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ざっくり語彙 ~スキマ5分の「スマホでボキャビル!」~ 036

【資本主義】〜その③・福祉国家〜
例えば、Aさんがなんらかの理由で働けなくなったとしましょう。病気とか怪我などは、誰の身にも起きうるものです。働けなくなるとは所得がなくなることですから、このままでは、Aさんは生きていくことができません…。
でも大丈夫。
そんなときは、「健康で文化的な最低限度の生活」を送れるように、Aさんは国からお金を受給できるのですから。
ちなみにそのお金の財源は、国民が自分で稼いだ所得のなかから、その一部を税金や保険料などとして納めることで維持されています。
とすると、他の誰かしらが稼いだ所得が、国を経由してAさんに渡ったことになりますよね。ですからこうしたシステムのことを、所得の再分配と言います。そして、こうした所得の再分配を可能にするものが、社会保障制度であり、このような政策を重視する国家のことを、福祉国家と呼ぶわけです。

〜例文〜

1930年代、世界大恐慌を乗り切るためにとられたニューディール政策は、アメリカの資本主義が福祉国家型のそれへと転換することを決定づけた。

〜関連知識〜
社会保障制度に象徴される福祉政策は、もちろん、弱者救済という性格を持ちます。しかしそれは同時に、経済政策でもあるんですね。たとえ働けなくなっても、社会保障制度などで一定のお金を国から受給できるなら、その人は、消費活動を継続することができます。市民個々人の消費活動は経済を安定させる絶対的な条件ですから、結果として、社会保障制度が経済を支えていることになりますよね。これは言ってみれば、政府が市場や経済に介入し、調整しているということでもあります。そしてこうした形態の経済システムのことを、修正資本主義と呼ぶのです。
何をもって修正か?
政府の経済への介入を抑え、個々人の自由な経済活動に任せるという、自由主義経済。それに対する"修正"と考えれば、いろいろと腑に落ちるのではないでしょうか。
なお、自由主義経済の考え方については、こちらをご参照ください。

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