記述研究所のテキスト 05
用語集
この用語集は、製図試験を初めて受験する方が覚えておくと役立つ記述用語を説明しています。
「建築計画」「構造」「設備」「環境負荷低減」の4分野を分割して用意します。
初めて製図試験を受ける方に向けて書きましたが、基礎から再確認したい方にとっても役立つように詳しく書いています。
また、記述の勉強を進める中で、理解不足だと思った用語があった場合には、辞書的に使い再確認する利用方法をおすすめします。
この記事は「建築計画」です。記述の前半に問われる分野で、受験者が建物を設計する際に考えたことを問われます。
模範的な正解がない中で、自分の設計思想を文章で伝えなければならないため、苦手とする方が多い分野です。
施設使用者
施設を使う人々は、大きく分けて利用者と管理者に分かれます。それぞれについて説明します。
利用者
その施設を利用する「お客さん」です。設計製図試験では、利用者が快適に過ごせることを第一目標とし、設計を進めます。
施設によって、利用者は、年齢、性別、職業などが異なる人々が集まります。誰もが、安全で快適に過ごすことができるよう、いろいろ工夫しながら設計を進めます。
管理者
利用者をもてなしたり、施設の維持管理をする人達が管理者で、いわゆる裏方さんです。
文字通り、お客さんからは見えない、施設の裏の部分によくいます。
施設の従業員やスタッフ、設備を維持・点検する業者、食材や各種資材などを搬入する業者などが管理者となります。
動線計画
動線計画とは、動線を考慮して建物内に部屋を配置し、廊下や通路を計画することです。
動線計画は施設利用者の利便性に大きく関わるため、最も気を付けなければならないものの一つです。
動線とは
建物の中を人が移動する経路を線で表したものを動線といいます。
動線はその動線を使う人の種別によって分類されます。
設計製図試験では、施設利用者の動きを示す利用者動線と、管理者や業者の動きを示す管理者動線(サービス動線)があります。
短縮
どのような動線であっても、動線は短くなるほど利用しやすい建物となります。
関連する居室同士は、すぐに移動できるような明快な動線が必要となります。
施設利用する中で、一日に何度も利用する動線は極力、短くすることで利便性を考慮します。
明快さ
多くの人が利用する施設では、初めて利用した人でもわかりやすい計画とするため、単純なものとし、わかりやすいものとする明快さが求められます。
分離
製図試験で計画する建物では、利用者(お客さん)、管理者(従業員、スタッフ等)、業者(設備点検、食材搬入)等、様々な人が建物を利用します。各動線が交わることがあると、利便性が低下したり、事故が発生する可能性が高まります。
例えば、利用者が玄関から目的の居室に到達するまでに、裏方である管理ゾーンを通るような計画はいけません。
下図では、主出入口から入りレストランに向かう利用者と、通用口から入り、厨房へ向かう管理者、食材などを運ぶ業者の動線が交わってしまいます。
管理者と利用者の動線は下図のように交わることなく分かれている必要があります。各動線が分離できていることで、利用者がわかりやすく、事故が起きない安全な施設となります。
履き替え
施設の内容によっては、下足を脱いで利用する施設もあります。過去の本試験課題では、保育所や温浴施設などがあります。
下履きで利用する部屋と上履きで利用する部屋がある場合、何度も靴を履き替えることがないように計画します。
主出入口を入って、すぐに下足を脱ぐ計画としていいるにも関わらず、2階の利用には下足が必要となるようでは、利用者は常に下足を持ち歩かなくてはならなく、とても不便です。
下図の計画では、一階を下履き、二階を上履きで利用する部屋でまとめています。受付前で履き替えをします。履き替えが必要な場合には、なるべくシンプルになるように履き替え位置を設定します。利用者が移動するにしたがって、何度も履き替えることが無いようにします。
ゾーニング
ゾーニングとは用途別におおまかに空間を分け、効率的に配置することで使いやすい建物とすることです。ゾーニングのポイントは以下のとおりです。
利用者部門と管理者部門を分ける
利用者が利用する部屋と管理者が利用する部屋を分けて配置することで、それぞれが利用しやすいようにします。
階別に分ける(階別ゾーニング)
初めて建物を利用する利用者でも、目的とする部屋をすぐに見つけられるように階別にゾーニングします。(研修部門を2階、宿泊部門を3階など)
利用時間帯で分ける
営業時間の限られた部屋がある場合、24時間利用の部屋と分けて計画することで、管理者が管理しやすいようにします。営業時間外は管理用ドアやシャッターで区分します。
上下足で分ける
上履きで利用する部屋と下履きで利用する部屋を、それぞれまとめて配置することで、靴の履き替え回数を少なくし、利用しやすいようにします。
図の例では一階は下履きで利用する部屋を、二階には上履きで利用する部屋をまとめています。一階受付前で靴の履き替えをし、階段またはエレベーターにて2階に上がります。