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技能実習制度の「廃止」で奴隷労働は本当に終わるのか?〜現場からみえてきた「悪条件でも人材が獲得できてしまう」企業の戦略〜(田所真理子ジェイ)
はじめに 今年の6月、「現代版奴隷制度」として国内外から批判されてきた技能実習制度の「廃止」[1]が決定した。長期にわたり技能実習生の労働問題や人権侵害の被害を告発し、問題を訴えかけてきた社会運動なしに、今回の制度の「廃止」は実現しえなかっただろう。その一方で、制度の「廃止」を取り上げる新聞やテレビの報道をみていると、「人手不足の深刻化への対応」という文脈のなかに今回の制度「廃止」を位置付けて語っていることが多い。たとえば、激化する人材獲得競争のなかで日本が「働き先として選ば
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欧米と比べてなぜ日本の気候変動対策は「生ぬるい」のか?(1/3) 〜日本の労働組合に欠けている「公正な移行」という前提 (山本健太朗)
はじめに いま、世界の労働組合は絶対に避けられない問題に直面している。それは、気候変動対策の文脈で急速に進む、産業の「大転換」への対応だ。このため、欧米ではすでに雇用にも大きな影響が生じている。たとえば、大量の二酸化炭素を排出するエンジン車の製造は大きく縮小せざるを得なくなっている。実際、EUは2021年に、域内でのハイブリッド車を含む、ガソリン車の新規販売を2035年までに禁止する方針を打ち立てた。現在約160万人の雇用を支えているドイツの自動車産業においては、2030年ま