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余裕がない。

ニュースを見ていて、どこかの市議員が不適切発言をしたり、インフルエンサーがSNSである特定の層を蔑視する投稿をしたりして、批判が展開される。

毎日、枚挙にいとまがないほどの数の炎上ニュースを見ているわけで。あれ、世の中ってこんな感じだったっけなあ、という気がして、隔世の感さえある。

帰省するたびに、姉夫婦は生気がまったく見られない顔をしてグッタリしている。その横で子供ら2人がゲームの奪い合いやらで、散々ぱら騒ぎまくっている。

親は注意しようとする気力も起きないのだろう。子供と向き合うスイッチをオフにして、なんとか省エネでやり過ごしている。

そうだ、やっぱり余裕がない。なんとかなるだろうとか楽観的に構えられるような状況にないと言っていいのだろうか。

今の世の中の空気感を見ていると、だいたいそんな風にしか見えない。余裕というか、余白とか遊びの部分といったらいいのだろうか。今まで許されてきた部分が、次第に許されなくなっているのだ。

あまりにメリハリきっちり付けられてしまっている関係で、制限速度が時速60kmの道路をピッタリ時速60.01kmで走っても、すぐにスピード違反で検挙されてしまうんじゃないかという気さえする。

浪速節だとか義理人情だとか、もうすでに死語になっているんじゃないだろうか。世知辛い世の中にあって、そういった緩衝材となっていたもの、ある意味白黒ははっきりつけないでおくグレーであったほうがいいものが、以前はある一定数世の中に存在していたはずだ。

それが、どんどん取り払われてしまっているように思える。誰が望んだわけでもないだろうに。誰もが、それを本当に正しいことだと思っていないはずなのに。

でも、そうせざるを得ない、世の中になってる。なんか戦争が起きる前もこうだったんじゃないかな、って勝手に思ってる。

皆が皆、目を血眼にして、世の中のあらゆる事象の粗探しをしているような、そんな息苦しさを覚える。

そうしないと、自分の存在の不甲斐なさに耐えられないのだろうか。ふと、家の帰り道に暗い気分になる。




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