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意外と知らない人が多い、出版業界の問屋「取次」

 みなさん、こんにちは。私は現代書林のNです。よろしくお願いします。
今回は取次についてお話します。
 

●取次とは?

 まず、前提として、本に関わる人と企業をまとめます。
 ①本を書く著者、②本を編集する出版社、③本を印刷・製本する印刷会社、④出版社と書店をつなぐ取次(問屋)、⑤本を陳列して販売する書店、⑥本を買い求める読者、です。
 
 取次とは、出版社と書店をつなぐ問屋のことを言います。
 日本出版販売(日版)、トーハン、楽天ブックスネットワーク(旧社名は大阪屋栗田)、中央社(物流業務をトーハンと協業)などがあります。

●日販とトーハンが80%!

 日販とトーハンが2強で、80%近いシェアを持っています。
 また、専門書を中心に扱う取次というのもあります。例えば、教科書や学習参考書を扱う日教販、医書が中心の西村書店や鍬谷書店などです。

 取次は読者の目に触れる機会が少ないことから、出版社や書店に比べると、地味な存在といってもいいかもしれません。しかし、なくてはならない存在です。
 もし、取次がなかったら、書店は本を仕入れるためにそのつど出版社に注文しなければなりません。
 また、取次がなかったら、出版社は1冊ごと書店に発送しなければならなくなります。
 
 取次は、数千社の出版社から発行される膨大な数の本を集約し、全国の書店に配本する作業を担っています。
 取次は、各書店の過去の売り上げ、返品数などのデータを持っています。出版流通に関わる情報と物流をコントロールしているのです。
 また出版社と協力して本のイベントやフェアの開催したり、新規書店の立ち上げや経営のサポートなどのコンサルティング業務も行っています。
 

●オンライン書店と取次

 オンライン書店と取次は関係ないと思われている方が多いかもしれません。
 実は、オンライン書店も取次を経由して、本を仕入れています。
 例えば、アマゾンは日販、楽天ブックスは楽天ブックスネットワークと日販です。

 また、電子書籍も取次が存在します。
 主な電子書籍専門の取次としては、メディアドゥ、モバイルブック・ジェーピー、クリーク・アンド・リバー社、ブックリスタなどがあります。

 物流の2024年問題もあり、取次は大きな転換点を迎えています。
 前述のように取次は、著者、出版社、書店、読者にとって不可欠な存在です。
 出版流通の構造改革が必要な時期が迫っているといえるかもしれません。

 現代書林 N