記事がよく読まれました👇 1位 https://note.com/generationleft/n/n6c7b9e7e2a2d 2位 https://note.com/generationleft/n/ne4dd848f592b 3位 https://note.com/generationleft/n/nb050efc60821

          先月(8月)は以下の記事がよく読まれました👇 1位 https://note.com/generationleft/n/n6c7b9e7e2a2d 2位 https://note.com/generationleft/n/ne4dd848f592b 3位 https://note.com/generationleft/n/nb050efc60821

          X(旧Twitter)のアカウントを作りました! noteと並行して、最新情報をどんどん更新していきます。 フォロー・リポストをしていただけると幸いです。 ジェネレーション・レフト X https://x.com/PlatformGL

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          広がり続けるホームレス収容施設(前編) ―反貧困運動は「貧困ビジネス」廃絶に向け闘うべきだー(岩本菜々)

          はじめに 「福祉に頼るのは……」  「福祉に頼るのは、死ぬ前か死んでからにしたい」——Kさんのその言葉を、今でも忘れることができない。2021年の年末、さいたま市にある大宮公園は、昼下がりにも関わらず凍えるような寒さであった。20年前に家を失って公園内で寝泊まりしていたKさんは、生活保護の利用を勧めた私たちに、上記の言葉をきっぱりと言い放ったのだ。  Kさんはそれより数年前に、高齢で働けなくなったため、生活保護を受けた経験があった。しかし、希望していたアパートへの入所は叶わ

          広がり続けるホームレス収容施設(前編) ―反貧困運動は「貧困ビジネス」廃絶に向け闘うべきだー(岩本菜々)