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フルーチェとペクチン

ペクチンはセルロースと共に植物の細胞壁を形成する成分の一つです。
そして、ジャムやソース、化粧品等に使われている多糖類(糖がたくさん繋がって出来ている高分子)です。
食品に使われるペクチンは、主にレモンなどの柑橘類(皮)から取ります。果汁に砂糖を混ぜて煮詰めるジャムの製法は古くから行われていました。
ジャムやゼリーのようにゲル化剤として使用されるほか、ソースや化粧品・工業製品の増粘安定剤・分散剤としても使われています
ペクチンは主に下図のような構造をしています。

そんなペクチンですが、実はフルーチェにゲル化剤として使われています。
老若男女問わず、日本人の多くが知っているデザートですね。
フルーチェのパウチに入っている液体の主成分はペクチンです。
それに牛乳を加えて混ぜると、だんだん粘性が出てきて、柔らかいゼリーのようになります。

では、なぜ牛乳をペクチンに混ぜるとゲル化するのでしょうか?

その秘密は、牛乳に含まれるカルシウムにあります。
下の図のように、カルシウムイオン(赤)がペクチンのカルボキシル基(青)を橋渡しし、網目構造を作ります。

ペクチンの間をカルシウムイオンが繋いでいくことで粘性が増して行き、ゼリー状のフルーチェが出来上がります。ペクチンと牛乳の量によっては、ゼリー状にならなかったり、ゴロゴロした塊が沢山出来たりします。フルーチェはペクチンと牛乳(カルシウム)の量を最適になるように調節してるんですね。

これは、以前ご紹介した豆腐と同じ原理です(マグネシウムイオンがタンパク質のカルボキシル基を橋渡しする)。単純ですが、フルーチェはペクチンの性質を上手く利用した、優れた商品だと思います。

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