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御社の「業務プロセス改善」はなぜ頓挫したのか?~第8回 業務プロセス改善の柱はコミュニケーション①~

組織文化醸成の重要な要素であるコミュニケーションですが、どのような内容に関してコミュニケーションを取るのが良いのか、どのようにコミュニケーションを取るのが良いのかを紹介していきます。

そもそも“コミュニケーション”とは

“コミュニケーション”という単語は頻繁に耳にしたり使ったりするのですが、どんな意味なのかを改めて考えてみると、その本質は「情報をやり取りする」ことにあると考えられます。

一般的に勘違いしやすいのは、コミュニケーション能力がある人といえば、話がうまい人や会話ができる人、などとイメージされることがありますが、実はこれだけではコミュニケーションとは言えません。

「情報をやり取りする」という本質に照らして定義するならば、情報を正しく受け取れる人、情報を正しく伝達できる人、ということになるのではないでしょうか。

こんな経験はありませんか?

話をしてくれていろいろ言ってくれて納得したと思ったけど、後から冷静に考えたら質問に対する答えが出ていなかった。

話してくれた相手はコミュニケーション能力が高い人と思いがちだが、実はこれはコミュニケーションが取れているとは言えませんよね。

業務プロセス改善においても、こうしたコミュニケーションがきちんと取れる組織であることが重要になってくるのです。

コミュニケーション不全が招く情報格差

「情報格差」とは、組織内の両者間で、持っている情報の量の違いや質の違い、すなわち情報の格差があることを指します。コミュニケーション不全によって、正確かつ適切な情報の伝達が困難な場合や、そもそもコミュニケーションの量が少ない場合などは、この情報格差を生み出し誤解を生じさせることが往々にしてあります。

例えば、一般的な事例で言えば、教育、健康、経済などの分野では、情報不足や正確な情報へのアクセスが地理的に困難な地域などがあり、これらの人々は情報格差が生じる原因となっています。

このような情報格差が組織内にあると、認識のズレによる業務の手戻りの発生など、現場にムダな結果をもたらすことがあります。

筆者はこれを「見えている景色が違う」と表現することがありますが、知っている情報が違えば背景が違うため、物事を見る目も変わってくることを指しています。

業務プロセス改善で言えば、経営者と現場メンバーが知っている情報をある程度揃えないと、同じ方向に向かって行動して改善していくことに支障をきたすことがあるのです。

また、経営層や管理層との情報格差が大きいと気が付いた現場メンバーのモチベーションの低下にもつながり、それも業務プロセス改善を阻害する要因になり得ます。

コミュニケーション不全が招く情報格差

コミュニケーションのカタチ

さて、コミュニケーションの本質や情報格差解消の重要性を踏まえた上で、コミュニケーションのカタチについて考えてみましょう。

情報格差の発生を避けるためには、正確で適切な情報を伝えることが大切です。

そのためには、情報アクセスの均等化やコミュニケーション技術の均等な利用の支援などが必要だと考えます。

対面での会話の他、電話、メール、ビデオ通話、チャットなど、「情報を受けて、情報を伝える」カタチは多岐にわたります。

特に日本では、昔からのものづくりの“摺り合わせ文化”が根付いており、対面での会話に依存する傾向が強いと言えます。だからこそ、品質の高い製品を作り出すことができていましたが、情報アクセスの均等化やコミュニケーション技術の均等な利用には反するため弊害もあるのです。

対面で会話をすること=コミュニケーションと考えがちで、本来必要な情報をやり取りすることが不十分であるにも関わらず、会話をすることに安心感を覚えてコミュニケーションを取っているつもりになってしまうこともあるでしょう。

結果として、認識のズレ、理解の誤りが生じ、プロジェクトが進みにくかったり手戻りが発生したりした経験もあるのではないでしょうか。

これは必ずしも会話が不足していたわけではなく、情報伝達、情報受信の精度の問題、つまりコミュニケーションの問題なのです。

コミュニケーションを正しく取るためには、伝える情報の内容、伝える相手を考慮し、それぞれに合った方法で行うことが重要になります。 

コミュニケーション内容に合ったツールの選び方

正しくコミュニケーションを取るためのツールを選ぶ上で重要なポイントを4つ挙げます。

1. 目的:達成したい目的は何か

例えば、簡単に情報を共有したい場合は、オンラインフォーラムやチャットツールが適切で、多くの人に対して急ではない情報を届けるにはメールが適しています。想いを伝えたいのであれば対面が良いでしょう。

2. 参加者:参加者の数はどのくらいか、遠隔地にいる人々がいるか

口頭での説明も含めて多数の参加者に同時に伝えたい場合は、ビデオ会議ツールが適切です。参加者が少ないのであれば個別に話しても良いでしょうし、相手が一人なら電話でも良いです。

3. 情報のタイプ:扱う情報のタイプは何か

例えば、画像やビデオを含む情報を共有する場合は、画像やビデオ共有アプリが適していますし、文章で伝えるのであればメールなどでも良いでしょう。意見を聞いたりディスカッションをしたいのであればやはり対面が良いです。

4. セキュリティ:取り扱う情報の機密性はどの程度か

個人情報や機密性の高い情報を扱う場合は、通常のメールなどは不適切で、書面にして手渡しするのが良いかもしれません。

これらのポイントを考慮することで、コミュニケーション内容に合ったツールを選ぶことができます。

目的別コミュニケーションツールの選定

コミュニケーションツールの紹介

それではここで、ITを活用したいくつかのコミュニケーションツールを紹介します。

メール

テキストメッセージや添付ファイルを送信することができる。

チャットツール

リアルタイムでメッセージをやりとりすることができる。例えば、Slack、Microsoft Teams、Chatwork、LINEなどがある。

ビデオ会議ツール

遠隔地にいる人々とビデオ通話をすることができる。例えば、Zoom、Google Meet、meetinなどがある。

ソーシャルメディア

近隣の人々や友達とコミュニケーションすることができる。例えば、Facebook、X(旧Twitter)、Instagramなどがある。

フォーラム

トピックに関連する情報を共有したり、議論することができる。例えば、Reddit、Quora、Notionなどがある。

 コミュニケーションの目的や扱う情報などに合わせて、自社の各場面に合うツールを探す際の参考にしていただければありがたいです。

 次回は、これらコミュニケーションツールの中から、製造業の現場でも活用できるSlackとNotionについて紹介していきます!

こうご期待!

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