収縮写真

温度応答性ゲルの収縮(動画)

多糖類を使った温度応答性ゲルが収縮する様子です。

ゆっくり変化するので、4倍速にしています。

ゲルは38℃以上で収縮しますが、厳密には33℃くらいから少しずつ収縮が始まります(ゲルの組成や作り方で変化する可能性有り)。ゲルを置いたアルミカップの表面は50℃~60℃くらいになっています。

収縮写真note用

収縮すると分子鎖が凝集し、光の乱反射が起きるために白濁します。
手書きの「1cm」の文字と印が白濁して見え難くなるんですが、写真ではあまり変わっていませんね(ピントも微妙に合ってない...)w
なので、写真の下のように、黒いスマホカバー(使わなくなったもの)の上にのせて撮影しました。
これだと白濁しているのがはっきりと分かります。
また、縦方向に収縮して細くなっていますね。
分かり難いですが、厚さ方向にも収縮し、薄くなっています。
このように、特定の温度を境にゲルの体積が変化することを「体積相転移(たいせきそうてんい)」と呼びます。温度だけでなく、pHや光照射などで変化するときもそう呼びます。ちなみに、このゲルはpH変化にも応答して収縮します。

ゲル収縮の基本的な実験ですが、1分以内に30%以上収縮しないと、倍速なしの動画で変化を見るのは厳しいなと思いました。
どのように作れば大きく収縮させられるかは分かっているので、次は30%以上収縮するゲルで動画を撮る予定です。
その場合の課題はゲルの強度と取り扱いですね。
大きく収縮するゲルほど柔らかくなり、掴み難くなります。そして簡単に千切れてしまう。
強度を高くすると取り扱いは簡単になりますが、今度はあまり収縮しなくなります。
ゲルの強度と収縮率はトレードオフ(等価交換)の関係なんですね。
以前、NIPAAm(ナイパム)という物質で作った温度応答性ゲルを研究していた時、強度と収縮率を両方向上させる画期的な方法を発見したことがあります。残念ながら、今研究している温度応答性ゲルにその方法は適用できません。でも、似たような事は出来るんじゃないかと考えています。
もし出来ればゲルの可能性を大きく広げられるので、色々と試していく予定です。

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