989_会合

「小倉会どうだったの？」
「おおっと、先輩、それ聞いちゃいます」
「呼ばれたんでしょ、小倉に。そりゃ行くしかないわな」
「まあ、そうっすね。チームで招集かかってたんで、そこは」
「メンツは」
「小倉さん以外、全員、男っす。年下の」
「つまり小倉以外は女いないのね、うわあ」
「いやあ、キツいっす」
「力関係の弱い、年下の男をはべらせて飲み会かあ、あいつやっぱり終わってんなあ」
「小倉さん、同期なんすよね。なんで、ああなっちゃったんすかね。まあ、言うてそこまで顔は悪くないじゃないすか」
「言うねえ」
「いや、まあ。自分は無理っすよ」
「女が付き合っちゃいけない男の３Ｂって知ってる？」
「なんすか？」
「美容師、バーテンダー、バンドマンの３Ｂな」
「それ、小倉さんの履歴ってことですか」
「まあ、同期の俺が知っている限りではあいつは２Ｂまでだったはずで」
「ああ、じゃあ最後のバンドマンが先輩だったってことですね」
「いやいや、違うっつーの。バンドマンやってたのはここで働く前の話だし、俺はあいつとは付き合ってねーから」
「もう先輩が抱いてやるしかないっすよ」
「なんでだよ。俺は既婚者だぞ。あいつはもう、とっくの前から俺にも手に負えねえよ」
「小倉会でも『私は仕事に生きるから、結婚する気はない』ってキッパリ言ってました」
「部下の男どもの前でそれ言っちゃう？で、それに対して、なんつったの？」
「マジ、カッコいいっすね、って言っときました」
「あのさあ、全然感情はいってないっしょ」
「いやあ、キツいっす」