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思想のことば【0004】

科学教育はやはり昔の化け物教育のごとくすべきものではないか。法律の条文を暗記させるように教え込むべきものではなくて、自然の不思議への憧憬を吹き込む事が第一義ではあるまいか。

〜寺田寅彦「化け物の進化」より〜

〈教育における"暗記"一辺倒を批判し、生徒の主体性の喚起を訴える〉といった"暗記否定論"は、今に始まったものでないとわかる。
しかしながら、この寺田の言葉をもって、「それみたことか! 大切なのは"脱暗記だ!"」と主張するのは、筋が違う。
なぜなら、こうした言説は、子どもの学習において"暗記"が真に徹底されている時代にしか、意味をなさないだろうから。
もちろん、"暗記"をより効果的に行うべく、「不思議への憧憬」へと誘うこと、すなわち好奇心を育むことについては、異論などまったくない。
ただ…付言するなら、"暗記"がもたらす好奇心、というものも、きっとあるのではないか。僕は、そう思う。


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