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クソッタレな奴が目の前にいたとする。残念ながら、大概、オレの毎日にはそういう奴ばっかりなんだ。クソッタレ、何回心の中で罵ろうが、オレの周りの状況は一向に変わらない。こんな憂鬱な毎日がずっと続いていくんだろうか、という焦燥感と諦念で埋め尽くされちまう。

だからだ、だから、そんな時には、オレはいつもこう思うことにしている。目の前のこいつを憎んでもしかたない、憎むべきはクソッタレなこの世界だ。そして、この世界に閉じ込められて、それでも、のうのうと生きているこのオレ自身なんだ。

誰かれ構わず、クソッタレと唾吐こうが、結局、漏れなく自分のところに返ってきちまう。こんなクソッタレな世界に生まれちまったことだけはどうしようない。だけど、生まれてきたあと、物心ついたあとは、若干話は違う。自分の選択ができるようになる。クソッタレな奴や場所から離れる選択もできたはずだ。

だけど、オレはしなかった。何も選択しない選択をした。そして、いつのまにか誰につけられたかわからない透明な鎖をつながれてそのままでいる。それ自体も自分で選んだことだ。すべてはオレ自身が原因だった、このクソッタレな世界も、クソッタレなオレ自身も。ああ、たまんねーな、本当に間違いなく厄介でクソッタレだよ。

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