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日本語のユニークさ ~百合の季節に~

百合はなぜ「百合」と書き「ユリ」と読むのでしょう? 語源を推測しても分からない場合、調べてみます。
腑に落ちた瞬間は快感です。
 
大きな花がゆらゆらと揺れるから「ユリ」
「百」の鱗片が「合わさっている」根をもつから「百合」

百合根 https://lovegreen.net/library/vegetables/p121510/ より

「ユリ」という発音は、「ゆらゆら」というオノマトペ(擬態語)がいつしか音変化したようです。確かに、茎と比べアンバランスなほど重量感のある花は大きく揺れます。
「百合」は根のことだったのですね。「百」は実際の数ではなく、「数が多いこと」を象徴しています。百科事典や百貨店の「百」がそうですね。
 
日本語は英語などと比べ圧倒的にオノマトペが豊富です。中国由来の漢字(表意文字)に独自の言語感覚をプラスしているところがユニークだと思います。

こちらは笹百合(ササユリ)の花。葉が笹に似ているのが名前の由来です。

https://www.hanasanpo.org/ 「野山に自然に咲く花のページ」より

では、笹(ササ)はどうでしょうか?
 「ササ」には、「風に葉が擦れる音」説と、「小ささ・細かさを表す」説(「さざ波」や「細雪」のように)があるようです。
 
「笹」という文字は、面白いことに中国由来の漢字ではなく、日本で作られたオリジナル(国字)でした。竹+世で、小ぶりの竹を表しています。世は葉の省略体とされています。
確かに、竹よりも小さくて葉が多い笹のイメージを反映しています。
 
カタカナ・ひらがなは漢字を基にした国字ですが、いわゆる漢字の中にも国字があったのですね。
外来の文字をアレンジしながら独自の言語を醸成してきた日本語。興味深いです。
 
(『語源由来辞典』『新漢語林』『大辞泉』を参照しました)

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