見出し画像

Untitled Fantasy(仮題) 破11

登場人物

マーティ・ハガード(18) 便利屋、元孤児
セレナ・ウィリアムズ(18) ウィリアムズ王国現第二王女
ジョニー・ダグラス(18) 薬剤師、元孤児
エマ・クラーク(17) 機織り、元孤児

ラリー(20) 王都の城門を守る門番、元孤児
ドゥルジ(?) 魔族の将、女
サルワ(?) 魔族の将
グレアム(283) 天界の若手官僚


初回

前回

本文

〇王都へ向かう街道

マーティ、セレナ、ジョニー、エマ、王都に向かって走る。
グレアム、浮遊して追随する。
城門が見えてくる。

マーティ「跳ね橋が上がってるな」
グレアム「側塔の中に入って跳ね橋を下ろすか。今のお前とセレナなら城門に飛び乗るくらいわけないが、まずは俺が上空から城壁の内側を確認しよう」
マーティ「わかった。頼む」

グレアム、上空高く飛ぶ。
マーティたち、そのまま城門に向かって走る。


〇王都外郭上空

グレアム、浮遊している。
城下町周辺は薄暗く視界が悪い状態。

グレアム、モノローグ(結構な数の魔物がいるな。あれは兵士や逃げ遅れた市民の死骸か。ざっと見たところ魔物の死骸の方が多い。被害は大きいが魔族相手にこれだけやれれば上出来か。ん?)

城下町を兵が歩いている。

グレアム、モノローグ(あれはゾンビか。趣味の悪い。ゾンビ使いのサルワもいるということか)

グレアム、翻ってマーティたちのいる城門前に向かう。

グレアム、モノローグ(サルワが噂通りの下衆ならセレナは深く酷く傷つくことになるだろう。だが、そんなことで潰れてもらっては困る。あいつらにはできるだけ多くの将を始末してもらわねばならないのだからな)


〇城門前

マーティたち、掘りの外に立っている。

マーティ「グレアムの言う通り、今なら堀を超えて城門の上まで飛べそうだな」
セレナ「そうね」
ジョニー「僕とエマは跳ね橋が下りるまでここで待つよ。強化されたといってもあそこまで飛ぶ脚力はないからね」
マーティ「わかった、すぐに橋を下ろして城門を開ける。その後はまた俺とセレナを援護してくれ」
ジョニー「オッケー」
エマ「マーティ、セレナちゃん、ごめんね」
マーティ「気にすんな、エマ。お前はこの戦いに勝つ切り札なんだから、しっかり体力を温存しておいてくれ」
エマ「うん、わかった」

グレアム、戻ってくる。

グレアム「準備はできたか?」
マーティ「ああ。今段取りを決めたところだ」
グレアム「よし。ならすぐに行こう。城門の内側は雑魚がほとんどだが増援を呼ばれると面倒だ」
マーティ「わかった。じゃあセレナと俺が城門の上に飛んで跳ね橋を下ろすから、グレアムは上空でサポートに回ってくれ」
グレアム「承知した」

グレアム、再び飛行する。

マーティ「よし。じゃあ行くぞ、セレナ!」
セレナ「ええ!」

マーティ、セレナ、大きくジャンプして城門の上に飛び乗る。


〇城門の上

マーティ、セレナ、城門の上に着地する。
側塔に入る扉がある。

マーティ「たぶんこの下に門を下ろす機構があるはずだ。俺が行くから、何かあったら呼んでくれ」
セレナ「わかったわ」
マーティ「頼んだぜ」

マーティ、扉を開けて中に入る。

グレアム「セレナ、気をつけろ! 魔物が城門を登り始めてるぞ!」
セレナ「任せて!」

セレナ、城壁をよじ登る魔物に空気の刃を放つ。
魔物は切断されて落ちる。

魔物たち、広範囲に広がって城壁を登りだす。
セレナの攻撃が追いつかなくなってくる。

グレアム「セレナだけでは追いつかないか。ジョニー! 俺に向かって光の矢を放て! 反射して敵に当てる!」
ジョニー「わかりました!」

グレアム、目の前に光る魔力の板を出現させる。
ジョニー、堀の向こうからグレアム目掛けて光の矢を放つ。
グレアム、光の矢を反射して城壁をよじ登る魔物に当てる。

城壁をよじ登る魔物「ぐぎゃ!」

魔物、息絶えて落下する。

グレアム「よし! もっとだ! どんどん撃て!」
ジョニー「はい!」

ジョニー、連続で光の矢を放つ。
グレアム、それを反射して敵に当てる。
跳ね橋が下がり始める。
同時に城門も開き始める。

グレアム「セレナ! 登ってくる敵は俺とジョニーで撃ち落とす! お前は城門から出ようとする敵を斬ってくれ!」
セレナ「わかったわ!」

セレナ、城門の内側に飛び降りる。
そのまま舞を舞うように周りの魔物を斬る。

マーティ、側塔から出てくる。

グレアム「マーティ! セレナが下で魔物と戦ってる! お前も加勢するんだ!」
マーティ「わかった! グレアム、援護頼むぜ!」
グレアム「おう!」

マーティ、下に飛び降りる。

マーティ「行くぜ!」


〇城門前(内側)

マーティ、大剣で魔物たちをまとめてなぎ倒していく。

セレナ「マーティ!」
マーティ「このまま辺りの敵を一掃するぞ!」
セレナ「うん!」

マーティ、セレナ、魔物を倒していく。
魔物たち、周辺の路地からどんどん湧いて来る。

マーティ「数が多すぎて埒が開かねぇ!」
ジョニー「僕を忘れてもらっちゃ困るな!」

ジョニー、後方から火球を連続で放つ。
魔物たちに次々命中していく。

エマ「あ、あたしも! 恥ずかしいけど……」

エマ、歌いだす。
魔物たち、動きが遅くなる。

マーティ「ジョニー! エマ! ナイスアシスト! 俺たちも負けてらんねぇぜ!」

魔物たちが次々に倒され、一部が逃げ始める。

セレナ「見て! 敵が引いていくわ!」
マーティ「よし! 追い打ちをかけるぞ!」
グレアム「二人とも待て!」

マーティ、セレナ、振り返ってグレアムを見る。
エマ、歌うのをやめる。

グレアム「どうやら大物がかかったみたいだ」

王宮のある方角に人影が現れる。

???「随分と派手にやってるわね」

マーティ、セレナ、もう一度振り返って前を向く。

マーティ「誰だ!?」

ドゥルジ、部下の女魔族を引き連れて現れる。

ドゥルジ「人間にしてはいい面構えね。いいわ、名乗ってあげる。私の名はドゥルジ。魔王軍人界方面中隊副隊長、ドゥルジよ」
グレアム「気を付けろ、マーティ! そいつは見た目こそ細身の女だがアエーシュマの片腕! 槍術の使い手として名を轟かせる技巧のドゥルジだ!」
ドゥルジ「腰抜けの天界人は黙ってな!」

ドゥルジ、部下の差し出した手槍を手に取り、グレアムめがけて放つ。
手槍がグレアムの右の翼に当たる。

グレアム「うおっ!」

グレアム、体勢を崩し、城壁の上へ緊急回避する。

マーティ「大丈夫かグレアム!?」
グレアム「翼をやられただけだ! ただ、すまん! しばらく上空からの援護は無理だ!」
ドゥルジ「蚊トンボは大人しく隠れてな。後で駆除してやるわ」
マーティ「その前に俺がお前を倒す!」
ドゥルジ「ちょっと待って。私の相手はあなたじゃない。そこのお姫様の方よ」
セレナ「私!?」
マーティ「関係ねぇ! 全員でかかるぞ!」
ドゥルジ「無粋な男ね。仕方ない。不本意だけど、サルワの用意したゾンビを使わせてもらうわ」

ドゥルジの脇から人影が現れる。

セレナ「うそ……」
マーティ「お、お前……ラリーじゃねぇか!」

ゾンビ化したラリーが現れ、マーティの方を向いて剣を抜く。

次回


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?