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Untitled Fantasy(仮題) 破12

登場人物

マーティ・ハガード(18) 便利屋、元孤児
セレナ・ウィリアムズ(18) ウィリアムズ王国現第二王女
ジョニー・ダグラス(18) 薬剤師、元孤児
エマ・クラーク(17) 機織り、元孤児

テイラー(62) 王国の老兵、マーティとセレナの剣術の師
ラリー(20) 王都の城門を守る門番、元孤児、サルワによってゾンビ化させられる

ドゥルジ(?) 魔族の将、女
サルワ(?) 魔族の将
グレアム(283) 天界の若手官僚

初回

前回

本文

ドゥルジ、意外そうな顔をする。

ドゥルジ「知り合いだったの? 申し訳ないわね。私はあのドクズほど趣味悪くないけど、邪魔されたら困るから利用させてもらうわ」

ラリー、構える。

ドゥルジ「さあ! あんたたちは後ろの青瓢箪と小娘をやっちまいな!」

部下の槍兵たち、両サイドから迂回してジョニーとエマの方へ走る。

マーティ「ジョニー! エマ!」

グレアム、城門の側塔1階の扉から出てきてエマの方に駆け寄る。

グレアム「マーティ! お前はそのゾンビに集中しろ!」
マーティ「わ、わかった!」
エマ「グレアムさん!」
グレアム「俺がバリアを張る! お前は敵を蹴散らすつもりで歌え!」
エマ「う、うん! やってみる!」

エマ、歌いだす。
エマから青い光の弾が飛び出し、敵目掛けて飛んでいく。
敵に命中する。

槍兵たち「「ぐわああっ!」」

ジョニー、火球を拡散して敵に当てる。

槍兵たち「「があっ!」」
ジョニー、モノローグ(ひるんではいるけど、今までの敵のように一発二発で倒せる相手じゃない。さっきのあれをやるか)

ジョニー、光の矢を複数出現させる。

ジョニー「行け!」

ジョニー、光の矢を連続で射出する。
矢が敵を貫通し、そのうち何人かが倒れる。

敵の女槍兵たち「「ぎええっ!」」
ジョニー、モノローグ(よし! これなら急所に当たれば一撃、外しても大ダメージだ! エマの攻撃で怯んだ敵を狙えば命中率も上がるぞ!)

ジョニー、エマ、連携して槍兵たちを撃破していく。

マーティ、ラリーと対峙して大剣を構えたまま動かない。

マーティ、モノローグ(ジョニーたちはなんとかやれそうか。あとはセレナ……と、その前に俺か)
ラリー「あ、あ……」
マーティ、モノローグ(さっきのドゥルジの話、他の魔族がやったのか? いずれにせよ、ラリー、ゾンビなんかになっちまって……)
ラリー「う、うおおっ!」

ラリー、マーティに向かって斬りかかる。
マーティ、大剣で受ける。
ラリー、切り返してもう一撃打ち込む。
マーティ、また受ける。

マーティ、モノローグ(太刀筋はラリーそのものだが、ゾンビ化して身体能力が上がったか。今の俺と互角のパワーだ)
ラリー「があああっ!」

ラリー、攻撃を続ける。
マーティ、防ぎ続ける。

セレナ「マーティ!」
ドゥルジ「よそ見するんじゃないよ!」

ドゥルジ、セレナを槍で突こうとする。
セレナ、すれすれで躱し、大きくバック宙して離れる。

ドゥルジ「あんたに人の心配をしている余裕はないよ」
セレナ「くっ……」
ドゥルジ「さあ、行くよ!」

ドゥルジ、一瞬で距離を詰めて槍を振り、槍先で牽制する。
セレナ、バックステップで避ける。
ドゥルジ、そのまま突きを放つ。
セレナ、ドゥルジの攻撃をすれすれで避ける。

セレナ、モノローグ(速い! リーチの長い槍を使ってるのに、テイラーと同じくらい動きに切れがある!)

ドゥルジ、攻撃を続ける。
セレナ、ひたすら避ける。

ドゥルジ「どうした! 避けてばかりじゃ私は倒せないよ!」
セレナ「くっ!」

セレナ、空気の刃でややリーチの長い攻撃を繰り出す。
ドゥルジ、体をひねってそれを躱す。

ドゥルジ「そうそう、反撃して来なきゃ張り合いないよ!」

両者互いに攻撃を続け、それを避け続ける。
セレナ、ドゥルジの攻撃をぎりぎりで避け。髪を切られる。
セレナ、斜め後ろに飛び距離を取る。

マーティ「セレナ! うおっ!」

マーティ、ラリーの攻撃を防ぐ。

セレナ「マーティ!」

セレナ、心配そうな顔でマーティの方を見る。
ドゥルジ、構えを解く。
セレナ、それを見て怪訝な顔をする。

セレナ「なぜ構えを解いたの?」
ドゥルジ「やっぱりだめだわ。話になんない。殺す価値もないね。まだ城を守ってた雑兵たちの方がマシだわ」
セレナ「どういう意味?」
ドゥルジ「覚悟が足りないって言ってんのよ。あんたは剣を振って敵を斬ってるだけで、中身は戦士でもなんでもない。所詮は金と時間を持て余した王侯貴族の道楽ってとこね」
セレナ「なんですって!?」
ドゥルジ「あんたに比べたら後ろで歌ってるあの垢抜けない小娘の方がまだ腹が座ってるよ。あんたは覚悟や誇りより、あの男と一緒に生き残ることの方が大事なんだろ?」

ドゥルジ、マーティを見る。

セレナ「そ、それは……」
ドゥルジ「図星を突かれてぐうの音も出ないって? 大方そんなことだろうと思ったよ。想像以上にだめなんで興ざめしたわ」
セレナ「……」
ドゥルジ「あんたたち! 引き上げるよ!」

ドゥルジと部下の槍兵たち、撤退を始める。

セレナ「なっ! 待ちなさい!」
ドゥルジ「もう少しマシになったら相手してあげるよ! もっとも、生き残れたらの話だけどね!」

ドゥルジ、槍兵たちと一緒に走り去る。

ドゥルジ、モノローグ(戦いぶりを見る限り剣術の才能自体は飛び抜けてる。でもあんな甘ちゃんじゃ話になんない。才能だけの半端者を倒しても、アエーシュマ隊長は私を伴侶として認めてはくれない。あのお姫様にはもう少し強くなってもらわなきゃ)

ドゥルジと部下の槍兵たち、王宮の方角に消える。

マーティ、モノローグ(撤退だと? よくわからねーが、危機は凌いだか。あとはラリーを倒せば……)

マーティ「ラリー……」
ラリー「があああっ!」

マーティ、大剣でラリーの長剣を弾き飛ばす。
飛んで行った長剣がラリーの後方の地面に突き刺さる。

ラリー「あ、あう……」
グレアム「マーティ! 今だ! やれ!」

マーティ、構えを解く。

グレアム「何をやっている!」
マーティ「グレアム! 長剣を出せるか!? 二本だ! 二本用意してくれ!」
グレアム「は!?」


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