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1132_バンドTシャツ
「あ、この女の子が着てるTシャツかわいい。面白いデザインで」
「これ、あれじゃん。NIRVANAのTシャツじゃん」
「NIRVANAっていうブランドなの」
「いや、違うよ。昔、NIRVANAっていうロックバンドがいたの。すごい人気あって、みんなTシャツ着てたんだよ、このバンドの」
「へえ、知らなかった」
「ロックバンドのTシャツ着るの、一時期すごい流行ってて。俺も学生時代はNIRVANAのTシャツ着てたなあ。これと似たようなデザインの」
「へえ、いいじゃん」
「俺も気に入ってたから、まだ実家で捨てずに残ってんじゃないかなあ。今度探してみるよ」
「あったら持ってきて、私にも貸してね」
「そういや、最近ロックバンドのTシャツ着てる若い子よく見かけるような」
「そうよね。この子もそうだし」
「昔はお前絶対そのバンドの音楽聴いたことないだろ、って奴がバンドのTシャツ着てたりすると、心の中でバカにしてたなあ」
「そういうもんなの?」
「そうそう、なんか謎の自負みたいなもんがあるの。このTシャツを着ていいのは、このバンドの音楽を愛してる奴だけだっていう」
「単純にデザインが気に入ったんだったら、別にいいじゃん。音楽聴いてようが聴いてまいが」
「いや、そりゃそうなんだけど」
「あなただって、私が勧めたドラマの本編は見ないのに、主題歌だけ聴いてたりするわけじゃん」
「それは、純粋に音楽だけ俺は楽しんでるから。ドラマの内容は別に…」
「あなたはドラマと音楽は切り離してるわけじゃん。だからそれと同じ理屈で、私がそのバンドの音楽聴いてなくても、そのTシャツ着ててもいいってことでしょ」
「うーん、それは…」
「それはそれ、これはこれ、ってわけにはいかないわよ」
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