アレルギー疾患に対する未上市の抗体医薬

本日、New England Journal of Medicineに思春期・成人の重症難治性喘息に対する抗TSLP抗体(テゼペルマブ)の臨床効果についての論文が出ていました。期待に違わぬ素晴らしい結果です。

今回はアレルギー疾患に対する未上市の抗体医薬について最近出た論文をまとめました。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33979488/
12歳以上の重症・コントロール不良喘息に対するテゼペルマブ(TSLP抗体)のRCT:52 週時点介入群では対照群よりも,気管支拡張薬投与前の1秒量変化が大幅に改善し(0.23 vs 0.09 L,95% CI 0.08~0.18 L,P<0.001),症状やQOL(ACQ-6 , AQLQ)なども改善
N Engl J Med. 2021 May 13

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33536746/
重症喘息に対するTezepelumab(抗TSLP抗体)の総説。第IIb相試験ではプラセボと比較して喘息の増悪の減少、QOLの改善、FEV1の低下の抑制、気道炎症の改善が確認されており。現在、3つの第III相試験と追加の第II相試験が走っている。
Drug Des Devel Ther. 2021 Jan 27

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33651675/
ネコ上皮を抗原とするアレルギー性鼻炎患者に抗Fel d 1中和抗体(36人)またはプラセボ(37人)を単回投与したところ、抗体投与群では症状が改善し、鼻汁中のIL-4, 5, 13およTARC, RANTESが抑えられた(英国・米国の第1b相試験)
Am J Respir Crit Care Med. 2021 Mar 2

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33872652/
アステゴリマブ(IL-33受容体であるST2阻害薬)の成人重症喘息患者502例へのPhase 2試験:プラセボに対する増悪率減少は490mg、210mg、70mgのアステゴリマブでそれぞれ43%(p=0.005)、22%(p=0.18)、37%(p=0.01)であり好酸球数の多寡に関わらず効果があった(米国)
J Allergy Clin Immunol. 2021 Apr 16

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33761207/
アブロシチニブ(IL-4/13阻害・JAK1阻害薬)の第3相二重盲検試験(JADE COMPARE試験):アブロシチニブ200 mg/日と100 mg/日は 12週/16週時点におけるアトピー性皮膚炎症状をプラセボと比較して有意に軽減.2週時点の瘙痒をアブロシチニブ200はデュピルマブに対して有意に改善(100は優越性なし)。16週時点の評価ではアブロシチニブ200/100といずれの用量もデュピルマブと差なし
N Engl J Med. 2021 Mar 25

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33548468/
EGPAに対するレスリズマブ(抗IL-5抗体)のパイロット試験。10人を対象とし、経口ステロイドを有意に減少させたが、3人でEGPAが増悪し、うち1人は重篤であった。
Ann Allergy Asthma Immunol. 2021 Feb 3

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