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1070_本当に大事なこと

みんながみんな、政治家、芸能人や著名人の炎上を騒ぎ立て、毎日のネットニュースの話題提供にことかけない。しかし、なぜここまで、ネット炎上が巷に溢れているのか。

それは、メディア全体で炎上を騒ぎ立てることで、「本当に大事なこと」から目を逸らさせているからじゃないかと思う。

じゃあ、この「本当に大事なこと」ってなんだ、ってことになるのだが、ここで僕は別に陰謀論の片棒を担ごうとしているわけではない。

「本当に大事なこと」は文字通りの意味であって、何かを比喩的に表現したものではない。人間一人一人にとって、それぞれに個別具体的に大事なことなんだろうと思う。

それは本当に誰にとって何が本当に大切かは違うのであって、それはつまり、仕事であったり、家庭や子育てであったり、受験勉強であったするわけだ。

なかなか達成できない禁煙や禁酒だったり、子供と交わした大切な約束であったり、大人になって疎遠になってしまった学生時代の友人たちとの関係であったり。

なかには、決して取り返せない過去の失敗だったり、すでに冷え切ってしまった夫婦関係のように、それ自体が簡単に向き合えるものではない可能性もある。

「本当に大事なこと」はこの世の中で人が生きていく限り、それぞれに存在しているものであって、その大切さの度合いや重要性は絶対的ではなく、相対的だ。みんな人それぞれにとって、大切なものなんだろう。

そして、漏れなく「長い時間をかけて、それについてずっと考えなきゃいけない」ものなんだと思う。

それぞれに個別に向き合うべき、「本当に大切なこと」、そこからなんとか目を逸らしたい、なるべく考えたくない、そういったとりとめのない心の動きをとらえて、スマホから連日の炎上ニュースを垂れ流されているわけである。

この「本当に大切なこと」に比べれば、はっきり言ってこれらは「まったく取るに足りない些細なこと」であるに違いない。

でも、そんな些細なものに皆異常に気を取られ続けて、思考停止をしながら、スマホをタッチとスワイプがやめられず、自分の貴重な時間を浪費し続けさせられている。

なぜ、気を取られるのか。それは絶妙に「本当に大切なこと」から目を逸らしたい人の気を引いて、「誰かのせいにしたい」人のための要素を盛り込んでいるからだ。

「なぜ自分の生活が豊かにならないのか、振り返って考えなければいけない」人は、政治家が汚職事件を起こしたニュースを見て、「政治が悪いから、自分の生活は豊かにならないんだ」と思う。そして、絶対的な正義を振りかざし、大きな顔をして「こんな政治家は辞職するべきだ」とコメントをつける。

「子供との時間に多くを割かれてしまって、いろんなやりたいことを我慢している」母親は、「子供がいるのに、年下のイケメン俳優と不倫していた奔放な女性」の存在が許せない。

まるで自分の母親としての頑張りや存在意義を根底から覆してしまうようなことをしているからだ。だから、「不倫はするなんて、子供のことを考えない自分勝手な振る舞い」だとして、渦中の女性を糾弾するだろう。

それらの心の働きは、結局、自分自身の「本当に大切なもの」へ向き合えない自己欺瞞が知らず知らずのうちに、何者かへの怒りにすり替えられていて、実は本人もそれに気付いていない。そんな風に、無意識的な他責の傾向が助長されている、そんな世の中なのかもしれない。

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