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「この仕事が終わったら戦争のない所に行こうな」「お帰りなさい、カイ君」誰とどうやって生きるのか?~機動戦士ガンダム 第27話「女スパイ潜入!」感想

アムロの講義

アムロ「これはガンダムの新しいパーツだけで構成されたGファイターです。セイラさんに操縦してもらってますが、特に技術的問題はありません。このGファイターを前後に分割してガンダムを入れる訳で、これがGアーマーです。新しい部品全部とガンダムの組み合わせです。問題はこの空中ドッキングをテストしていないことです。セイラさんでまだ慣れていないんで」
セイラ「悪かったわね」

カイ「冗談じゃねえよ・・・」
カイ「ヘッ、みんな一生この船にいるつもりらしいや」

今回はアムロの講義からはじまる。

マチルダが運んできてくれたガンダムのパワーアップメカの説明をするアムロ。Gファイター、Gアーマー、Gスカイ、Gスカイイージータイプ、Gブルとここ数話で次々登場したパワーアップメカが一気に登場する。この辺は、合体ロボットもののおもちゃへの配慮であろう。

講義をするアムロの手控えにマチルダとの思い出の写真が付されている。引きずっているな・・・。

この講義の最中、カイが「ちょっとトイレ」といって抜け出し「冗談じゃねえよ・・・」「みんな一生この船にいるつもりらしい」と愚痴っている。

前回からそうであったように、カイはホワイトベースでの戦いの生活にうんざりしているようだ。

カイ「これで久しぶりに羽をのばせるぜ」
アムロ「そうでもありませんよ」
カイ「なんで?」
アムロ「これから行く所だって連邦軍のドックでしょ。僕らはもう正式の軍隊です。これから何を命令してやらされるかわかったもんじゃありませんよ」
カイ「そ、そうか。それも面白くねえな」

カイもサイド7でザクの奇襲を受けてからの惰性でホワイトベースに残っているに過ぎない。カイには軍隊での生活は性に合わないのだろう。

ちなみに、この講義中のセイラの「悪かったわね」の表情が大好きである。

南米の連邦軍本部へ!

レビル「諸君らはホワイトベースのエンジンの整備が終わり次第、南米の連邦軍本部へ向かってくれ。私はヨーロッパ戦線に戻る。では」

いよいよ南米ジャブローへ向けて出発だ。ルナツーを出てから数々のピンチを切り抜け、ついに当初の目的地・連邦軍本部である。ブライトも万感の思いであろう。

カイ、下船

アムロ「カイさん!カイさん、どこ行くんです?」
カイ「しゃあねえな。軍人なんてお堅いのは性に合わねえんだから」
アムロ「カイさん、僕はあなたの全部が好きという訳じゃありません。でも、今日まで一緒にやってきた仲間じゃないですか」
カイ「そういう言い方好きだぜ、アムロ。ま、元気でやれや」
アムロ「カ、カイさん!」

ここでのアムロの言葉が実にいい。「僕はあなたの全部が好きという訳じゃありません。」というワンクッションを置いてからの「でも、今日まで一緒にやってきた仲間じゃないですか。」という引き留める言葉。

アムロのカイに対する思いを実によく表現している。

クルー達のお見送り

アムロ「カイさん!これを持ってってください、売ればいくらかになります」
カイ「それはお前の工作用具だろ?」
アムロ「どこにいるにもお金はいるでしょ?」
カイ「ありがとうよ。俺だってお前の全部が好きって訳じゃねえけどよ、恩に着るぜ」
アムロ「そう思ってくれればうれしいです」
カイ「お世話になったねー、ありがとうー」
キッカ「行っちゃうの?」
カイ「おう、死ぬんじゃねえぞ」

桟橋を渡るカイ。この桟橋はホワイトベースで軍人として生きていく者とそうでない者とをわける象徴的な役割を果たしている。カイがこの橋を渡り切ったらホワイトベースとはお別れということだ。

カイが桟橋を中ほどまできたところでアムロが呼び止め、工作用具を餞別として贈る。

「俺だってお前の全部が好きって訳じゃねえけどよ、恩に着るぜ。」と先ほどのアムロの言葉に対する返歌を贈るカイ。ここのやりとりは2人の関係性がよくうかがえるし、オシャレである。

そんなやりとりをしている背後でいつの間にかセイラ達も見送りに来ていた。

少々先取りになるが、一旦ホワイトベースを降りたカイが、その後もホワイトベースのことが気になってしまうのはこのアムロ達によるお見送りがあったからである。

アムロからは「一緒にやってきた仲間だ」と言われ、餞別ももらい、クルー達のお見送りもある。こうした人間的なふれあいがあったからこそ、カイはホワイトベースにもどったのだ。

カイとミハル

カイ「電気屋でも開くか。え?アムロ」
ミハル「兵隊さん」
カイ「またあんたかい」
ミハル「その様子じゃ、軍艦を追い出されたのかい?」
カイ「ま、そんなところだ」
ミハル「泊まるとこないんだろ?うちへおいでよ」
カイ「いいのかい?ヘヘッ、訳ありだな」
ミハル「まさか。2、3日ならいいってことさ。あたし、ミハルってんだ。弟と妹がいるけど、いいだろ?」

ホワイトベースを後にしたカイにミハルが接近する。

前回からここまでで2回ほどカイとミハルのニアミスがあったがすべてはここへの伏線だったわけだ。

第26話
第26話

ミハルはカイに「泊まるとこないんだろ?うちへおいでよ」と誘い文句を投げかける。スムーズな流れだ。こうしたことも今までに何度も経験しているのだろう。

氏素性のわからない男性をいともたやすく自宅に招き入れる様子からは「危うさ」を抱かずにはおれない。

想像力を豊かにすれば、ミハルはそれなりの「対価」を支払いながら連邦兵から情報を得ていたのではないだろうか。

ミハルは戦時下にあってこういう生き方しか選択できなかったのだろう。このあたりの描き方は高畑勲の「火垂るの墓」に通じるものを感じた。

ミハルの境遇

カイ「それじゃあ、空家に兄弟3人潜り込んでるのか?」

ミハルの家は山頂にある。そこまで2人並んで歩くミハルとカイ。「それじゃあ、空家に兄弟3人潜り込んでるのか?」というカイのセリフから、ミハルがどんな人生を歩んできたかある程度推測できる。

ミハルは両親と弟・妹の5人家族であった。前回描かれていた写真に写ったミハル達は襟付きの綺麗な服装をしており、それなりに不自由のない生活をしていたと思われる。

第26話

しかし、今回の戦争によって両親は死亡、自宅も失った。たまたま見つけた山頂の空家に勝手に住み着き、ミハルがスパイ活動をしながらお金を得て弟と妹の面倒をみているといったところだろう。

無邪気にパンをほおばる妹。相変わらず機動戦士ガンダムの食べ物は美味しそうでない。噛みついて全力で引きちぎっている様からしていかにも堅そうだ。

食べるのに必死な妹に対して弟は警戒するような視線をカイに送る。

ミハル「あんたの乗ってた軍艦だけどさ」
カイ「ああ」
ミハル「すごいんだろ?」
カイ「まあな。船、好きなのか?」
ミハル「うん。浜育ちだからね」
カイ「だけどホワイトベースは船っても、宇宙戦艦って方だからな」
ミハル「そうか、宇宙船なの」
カイ「ああ」
ミハル「なに?」
カイ「いや、俺の思い過ごしさ」
ミハル「あんた疲れてんだろ。毛布持ってくるから休みなよ」
カイ「・・・ん?」
ミハル「遠慮することないよ」
カイ「ヘッ、よく仕込んであるよ」

ミハルがカイからホワイトベースの情報を聞き出そとうとしている。しかし、あまり上手ではない。カイに即座に怪しまれている。

このカイの表情からして、この時点で既にカイはミハルがジオンのスパイであることに感づいているはずだ。

前回連邦軍の基地周辺で連邦兵に声を掛けまくっていたし、戦場のすぐそばをウロウロしていた。こうしたことも併せ考えればカイならば気づいて当然である。

ミハル「いいかい、あいつが外に出たらすぐ姉ちゃんに知らせんだよ」
ジル「うん」
ミリー「わかってる」

このミハル達兄弟の会話も秀逸だ。「あいつが外に出たらすぐ姉ちゃんに知らせんだよ」というミハルに対し、ミリーが「わかってる」とこたえる。

「わかった」ではなく「わかってる」である。ミリーもジルも姉のスパイ活動のことを理解しており、これまで何回も協力してきたのだろう。だからこそのやりとりである。

カイ「・・・ほんと、いやだねえ・・・。」

カイがバスケットの底に隠してある銃を発見。これでスパイ確定である。

カイ「手間かけるねえ」
ミハル「気にしないで」
カイ「ホワイトベースな、夜にはここ出るぜ」
ミハル「え?」
カイ「右のエンジンが手間取ってるらしいんだ。あそこを狙われたらまた足止めだろうけどさ」
ミハル「カイさん・・・」
カイ「いいじゃねえか。弟や妹の面倒をみているあんたの気持ちはよくわかるぜ」
ミハル「カイさん・・・」

カイが聞かれてもいないのにホワイトベースの情報をミハルに伝える。正体を認識しつつもわざとホワイトベースの情報をミハルに漏らしたのだ。

カイがこうした行動に出たのはなぜか。幼い弟と妹のために危険を冒しているミハルに同情したということもあろうし、自分はもうホワイトベースを降りたから関係ない気持ちもあるだろう。

しかし、その一方でカイが話した情報はホワイトベースが夜には出港する予定であること、右のエンジンの修理に手間取っていることであり、さほど重要なものとも思えないものである。

ホワイトベースの性能や搭載するモビルスーツ・戦闘機の性能等の情報を出さないところに、ホワイトベースのクルー達への気持ちもまだあるというところが見てとれる。

ミハルの方にしてみれば、これからどうやって情報を聞き出してやろうかと気をもんでいるところにこのカイの発言である。

突然のことに呆気に取られつつも、自分がスパイであるとカイが気づいていることにも気づいたはずだ。

その一方で、自分のことをスパイだと気付きながらも、あえて情報を提供してくれるカイの行動に優しさも感じていることであろう。

ホワイトベースに潜入!?

ジオン兵「艦長、107号からの情報です。木馬の乗組員と接触中、木馬は右エンジンの修理に手間がかかっているようです」
ブーン「了解」シャア「うーん、艦長」
ブーン「は?」
シャア「107号はどこにいるのだ?」
ブーン「木馬のいる港です」
シャア「ゴッグで攻撃を掛けている間に107号を木馬に潜り込ませろ」

シャアからブーンに107号(=ミハル)を木馬に潜り込ませるように指示が出る。

ジオン軍のトップはスパイをまさに駒のように動かしている。すでに描かれているようにその駒にも家族があり生活があるわけだが、そんなものお構いなしだ。

この非人間性こそが軍隊というものの本質なのかもしれない。

ズゴック登場!

ジオン兵C「2番艦、ズゴック、発進」
ブーン「よし、援護のゴッグ発進後、浮上」

今回の新登場モビルスーツはズゴックである。ズゴックを主力兵器としてホワイトベースのドックを襲撃し、戦艦とゴッグで援護する作戦のようだ。

対して、ホワイトベースはセイラのGファイターとアムロのガンダムで迎え撃つ。

戦闘開始だ!

「木馬に潜り込んで行き先を知らせろ」

ミハル「こんにちは。お急ぎですか?」
コノリー「え?あ、あんたが?。ああ、いや、別に急いでませんよ」
ミハル「こんな所に呼び出して、なんです?」
コノリー「いや、慣れてなくってな。あんたみたいな人だとは思わなかった。これ、カネだってよ。命令は木馬に潜り込んで行き先を知らせろ、ということだ」
ミハル「どうやって?」
コノリー「そりゃあ自分で考えんだな。とにかく潜り込めってさ」
ミハル「だいぶあるね」
コノリー「やってくれるな?成功すりゃあまた金をくれるってさ。これ」
ミハル「ん・・・?」
コノリー「中に連邦軍の制服が入ってる。間諜の手紙も」
ミハル「わかったわ、やるよ。弟達を食べさせなくちゃなんないからね」
コノリー「偉いな。俺は帰るから」

ミハルが通りすがりの男性(コノリー)に「こんにちは。お急ぎですか」と声をかける。ジオン軍とのやり取りの際の合言葉であろう。

第16話「セイラ出撃」ではレビルの使者とブライトとが似たようなやり取りをしていた。

ブライト「砂漠に蝶は飛ぶのか?」
連邦兵「砂漠に蝶は、砂漠に飛ぶのはサボテンの棘・・・」(第16話)

ミハルの呼びかけに対するコノリーの正しい返答は「いや、別に急いでませんよ」のはずだったが、コノリーはまさかこんな少女がスパイ活動を行なっているとは想像しておらず、思わず「え、あんたが?」と言ってしまう。

ジオン側にとってもミハルのような少女がスパイ活動をしていることは想定外なのだろう。

コノリーから連邦軍の制服と金を受け取るミハル。これを着てホワイトベースに潜入しろとの命令だ。

スパイとして敵戦艦に潜入するということは、失敗すればほぼ確実に死ぬということである。ミハルもそのことは十分理解しているはずだ。

しかしミハルはひるむ様子もなく「わかったわ、やるよ」と即答する。ここのミハルは実にたくましい。弟・妹のためならここまで強くなれるものなのか。

「この仕事が終わったら戦争のない所に行こうな」

ミハル「さ、お前達。姉ちゃん、仕事に行ってくる。今度はちょっと長くなるかもしれないけど、いいね?お金は少しずつ使うんだよ。置き場所は誰にも教えちゃいけないよ」
ジル「うん、わかってるって」
ミハル「この仕事が終わったら戦争のない所に行こうな、3人で。辛抱すんだよ、2人は強いんだからね」
ジル「うん、大丈夫」
ミリー「姉ちゃん、姉ちゃん、母ちゃんの匂いがする」
ミハル「・・・思い出させちゃたかね」

抱き合う3兄弟を爆撃の閃光が照らす。実にエモい場面だ。

「この仕事が終わったら戦争のない所に行こうな、3人で」というセリフにこの3兄弟のすべてが集約されている。

戦争という個人の力ではどうすることもできない事態にあって、ミハル達は両親を失い、住む家も失った。時代に翻弄される無力な3兄弟の姿を描くことで、戦争のリアルを追求している。

他方で、この3兄弟はただ翻弄されるだけの存在ではない。ミハルは弟達を養うためにジオン軍のスパイとして活動している。弟達も幼いながらもそんな姉に協力している。この3兄弟は戦争という災厄のなかで協力し必死に生きようとしているのだ。

その懸命な姿が見る者の心を打つのである。私も打たれた。

「姉ちゃん、母ちゃんの匂いがする」「思い出させちゃたかね」のくだりなど涙なしにはみれない。この文章もぼろぼろ泣きながら書いているくらいである。

ハヤト出撃!

マーカー「後方4時、モビルスーツが現れました」
ブライト「ハヤト、どうした?ガンキャノンで出させろ」
ハヤト「今出ます!ビームライフル、用意してあるな?ハヤト、ガンキャノン出ます!」

ホワイトベースのドックにズゴックが現れた。ガンダムとGファイターはゴッグに対応中で応戦できない。

そこでハヤトがガンキャノンで出撃することに。ちなみにガンタンクはシャフトの修理が間に合っておらず出撃できない。

「関係ねえよ!」

カイ「俺にはもう関係ねえんだよな、ドンパチなんか」
カイ「関係ねえよ!し、しかしよう、チクショウ、なんで今更ホワイトベースが気になるんだい」
セイラ「(軟弱者)」
カイ「ほんと、軟弱者かもね」
カイ「とにかく連中ときたら手が遅くて見てられねえんだよ。止まれ、軍の者だ、止まれ!あとで基地まで取りに来てくれよ、いいな?」

攻撃を受けるホワイトベースをカイが山頂から眺めている。自分には関係ないと何度も繰り返しているが、ホワイトベースを眺めていることこそカイがホワイトベースのことを心配している証拠だ。

カイは「自分には関係ない」と何度も口にする。自分の中から沸々と湧き上がってくる感情に無理矢理フタをしようとしているのだ。

カイにとって軍隊生活は息の詰まる性に合わないものだろう。それでもホワイトベースが気になってしまうのは、あそこにはともに命を懸けてきた仲間がいるからである。

ここで前半、カイが下船する際のクルー達のお見送りが活きてくる。あの場で仲間たちとの人間的なやり取りがあったからこそ、カイはこれだけ思い悩み、ついにはホワイトベースに戻る決意をする。

「手が遅くてみてられねえんだよ」という言葉は自分に対する言い訳である。本心では仲間と一緒に戦いたい、仲間のピンチを救いたいと思っているにもかかわらず、それを正面から認めることができないため「まったく、しょうがねぇなぁ・・・」という感じであくまでもホワイトベース側が不甲斐ないから仕方なく助けに来たという体裁を作りたいのだ。

ガンタンク出撃!

カイ「ガンタンクはどうしたんだ?ガンタンクは。うわっ!・・・ええいっ。あるじゃねえか!どうしたんだよ!」
ジョブ「あ、カイさん、頼みます、シャフトの修理がようやく終わったんです。ハヤトさんはキャノンで」
カイ「ぁー・・・しゃあねえな」

カイがガンタンクに乗り込む。

ここでジョブがえらいのは戻ってきたカイに対して即座に「頼みます」と言った点である。

「どこいってたんですか?」とか「なぜ戻ってきたんですか?」とか余計なことは言わずただ「頼みます」という。ジョブがこうした態度でいることでカイも「しゃあねえな」と搭乗しやすくなるわけだ。

ミハル潜入!

ガンダムやズゴックが交戦している最中、連邦兵の制服を着たミハルがホワイトベースに潜入する。

交戦中とはいえこんなに簡単に潜入できてしまってよいのだろうか。

ガンキャノンピンチ!!

カラハ「ハハハハッ、引きちぎってやる」
ハヤト「だ、駄目だ。やられすぎでパワーが!」
カラハ「ん?せ、戦車か?」
カイ「これ以上好きにはさせねえぞ!」

ズゴックに両腕を掴まれガンキャノンピンチ!!

そこにいいタイミングでカイのガンタンクが登場。ハヤトのピンチを救う。

その後、ゴッグを撃退したガンダムも臨場し、ズゴックを撃破。これにて戦闘終了。

ホワイトベースはカイとミハルを乗せて南米ジャブローに向けて北アイルランド基地を後にした。

第27話の感想

今回、戦闘シーンはかなり端折った。アニメを見ればわかるが、今回のメインはカイとミハルであり、戦闘はおまけみたいなものである。

カイがホワイトベースに戻ろうと決意したのは、ミハル達3兄弟の懸命に生きる姿を目の当たりにしたことが大いに関係している。

自分一人ではどうにもできない戦争という状況にあって重要なのは「生きること」である。もっといえば、「誰とどうやって生きるのか」である。

ミハルはいつか兄弟3人で戦争のないところで平和に生きることを夢見てホワイトベースに潜入した。

カイはどうか。ミハル達3兄弟の生き方を見て、カイも誰とどうやって生きるのかを考えたはずだ。

カイなら戦火で荒廃した街の復興にも貢献できるはずだ。大型特殊の免許をいくつかもっているので重宝されるはずである。

ハヤト「ブライトさん、カイさんが大型特殊の免許をいくつか持っているんです」
ブライト「えっ」
ハヤト「カイの親父さん技術者で」(第3話)

カイはこの街に根を下ろし、この街の人たちと生きることもできるだろう。

しかしそうしなかったのは、カイがあくまでホワイトベースの仲間たちと生きることを選んだからである。

一旦下船したカイをクルー達は「あら、お帰りなさい、カイ君」と何もなかったかのように迎え入れてくれた。カイにとしてはホワイトベースの中に自分の居場所を見出したような感じだろう。

ちなみにアムロがこの「誰と生きていくか」という問いに直面したのは第13話「再会、母よ・・・」でのことである。

アムロはブライトから「アムロ君、どうするね?我々は出発するが」と問われホワイトベースの仲間たちと戦っていくことを選んだ。

アムロと同じように、カイもまた一つづつ困難にぶち当たりながら成長していっているのだろう(第8話「戦場は荒野」)。

さて、次回もホワイトベースはシャアの追撃を受けるようだ。ミハルが潜入していることが戦況にどのような影響を与えるのか、それとも与えないのか。

そして、ミハルとカイは今後どうなっていくのか。今回ミハルに死亡フラグが立ちまくっているので気が気でないが、次回もじっくり楽しみたい。


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