![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/102714928/rectangle_large_type_2_6b7d13c19e05f67f57d9ae48dbdefaad.jpeg?width=1200)
平成3年 酢酸の思い出
クオリティはほぼ求められない あたり焼き
スタジオの門を叩いてから3ヶ月。モデル撮影を任されるようになる。
それでも底辺は変わらないので、深タンクでの現像は続いた。
深タンクとは30cm四方、高さが1mほどのタンクである。
大量の現像液を秘伝のタレのように、減った分を補充して使う。
慣れると同時に5本現像できる。
一度作ってしまえばランニングコストは低い。
欠点は液温の管理。
縦に長いのでタンクの上と下では液温が異なる。
冬は棒状のヒーターで温め、湯もみのように撹拌して20℃を保つ。
夏は30℃近くまであがるが、氷で冷やしても20℃にはならなかった。
「いくら残業をしても俸給は同じ」
30℃:6分で現像する。
理由は時間短縮と粒状性・コントラストは求められないから。
ネオパンSS。確か1953年発売で常に改良されてきたフィルム。
今もACROSという名になって現存する。
タフなフィルムで、高温現像でもさほど粒子は荒れない。
1段半ぐらいの過不足でも普通に焼けるし、デザイナーからのクレームは一切なかった。
この頃までの暗室作業は憂鬱で仕方なかった。
「いくら残業をしても俸給は同じ」だから。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?