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「とりあえず、この会社に来て、こんなに自分のこれまでの経歴が評価されていないのが、まず考えられなくて」
「まあ、まあ落ち着いて。そんなに認められていないの?だって、採用されてからめっちゃバリバリやってくれてんじゃん」

「うーん、ごめんなさい、そういう感じじゃないんですと、まず順序立てて話すと、この会社、中途採用者に対してもそうですけど、社員のスキルセットとかについて、全然考えてないと思うんですよ」
「スキルセット?ごめん、それ何」
「そっからですか。あのですね、例えば、外国の会社と大きな契約を結ぶとするじゃないですか」

「はいはい」
「まず、英語で相手方と交渉する役目を負う人がいて、それでちゃんと法務的な文章をドラフトすることのできる人もいて。あと、単純に場をセッティングしたりロジ周りをやる人もいると」
「それぞれの役割でね」

「でも、この会社、誰がどういうスキルを持っていて、どんな風に仕事をさせてどんなアウトプットを出させるべきかについて、なんの考えもないというかビジョンがないんです。とりあえず、みんな同じような仕事をさせて、同じような成果が出ればそれでいいみたいな。だから、これまでの自分が積み上げてきたキャリアとか全否定されてるみたいで。何これ?みたいな。前例踏襲するだけの仕事だったらいいですけど、それではこれまでとはまったく新しいバリューというものは生まれないんです」

「そうなると」
「何も変わらないんです。まったく何も。この会社にいて、自分が伸びると思わないんです」
「そうかあ、なんかそれは本当に申し訳ないなあ」 
「いや、あの、先輩はまったく悪くないんですよ。今まで、そうやってずっとやってきてるんで。」

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