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間違いやすい除湿剤の使い方と換気の話

日本の夏は高温多湿のため、湿気対策は欠かせません。
そこで登場するのが除湿剤ですが、正しく使わないと効果を発揮しません

よくあるのが、部屋の除湿に使っているケースです。
これは間違った使い方です。
除湿剤が効果を発揮するのは、靴箱やクローゼット、キッチン下などの「狭くて閉じた空間」の除湿なんです。
ある程度広い、人が居る空間の除湿には不向きです。
というのも、広くて開け閉めの多い空間は湿気が入り込み易く、人体からはたくさんの汗が出て湿度が上昇します。
六畳くらいの部屋に除湿剤を10個置いても大きな効果は得られません。

除湿剤には乾燥した塩化カルシウムが使われています。
塩化カルシウムは吸湿すると溶ける潮解性を持っています。
この特性を活かしたのが除湿剤なんです。
溶けて塩化カルシウム水溶液になるため、最後は固形分がなくなり、液体のみになります。
高い吸湿性を誇りますが、過度な期待は禁物です。
クローゼットなどの閉じた狭い空間でも、物をぎっしり詰めていれば効果は半減します
ある程度余裕がないと湿気が溜まってしまい、除湿剤を入れていてもカビが発生してしまうことがあります。

安価とはいえ、せっかく購入した除湿剤、効果的に使いたいですね。

ちなみに、潮解とは、物質が空気中の水分を自発的に取り込んで水溶液になる現象です。
塩化カルシウムのほかに、水酸化ナトリウムやクエン酸、塩化マグネシウムなどにみられる特徴です。
吸湿してできた飽和水溶液の蒸気圧は、大気中の蒸気圧よりも小さいため、蒸発しません。
大気中の水蒸気圧と等しくなるまで、潮解性を持つ物質は吸湿し続けるんです

では、部屋の除湿はどうすれば良いんでしょうか?
まず心掛けたいのは、部屋の換気です。
梅雨時は部屋を閉め切ってしまう方が多いですが、換気は毎日行って下さい。
特に、浴室の換気扇はずっとつけたままが良いですね。
窓が二か所ある方は、毎日10分程度で良いので、窓をあけて換気をして下さい。
24時間換気の出来る部屋に住んでいる方は、雨が続いても換気を切らないようにしてください。
空気中にはたくさんのカビやホコリなどが浮かんでいるので、適度な換気が必要です。
雨が降っていると湿度が上がると思いがちですが、そんなことはありません。
換気で室内の湿気も出ていくので、湿気が溜まることはないんです

そして、室内の風通しを良くすること
一か所に色んな物を詰め込んでいると、そこだけ風通しが悪くなり、湿気やカビの胞子などがたまってしまいます。
捨てなくても良いので、別の場所に移動させるなどして、換気を行って下さい。
扇風機やサーキュレーターを活用しても良いですね。

意外かもしれませんが、換気だけでも効果があります。

根本的に湿度を下げたい場合は、除湿器を使って下さい。
除湿器にはデシカント方式とコンプレッサー方式がありますが、音の大きさや電気代、除湿能力に違いがあるので、除湿したい部屋の大きさや用途で選ぶのが良いと思います。
個人的には、水を貯めるタンクがある程度大きくて、取り外して水を捨てやすいものをお勧めします。
他にどれだけ素晴らしい機能や特徴があっても、水を頻繁に捨てるのは大変な上、外したタンクが持ち難いと最悪です。
人間、誰もが楽をしたいものなんですよW
手入れのし易さは重要です。

他に、エアコンの除湿機能ですね。
エアコンのある部屋なら、除湿機能を使うのがベストだと思います。
気温が高くなれば、冷房で十分除湿できます
ただ、気温の高くない梅雨は、冷房をかけても除湿効果は微々たるものです。除湿機能を使いましょう。

ちなみに、乾燥剤として食品や薬品、カメラのパッケージなどに入っているシリカゲルや生石灰(酸化カルシウム)の除湿能力は低く、あまり吸湿しません。
有効範囲はお菓子のパッケージ程度なんですね。

シリカゲルは、電子レンジや乾燥機で温めると吸湿力が復活します。
繰り返し使えるところがシリカゲルの利点です。

実は、塩化カルシウムをシートに挟んだ簡易的な乾燥剤もあります。
これも、シリカゲルと同様、除湿能力はあまり高くありません。
使われている量が少ないので、吸湿量はわずかです。
ただ、シート状なので精密機器や食品と一緒に収納・包装し易く、色んなところに使われています。

また、シートタイプには生石灰を使ったものもあります。

除湿剤には活性炭を混ぜたタイプのものもあります。
活性炭による消臭効果を加えたものですが、もし消臭・脱臭もしたい場合は、別に消臭剤や脱臭剤を購入して使った方が良いですね。

ということで、まとめると以下のようになります。

・除湿剤は靴箱やクローゼットなどの狭くて閉じた空間に使う。

・部屋の除湿はエアコンの除湿機能か除湿器を使う。

・部屋の換気は毎日行う(雨の続く日でも)。

・部屋の風通しを良くする(クローゼットやキッチン下なども、物を詰め込みすぎない)

一番重要なのは換気です。
台風や豪雨でもない限り、必ず行って下さい。

梅雨は日照時間が短いので、気分が落ち込みがちです。
晴れた日はなるべく外に出て日光を浴びるようにして下さい。
自分なりの気分転換法を見つけておくと良いと思います。

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