マガジンのカバー画像

深海生物

15
これまでに投稿した、深海生物に関する記事をまとめています。
運営しているクリエイター

記事一覧

ゲルと生命の謎 深掘編③ 〜深海の謎〜

深海については、これまで何度も取り上げてきました。 今回は、昨年連載した「ゲルと生命の謎」の一環としてお話しします。 なぜ深海に?深海は光の届かない暗黒の世界です。 水圧が高いこともあり、深海で活動する生物は浅い海域ほど多くはありません。 では、深海に生息する生き物は、なぜ深海に進出したのでしょうか?

¥400

深海の生態系

冷たく、光の届かない深海。 水圧も高いため、深海に生息する生物は他の海域の生物よりも特殊です。 では、深海の生態系はどうなっているのでしょうか? 陸上と違い、深海は調査が困難なため、未だにその生態系は明らかになっていません。 しかし、生態系を把握することは極めて重要なことです。 今回は、深海の生態系について、判明している情報を元に考えてみます。

¥200

リュウグウノツカイ

特徴的な姿が印象的なリュウグウノツカイ。 大型の深海魚で、体長は3~5mとされています。 過去の報告例では、11mという個体があったそうです。 そのため、現在において世界最長の硬骨魚類とされています。 世界中の海の外洋に幅広く分布し、古くから目撃例のある生き物です。 チョウチンアンコウなどと並び、最も有名な深海魚の一つですね。 水深200~1000mの海域に生息すると考えられています。 ……取りあげておいてなんですが、ほとんど書くことがありませんw 深海の調査は容易ではない

化学ニュースピックアップ vol.16 ~マンボウの体温調節~

マンボウは海面に浮かんで日光浴(?)をしていることがあります。 その一方で、水深800mよりも深い場所まで潜ることも分かっています。 深海になると水温は10℃以下になります。 そのため、深海に潜って冷えた体を海面で温めていると言われています。 また、体表の寄生虫を殺菌するためとも考えられています。 海の生き物としてお馴染みですが、 飼育が難しく、その生態は謎が多いです。 しかし近年、そのマンボウの生態の一部が明らかになりました。

¥400

メンダコ

メンダコは深海に棲む変わった形のタコです。 深海生物の中でも人気のある生き物です。 かわいいキャラクターにデフォルメされることもありますね。 メンダコ(沼津港深海水族館:http://www.numazu-deepsea.com/dsfish1) ただ、海から引き揚げられるとペシャンコになり、結構グロテスクな姿になります。 見ての通り足が放射状に広がっていて、あまり動かすことが出来ません。 耳のように見えるのはヒレで、このヒレを動かして泳ぎます。 また、墨を吐くことも出

巨大化した深海生物の謎

巨大な生き物の多い深海生物。 例えば、ダイオウイカ、リュウグウノツカイ、シーラカンス、タカアシガニ、ダイオウグソクムシ etc. ダイオウイカは世界最大級の無脊椎動物、タカアシガニは世界最大の節足動物、ダイオウグソクムシは世界最大の等脚類です。 世界最大級の硬骨魚であるマンボウは、主に水深200~800mの水域に生息しているのではないかと考えられています。 今年、ダイオウイカが生きた状態で発見されました。 ただ、かなり衰弱していますね... 深海生物はこういう状態で発見さ

超深海の魚「マリアナスネイルフィッシュ」

世界で最も深い海溝で知られるマリアナ海溝。 その水深8,000m付近で観測された魚「マリアナスネイルフィッシュ(シンカイクサウオ)」は、最も深いところに生息する魚とされています。 2017年に、海洋研究開発機構(JAMSTEC)のチームが水深8,178メートルで撮影に成功しています。 それ以前にも撮影されたことがありますが、7000m台の水域です(それでも十分すぎるくらい深いですね...)。 マリアナスネイルフィッシュ(国立研究開発法人 海洋研究開発機構HP : https

シロクラゲ ~冷たい海のかわいいクラゲ~

東北以北の海に生息する小さなクラゲ。 名前はシロクラゲですが、ほぼ透明です。 白いラインが4本入ってるため、シロクラゲと呼ばれます。 この白いラインは生殖腺です。生殖器ですね。 シロクラゲ(新江ノ島水族館HPより:https://www.enosui.com/diaryentry.php?eid=04763) 飼育が簡単なので、水族館で見ることが出来ます。 とても小さなクラゲで、傘を広げても1cm程度です。 触手も短く、ぱっと見だと傘だけに見えます。 水族館では、小さなシ

マンボウの興味深い生態

のんびりした見た目のマンボウ。 ゆっくりと泳ぐ姿は絵になります。 マンボウは何の仲間かご存知でしょうか? サメ肌に見えますが、魚なんでしょうか? 実は、フグの仲間です。 フグの中では最大の生き物で、大きなものは全長3mもあります。 フグ目マンボウ科マンボウ属です。 でも、膨らむことはできません(^^;) マンボウは不思議な生き物です。 海面に横になって浮かんでいることがあるため、英語ではSunfishと呼ばれます(浮かんでいる姿が太陽のように見える)。 海面に浮かぶマ

水酸化アルミニウムのゲルと深海のエビ

水酸化アルミニウム(Al(OH)3)は、胃炎用の薬や吸着剤、防火機能の有る建築材などに使われています(熱すると酸化アルミニウムと水が生成するため)。また、樹脂に混ぜて人造大理石にするときにも使われます。直接目にすることは殆どありませんが、広範囲に使われている物質です。 水酸化アルミニウムの粉末(NIPRO医薬品情報 http://med.nipro.co.jp/ph_product_detail?id=a0A10000015H3ISEA0) 水酸化アルミニウムの水溶液は、

好熱菌と温度応答性ゲル

好熱菌(こうねつきん)をご存じでしょうか? 温泉や海底火山付近の熱水噴出孔などの、高温環境でも生育する微生物です。 1960年代にその存在が明らかになり、研究が進められてきました。 80℃超の高温でも生存できる好熱菌の生命機構はとても興味深いものです。 なかでも、メタノピュルス・カンドレリという好熱菌は深海の熱水噴出孔に生息し、122℃の高温環境でも増殖することが出来ます。 イエローストーン国立公園で発見された好熱菌(Wikipedia) 深海の熱噴出孔(Wikipedi

コンニャクウオ(こんにゃく魚)

かわいい見た目の深海魚、その名もコンニャクウオ。 タマコンニャクウオ(玉こんにゃく魚、アクアマリンふくしま:https://www.aquamarine.or.jp/animals/careproctus-rausuensis/) コンニャクウオはクサウオ科のコンニャクウオ属で、日本海やオホーツク海、北太平洋の水深1000m付近の深海に生息しています(水深1000mは、ほとんどの可視光が届かない暗黒の世界)。表皮は滑らかで鱗がありません。表皮の内側はゼラチン質で、その滑ら

世界最長の生物、クダクラゲ

クラゲといえば傘が特徴的ですが、クダクラゲには傘がありません。 そして、多数のクラゲが繋がった群体生物です。 そのため、クダクラゲの見た目は多種多様です。 主に外洋域を浮遊していますが、深海に生息するものもいます。 クダクラゲの仲間(https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/2054/) 写真のクダクラゲは、オレンジの幹(かん)に遊泳個虫がたくさん繋がっています。そして、幹は群体全体に栄養を運んでいます。 クダク

ダンボ・オクトパスとダイオウイカ ~深海のタコとイカ~

深海は変わった見た目の生き物が多いですよね。 グロテスクな姿の生き物が居る一方、可愛い生き物もいます。 その一つがダンボ・オクトパスです。 インド洋の水深7000mの深海底で泳ぐダンボ・オクトパス(写真上部:https://www.cnn.co.jp/fringe/35154584.html) 大きな耳がついているように見えるため、ディズニーのキャラクター、ダンボから名前が付けられました。 深海は一般的に水深200m以下を指しますが、ダンボ・オクトパスは1000m以下の海