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小物をたくさん描く絵に転換した

うーん、「なんか嫌だなぁ、と本心から湧き出る想いがでてくる“えぐさ”ってもしかしてチャンスかな?」というヘンテコな気持ちが、私の人生の中にあり。その中のひとつが、この時期のクリスマスムードというやつなのですが。

私の感覚なので、他の方に理解してもらえないの前提で書きますが。

クリスマスが近づいてくると、あの感じで染めてくる街やお店、テレビ、あと、それに染まってく人々の心。色や形、モチーフだけでなく、音や光や景色までどうしてそうなるそのモード。全部が、わたくし、とっても苦手でして。

まず、耳から犯される。わたし、絶対音感あって多少、音に敏感なのですが、この時期、クリスマスの曲が鳴ってるのをこの耳が聴いてしまうと、知らず知らず頭の中がそのメロディで満タンになって頭の中でドレミで繰り返されちゃう。これが、本当に嫌だ。
目も犯される。大学生の頃、デザインを勉強してて通る街を歩いてインスピレーションふくらます勉強中、季節によって変わるサインやポスターやロゴを見て街を歩く時も、この時期だけはイルミネーションやディスプレーに攻められてる感じがして、激しく辛くなる私。うるさいのは、全部が商業目的だからなのかなぁ、つらくて体調崩して倒れたことがあります。しかしこの頃は辛さの理由は分からず、当時はただ怒ってる人になってました。
未だにクリスマスの曲や、イルミネーション、夜景や花火までも、究極に苦手なのです。

で、本題は、絵ですが!
そのわたしの悲鳴を知っていて、それでもクリスマスの絵を描いて欲しいと頼んでくれるクライアントさんがいるんです。もう、15年以上に渡ってやってますが。どんだけ鬼なのかと思ってますが、鬼も必要なのです人生。

そのお仕事のおかげで、毎年、数週間だけ、クリスマスと向き合ってみようと思って吐きそうな気持ちを見つめながらやってる。別に、形だけ、サンタとトナカイとか、ツリーとか、知ってること並べて絵を描いて終わらせることもできるんですよ。絵。(毎年、通りますこの感情)。でも、それで済ますと、自分だけが底なしの後悔をするのが描く前からわかるので、やっぱり向き合う。んで、アイデアを、二転三転させて、3年くらい前から、「仕事をしてない時のサンタ」を描いてます。ラーメン食べてるサンタとか、宇宙に逃げたサンタ。去年はオンラインでプレゼント全部宅配にするサンタの絵でした。決めて描いてるわけじゃなくて、毎回、自分の中で自分会議して湧き出てきたものを押し出してそうなったのが→たまたま3年続いてる感じです。


わたしは、画家だからか、クリスマスに対しても、絵を描くためにイヤイヤ向き合ってると、嫌じゃない部分を発見してクリスマスと少しは仲良くなれるみたい。ファンタジーのままで、仕事しないサンタの絵。仕事はするんだけど、その前にサボってる時間や休んでる時間があって、その時間を過ごすサンタとトナカイを描きました。しかも、普段は説明する絵なんて好きじゃない私が、説明できちゃう絵を。


クリスマスの絵|今年の表紙用


描けましたこのえ、3週間かかりました。オセロをして気分転換してるサンタとトナカイを、マッチ売ってるマッチ売りの少女が外から発見したという絵です。オセロは、トナカイが、最初のすみっこを取ってる。こんなふうになりました。

自分の中から消えない『嫌だ、の、えぐさ』から始まってクリスマスから逃げられない〜〜〜を過ごすのも十何年か経ちますが、私にとってこの表現で描いてる絵はここしかなくて、そして、それでも毎年やってくるクリスマスシーズンというものに、こうやって自分風に向き合えるようになったのは、まだここ数年で。もう本気で心の中は大変なんですが、でも、「嫌だったことが悪くないなぁ」に転換できています。

できています、って言って、また来年が来たら、ゼロからなんだけどね〜
こんなふうに描いて納得してる私、まだまだ小さいのかなぁ。ううううぅ。

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