「BIG IN JAPAN」「喜望峰の風に乗せて」レビュー
※以前ピクシブファンボックスで書いた記事の再掲です。
こんばんは。
最近ごたごたでしたがようやくちょっと精神的余裕が出てきた気がするので
ぼちぼち活動したいと思っております!
久しぶりにツイッター覗くと、
いろいろ状況が変わったり変わらなかったりしながらも、
皆さん変わらずに創作をしておられて
本当にすごいなあと思います…!
私もどう活動していこうか、何から始めようかぼちぼち考えていきたいと思います!
手始めに今日は作品のレビューをば…!
ネタバレを含みます。
映画『BIG IN JAPAN』
★★★★☆
ドキュメンタリ映画で、「一般的な外国人が、日本で有名になるプロジェクトを追う」みたいな感じの映画です。
実は観たのはもう半年以上くらい前なのですが、
面白かったのでそのうちお話したいなと思っていたらこんなに経っちゃいました。
日本というのは単民族国家であり、その中で「外国人」というのはユニークであり、どうしても目立つ存在となりがちです。
そして目立つということがそのまま需要となる業界がもちろん存在するので、
外国人は日本で有名になれるチャンスが大きいそうです。
それで本作の制作者たちは、ちょっと個性的な雰囲気があるだけで、特別な才能のあるわけではない一般的な男性を、日本でどこまで売り込めるのか実験しようとなるわけです。
確かにCMなどに外国人が起用されていることは多いですよね。
画としてだけなく、CMのナレーションにおそらく外国人の方が起用されている、あるいは外国語っぽいイントネーションのことも一時期多かった印象。auとか。
作中言及されていたかは忘れましたが、特に日本人はよそ様の眼を特に気にする民族だという話も聞きますし、外国人はその意見、コメントも重宝されそうです。
で、本作は実際に日本で有名人となった外国人達の
インタビューを交えながら進行します。
ボブサップが印象に残っています。
「ビースト」という求められるキャラクターを演じることで有名になった反面、
家族にはもう長く会えていないとか。
また芸能界引退時?のインタビューで、「引退に際して最後にもうひとイベントうつことも考えたけど、預金残高がもう十分にあるのを見てやめた」と語っており、
なかなか考えさせられるものがありました。
映画制作陣のプロジェクトは、まず外国人タレントのプロデュースを専門にする会社に登録し(これが結構沢山あるらしいのです)CMや再現VTRに出演したり、
男性が街で半裸の謎のコスプレ(オリキャラの「おにぎりマン」)をやってyoutubeアカウントを広告したり、そのコスプレでコミケにでたりして割と知名度を上げていたのですが、最終的には伸び悩んでしまい、確かそのまま期限の1年が過ぎプロジェクトは終わっていたように記憶しています。
終盤には再生数を伸ばすため、おにぎりマンが冬に滝行をしたりしていたのですが、
ホントに寒そうに震えて「もう嫌だ、もうやめる」と言っていた姿が痛ましかった。
本作のキーとなる、「誰もが発信者になれるこの時代だけど、特筆する才能のない人が有名になろうとするのは、はたして合理的なのでしょうか」という問い。
これはSNSで創作なんかやっているとやはり心に刺さる問いだと感じました。
承認や顕示というのは欲求ですから、もちろん他の生理欲求と同じように、
生きる上でちゃんとそこそこに満たさなくてはならないものだと思います。
ですがどの欲求も同じように、際限なく暴走してしまうことがある。
これに振り回されるのはやはり合理的とは言えないかもしれません。
しかし賢ぶって合理的に生きることが、
はたして最上の生き方なのか…という考え方もありそうです。
「有名になる」という一つの目的のために、仲間で集まって移住して、作戦を立てて、成功を喜んで失敗を反省して、そしてそれらを映画にする…というプロジェクトと彼らの姿は、なんだかすごく青春的なきらめきを感じて、楽しそうだなとおもいました。
映画「喜望峰の風に乗せて」
★★★★★
これもだいぶ前に観てのレビューという事をご承知おきください。
本作はヨットによる世界初の単独無寄港世界一周を競う「ゴールデン・グローブ・レース」に挑んだ一人の男の実話を基にした物語。なのですが…。
原題は「Mercy」(慈悲)です。
全然趣が違いますね。邦題詐欺です。
私は先に実際の事件を知って興味を持った映画だったので楽しめましたが、
知らずに冒険活劇だと思って観た人は怒るでしょう。
主人公の男はこんな過酷なレースに本来出るべきでない、趣味のヨット乗りだったのですが、事業の立て直しの為の賞金目当て、また自社の製品の広告の為にレースに出場します。しかし準備に予定よりお金と時間がかかり、そもそもセーリングの経験や技術も足らず、海に出る前から前途多難で暗雲が立ち込めるのですが、周りの人達の支援や盛り上がり、また出発の資金の為に妻子の住む家を抵当に入れた関係で引くに引けなくなり、どう考えてもろくな未来の見えない準備不足の船出を迎えてしまう…みたいな感じのお話です。
一番の感想としてはこの映画はすごく怖かったです。
自分の放った言葉に追い詰められて、無謀な挑戦に踏み出し
取り繕うための自分の嘘にまた退路を断たれ
進むことも戻ることもできなくなっていくのです。
そして大海原のヨットに独り、精神の平行を失っていきます。
主人公の考えの甘さ、愚かさ、無力さ、卑小さ弱さそのすべてを内包する普通さが
私には身につまされるような思いがしました。
特に序盤の演出が絶妙で観ていて心臓が痛かったです。
お化け系のホラー映画とかも怖いんですが、
私は昔から実話の悲劇を基にした映画には
別種にして特段の恐怖を感じてしまいます。
(昔、邦画の「誰も知らない」を観たときすごく怖かった思い出)
いつもすぐそこにあり得るし、現に実際あったというのが
恐怖の感情の逃げ場を無くされる感じがします。
というわけで、後味の悪い映画が好きな方には
お勧めできるんじゃないかと思います。
個人的にはこの原題「Mercy」(慈悲)がいいなと思います。
慈悲…好きな言葉です。
あと怖いから遠洋にはできるだけ出ないようにしようと思いました。
余談ですが、本作は2017年イギリスの映画という事ですが、
同じ事件を扱ったその他の映画やドラマもたくさんあるようです。
その中にはソ連制作の映画もあるそうで、
そちらはこの事件を資本主義の産んだ悲劇として表現しているという事で、
こちらもすごく興味があります。いつか見てみたいです。
今回は以上にします!
読んでいただきありがとうございました!
それでは。
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